若手社員に起こる?クォーターライフ・クライシス

更新日:2024.09.10ビジネス豆知識

若手社員に起こる?クォーターライフ・クライシス

クォーターライフクライシスは、20代後半から見られるとされる心理面の危機的状況です。また、40代頃から現れる同様の状況として、ミッドライフクライシスが知られています。いずれも、人生への不安や悩みを抱えるクライシス(危機)と表現されますが、あまり深刻に考える必要はありません。多くの人に起こる心理状態であり、適切に対策すれば解決に導けるでしょう。そこで今回は、各クライシスの意味や原因を解説し、人生に対する不安や悩みの解消に役立つ対策をご紹介します

クォーターライフクライシスとは

クォーターライフクライシスとは

クォーターライフクライシスは、20代後半~30代半ば頃の人々が人生に悩みを抱える心理状態です。21世紀初頭に英国で登場した概念であり、欧米などで広まったといわれています。

言葉の意味合い

クォーターライフクライシスは、言葉通りに和訳すると、「人生4分の1における危機的状況」といった意味合いです。本来的に、クォーター(quarter)は「4分の1」、ライフ(life)は「人生」、クライシス(crisis)は「危機」などを意味します。これらの意味をふまえ、クォーターライフクライシスは、人生4分の1頃に迎える心理的危機を指す表現として使われています。

具体的な年齢層は、人生100年と考えた時に4分の1となる25歳頃です。この年代から30歳半ばにかけては人生に不安を感じる傾向があり、その心理現象がクォーターライフクライシスと呼ばれています。

心理状態の特徴

クォーターライフクライシスの心理状態は、自分の人生を低く評価しているところが特徴的です。具体例としては、自分に比べて周りの同年代が輝いているように感じ、自分の人生は思わしくないと悩むケースが挙げられます。仕事で結果が出ない場合、周りの同僚から取り残されていないか不安になるとの声は少なくありません。

また、一人前と認められているのか焦るケースも、よく見られる特徴の1例です。25歳頃になると、たいてい20歳くらいの若者とは区別されます。ただし、必ずしも一人前の大人として扱われるわけではありません。このような扱い方が不安や焦燥感につながり、25歳を過ぎる頃からは、人生に悩みを抱えやすくなるといわれています。

不安を招く原因

25歳頃から人生に不安を感じる主な原因は、理想と現実とのギャップです。多くの若者は、就職する時に将来の夢や希望を抱いています。ただし、若手社員が仕事を通して現実の厳しさに直面し、理想とのギャップを感じると、現状への不安や焦りからクォーターライフクライシスになる傾向があります。

また、平均寿命の長期化も、20代後半頃からの不安や悩みを招く主要原因の一つです。人生100年と考えた場合、以前より退職後の余生は長くなるため、このままでは安心して老後を迎えられないと悩むケースが多く見られます。他には、SNSの普及も、クォーターライフクライシスの原因といえるでしょう。最近はSNS上で同年代と簡単に連絡を取れる状況にあり、仕事の業績や結婚報告を聞いて焦るとの声も聞かれます。

心理傾向をチェック

クォーターライフクライシスになりやすい人は、心理的に似たような傾向があるとのことです。心理学的な見解をふまえた場合、この心理状態になりやすい特徴としては、次の4点が挙げられるといわれています。

1.気持ちの切り替えが上手ではない
2.周りの意見に左右されやすい
3.過去の事柄を引きずりがち
4.自分と周りを比べることが多い

自分がクォーターライフクライシスになりやすいかを確認したい場合、以上の4点について考えてみましょう。ただし、心理状態を診断するものではないため、あくまでクォーターライフクライシスに関する参考データとお考えください。

クォーターライフクライシスの5つのフェーズ

クォーターライフクライシスの5つのフェーズ

クォーターライフクライシスは、心理学的な研究にもとづき、5つのフェーズに分けられています。

フェーズ1:過去の選択を後悔

過去の選択を後悔する心理状態は、クォーターライフクライシスに見られる最初のフェーズです。この心理には、日々の生活や仕事方面で期待通りの結果を得られなかった時、選択を誤ったと悔やむケースが該当します。専門家の説明によると、期待していた理想と自分を取り巻く現状とのギャップに息苦しさを感じている状態です。

フェーズ2:現状打破を検討

フェーズ2は、思わしくない現状の打破に向けて具体策を検討する段階です。ここでは自分の現状を容認せず、期待と異なる息苦しい状態から脱却する方法を思案します。自分の人生を変えようと模索する段階であり、次のステージへ進むための準備段階ともいわれています。

フェーズ3:過去との決別

過去と決別する段階が、クォーターライフクライシスのフェーズ3です。この段階においては、過去との決別により現状打破を目指し、新たに今後の生き方を考え始めます。具体的には、職場を変える・人間関係を見直すといったケースが該当し、自分らしい人生や将来の方向性を検討していきます。

フェーズ4:人生を再構築

フェーズ4は、ここまでの検討内容を活かし自分らしく生きていくため、今後の人生を再構築する段階です。自分の現状を見直すことで将来の希望が見えてくるといわれており、人生を立て直す出発点になると認識されています。すぐに結果が出なくても問題はなく、焦らず次の段階へ進んでいくことが大切になってきます。

フェーズ5:新たな人生へ

クォーターライフクライシスの最終フェーズは、新たな人生に向けてスタートを切る段階です。過去を後悔するフェーズ1の悩みは、フェーズ2~フェーズ4の検討・見直し作業で解消していきます。最後のフェーズ5では基本的に悩みを引きずっていないため、自分らしい人生を歩み始められるといわれています。

