国によって違う税理士の事情
更新日:2022.05.02スタッフブログさまざまな税に関する相談や、税務処理を扱う税理士という仕事。当社の秘書代行というサービスを多くご利用いただいております。日本において、税に関するあらゆる業務は税理士の独占業務であり、無資格でそれを行うことはできません。ところで、その事情は海外でも共通しているのでしょうか?
国が違えば文化も異なり、税理士事情も違った傾向が見られる様です。そこで今回は、アメリカ・韓国・イギリス・ドイツの税理士事情をご紹介。日本とはどんな違いがあるか、詳しく見ていくことにしましょう。
目次
日本・アメリカ・韓国・イギリス・ドイツで違いは?
アメリカの税理士事情は?
自由の国・アメリカでの税理士を取り巻く環境はどうなっているのでしょうか。実は、アメリカでは日本の様に税務を専門に扱う「税理士」なる職業は存在しません。「確定申告の書類を作成してほしい」などの納税者の依頼は、以下の職業の中から選んでお願いすることになります。
- 弁護士
- 公認会計士
- 登録代理人
これら3つの有資格者は、税務のエキスパートでもあります。つまり、アメリカにおいて税に関する相談業務や、納税書類の作成、申告代行などは日本の様に特定資格保持者の独占業務ではなく、弁護士や公認会計士といった法律・会計のスペシャリストに依頼することになります。
また、納税者は、国が行う徴税に対し、不服があれば国税不服審判所に申し出る権利を有します。この代行業務に携われるのは日本では税理士、アメリカでは弁護士となります。公認会計士や登録代理人は一定の要件を満たせば不服申立の代行業務が可能です。
韓国の税理士事情は?
お隣の韓国での税理士事情も気になります。韓国では、税務に携わる職業の人は「税務士」と呼びます。韓国における税務士制度は、日本の税理士法を参考に作られた経緯から、それほど大きな違いはなく、全体的に似通っています。ちなみに、国家の税務を統括する組織と言えば、国税庁。この呼び方は、韓国でも同じです。そのため、基本的な徴税の仕組みや申告方法、書類作成の方法などを見ても両国は共通する部分が多いです。しかし、税務士資格の取得制度に関しては、若干異なる点も見られます。
たとえば、日本の税理士法では一定の学識経験があれば試験の一部科目が免除される規定がありますが、韓国では1972年の法改正により学識経験者の免除規定は廃止されました。ただし、国税事務経験者に限り、1次試験が免除される優遇制度は今もそのままです。
イギリスの税理士事情は?
イギリスの税務もまた、日本と異なる税理士文化があります。日本の税理士資格は国家資格扱いですが、イギリスでは税に関する相談を受付ける人を「税務アドバイザー」と呼び、特別な資格がなくても税の相談業務や確定申告の書類作成を行えます。一般的に、税務の専門家は企業の会計や監査業務も請け負い、日本で言う公認会計士がその職務を負っています。
以上の税務アドバイザーや会計士は資格がなくとも活動できます。一方で資格を付与する組織もあり、審査をパスして会員となれば資格を与えられるほか、事業面においてさまざまなサポートが受けられます。
ドイツの税理士事情は?
ドイツも日本や韓国と同じく、税理士試験に合格し資格を取得することで税に関するさまざまな業務を扱えます。ドイツの税理士法では、以下の業務を税理士の独占業務として認めています。
- 税務に関する相談
- 納税申告の準備
- 税務署に提出する書類の作成代行
- 税法違反の場合の弁護
- 財政裁判所における訴訟代理
- バランスシートなどの作成
- 経営監査の意見書作成 など
これらの業務を税理士が円滑に遂行し、社会的責任を果たすためにある団体が、税理士会議所です。独占業務を担う税理士が高い水準を維持して税務の相談や書類作成代行が行える様、さまざまな面からサポートします。
日本の税理士の仕事とは?
国が違えば、税理士の役割や業務範囲も異なることがお分かりになったと思います。最後に、日本の税理士が取り扱う業務内容の説明をしたいと思います。税理士の独占業務として法的に認められている業務は、大きく分けて以下の3つです。
税務代理
納税者に変わり、税務に関する専門知識を持った税理士が税金の申告業務を行います。企業であれば源泉徴収、個人事業主であれば確定申告です。
税務書類の作成代行
税務署に提出するさまざまな書類の作成代行もまた、税理士のみが行える独占業務です。役所に提出する書類は、正しい書式に則って記載しないと、書類として認められず却下されるおそれもあります。専門知識を持った税理士に依頼することで、無駄を省き、スムーズな書類の提出につながります。
税務相談
税の計算方法や書類の書き方は複雑で、税に関する正しい知識がなければ払いすぎや支払い不足などの事態を招く可能性もあり、ほかの業務への支障も小さくありません。払う必要のない税金を納めたり、還付金があるにもかかわらず知識がないせいでもらい損ねたりといった事態は避けたいものです。税の申告を過不足なく行うためにアドバイスを行うのが、税理士による相談業務です。
納税が正しく行われてこそ、社会福祉や行政サービスも可能となります。国民にとって大切な義務の遂行をサポートするのが、税理士の役割なのです。
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