クォーターライフクライシスへの対策

クォーターライフクライシスへの対策

クォーターライフクライシスに対策する場合、メンタルヘルスを健全に保つうえでは、冷静さを失わず不安や悩みを解消していくことが大切です。

自分らしさを意識

自分らしさを意識する姿勢は、クォーターライフクライシスを克服する時に心がけたい大切なポイントです。専門的な観点からは、クォーターライフクライシスを一般的な心理現象とする見解が示されています。また、日々の生活で自分らしさを意識していれば、危機的な状況は徐々に和らぐとの声も聞かれます。このような意見を考慮した場合、自分らしさは、人生に対する不安や悩みを取り除くうえで大切な要素になってくるでしょう。

周りとの比較は不要

クォーターライフクライシスに対処する際、自分と周りを比較する意識は不要です。常に自分と周囲・他者を比べている場合、クォーターライフクライシスを招きやすいと見られています。そこで、周りのほうが結果を出していると感じれば、不安や焦りは強まるかもしれません。あくまで自分らしく生きるなら、周りと比べる必要はないでしょう。そのため、SNSで知人の近況報告を聞いても、気にしなくてよいと考えられます。

気分転換は適度に

適度な気分転換は、クォーターライフクライシスによる精神的な負荷を和らげる場合に有効です。仕事や日常生活で苛立ちを感じた時、趣味や運動で気分転換すると、ストレスを発散するのに効果があります。クォーターライフクライシスの場合も、適度な息抜きにより不安や焦りは軽減すると見込まれます。また、いろいろ考え過ぎない方法としても、現状にばかり目を向けず気分転換することはおすすめといえるでしょう。

過去にこだわらない

過去にこだわらない姿勢は、現状を見直して今後を検討するうえで重要です。どれだけ「あの時にAでなくBを選んでいれば」と後悔し続けても、時間は戻らないため、現状が変わる見込みはありません。また、過去に執着していると、今後の生き方を前向きに検討することは難しくなってきます。新たな生き方を模索する場合、過去にこだわるのは得策でなく、今後に目を向ける意識が必要になると考えられます。

サンクコストからの脱出

サンクコストからの脱出は、過去への執着を取り除くのに不可欠な要素でしょう。そもそも、サンクコスト(sunk cost)は、すでに投資した資金や労力のうち回収できないコストです。過去に買い物で支払ったお金や仕事に費やした労力も、通常は取り戻せません。回収不可の費用について後悔しても現状は変わらないため、過去にこだわらず今後の人生を検討する時、サンクコストからの脱出は欠かせなくなると考えられます。これらのポイントを意識すれば、クォーターライフクライシスの対策は進みやすくなり、人生の不安や焦りを解消するのに役立つでしょう。

ミッドライフクライシスとは

ミッドライフクライシスとは

ミッドライフクライシスは、人生の中年期(40代~50・60代)に約8割が経験するといわれる心理的な危機状況です。

第二の思春期・思秋期

ミッドライフクライシスが訪れる中年期は、第二の思春期・思秋期とも呼ばれる年代です。もともと、ミッドライフ(midlife)は「中年」などの意味があり、よくミッドライフクライシスは「中年の危機」と表現されます。具体的には、40代~50・60代が不安や心の葛藤を抱える心理状態です。

40代~50・60代は、一般的に体や仕事・家庭生活で大きな変化が訪れる時期といわれています。その際、「このままでよいのか」と自問し、現状や今後について不安や焦りを感じるケースは珍しくありません。このような心理は、10代~20代の若者が「自分とは何者か」「どう生きるか」と問う思春期の姿に近いといわれ、第二の思春期・思秋期とも呼ばれています。

具体的な悩み

ミッドライフクライシスに見られる悩みは、具体的に示すと、体力の衰えに対する不安現状・今後の人生についての焦りなどです。40代以降は、30代までに比べると、体力面の低下を感じやすくなります。体の動きは鈍くなり始め、疲れが取れにくくなり、免疫力も下がってきます。様々な場面で体力の衰えを実感するため、「このままでよいのか」と不安を感じがちです。

また、職場で部下が成長するなか自分が昔ほど成果を出せなくなると、能力の衰えに焦りを感じる傾向があります。さらに、子どもが自立すると無力感を覚え、これからの生き方について迷うケースも多く見られます。このように、ミッドライフクライシスは、体力・能力の低下や生活環境の著しい変化から生じるところが特徴的です。

危機への対処法

ミッドライフクライシスに対処する際、人生の方向性を再確認する・新しいことに挑戦するといった方法は効果があるでしょう。これまで家族を支えるため仕事や家事に励んでいた場合、子どもが家を出ると、今後の目標を見失うかもしれません。

そんな時は、改めて人生の方向性を検討すると、これから目指すものを見出せる可能性があります。すぐに新しい目標が思い浮かばなくても、焦らなくて大丈夫です。とりあえず、未経験の分野に挑戦するだけでも、交友関係が広がり人生の楽しみが増えるケースは多いといわれています。趣味を増やしたり資格に挑戦したりすることで新たな可能性が見えれば、老後を生きるうえでの励みや自信につながると期待できます。

いずれにしても、クォーターライフクライシスやミッドライフクライシスは特別なものでなく、各々の年齢層に多く見られる心理状態です。20代後半~30代半ば・40代~50・60代とも、人生に悩みやすい時期といわれています。人生100年と考えれば、20代・30代には多くの時間が残されています。

また、中年期の年代にとっても、まだ人生は半ばです。これまでの経験を活かし、人生を楽しめる可能性は十分にあると見られています。それぞれ自分の将来や老後の生き方にプレッシャーを感じているかもしれませんが、あまり気負う必要はないでしょう。どちらのクライシスも適切に対処すれば解決できるといわれているため、少し肩の力を抜いて向き合うことをおすすめします

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