これからコールセンターがとるべき方向性 ~クレーム編~
更新日:2023.04.17コールセンターコールセンターで何かと心配になるのがクレームの対応。責任者はクレームが発生しないかを心配し、オペレーターはいつくるかわからないクレームにおびえていることが少くありません。今回は、通常では対応できる範囲を超えたクレーム電話について、これからのコールセンターがとるべき方向性をご紹介します。
目次
クレーム内容と対応不可の定義を定めておく
コールセンターは、対面でのやりとりを除けばお客様と最も近い部署であり、声を使って直接やりとりができます。お互いの場所を選ばずにコンタクトできるのもメリットです。そのため、何か問題が発生した際、真っ先にクレームが入りやすい部署と言えます。
コールセンターに寄せられるクレームは、様々な種類があります。食品に異物が混入している、商品が最初から壊れている、思ったサービスが受けられなかったなどです。
今回の話題は、通常のクレームについてではなく、常識の範囲を超える要求をされた時のものです。例えば、お詫び特典の要求や、より高額な商品への交換、手間賃などを請求するなどがあった場合、通常であれば交換や返金のみで納得してもらうように指導されます。1度の説得で受け入れてもらえるなら問題ありませんが、クレームのボルテージが上がっている場合は、よほど話術が得意なSV(スーパーバイザー)などが対応しても、納得してもらえないことがあります。
寄せられるクレームのうち9割以上は大きな内容ではなく、通常の対応とお詫びで納得していただけるケースがほとんどです。最初は興奮していても、次第に落ち着きを取り戻していただくことができます。
しかし、まれに発生する不当な要求に対しても同じように対応しては、人的リソースを著しく消耗することになります。ここまでなら対応できる、これ以上は対応できないというラインを定めておき、多大な負担がかからないようにする必要があるのです。
想定されるクレームの対応方法をあらかじめ定めておく
想定できる内容については、あらかじめどのように対応をするのか定めておく必要があります。クレームの都度、他部署や上司などに確認していては、スムーズな案内ができず、お客様を待たせてしまいます。案内時間が長くなればなるほど、軽度なクレームであるにも関わらず、大きな二次クレームに発展することがあるためです。
スムーズな解決を行う方法としては、オペレーターに対し、あらかじめ問題解決に係る権限をある程度付与しておくことです。上からの指示だけでしか動けないようにするのではなく、オペレーター自身で対処することができれば、スピーディーな解決を望めるからです。
できることとできないことの基準がはっきりと認識できれば、お客様からの質問に対して明確な返答ができるようになり、保留や折り返し電話の回数も減らすことができます。不当な要求をされた時でも毅然とした態度で断ることでき、安心してオペレーションに臨むことができます。
ただし、権限を付与するということは責任もその分増えるため、誰が案内しても同じ結果が出るような明確な取り決めが必要です。対応が二転三転したり、正当な要求であるにも関わらずできませんと言ってしまうと、企業の信頼を損ねてしまいます。
どのような内容であれ、どうしても対応できない、通常対応できる範囲ではないが、不当な要求ではないと判断できれば、そこからはオペレーターが上司などにエスカレーションし、解決方法を探るステップへ移行します。
モンスタークレーマー発生の背景
クレームはお客様の意見であることに違いはありません。複数のお客様から同じ趣旨の意見をいただいた場合は、改善の余地がある可能性を示しており、些細な内容であっても耳を傾ける必要があります。しかし、クレームは宝の山だといって、安易に全ての意見を聞き入れ、言いなりになってしまうのは良くありません。
以前までは、どのような意見も真摯に受け止めるといった姿勢は評価されました。クレームに対して、何の対応も行わずに従業員が言い返してしまうこともあれば、「多少品質が悪くてもみんながこの程度のものであり、我慢すべきだ」と認識されていた時代だったからです。
その後、物やサービスがあふれて選択肢が増えると、それらを比較してより良いものを選択することが可能となりました。そのため企業側は、他社との差別化を図ったり、顧客を逃すまいと躍起になるあまり、本来は提供する必要のないサービスをしようとする動きも出てきます。お客様第一主義を掲げていれば顧客が離れる可能性は低くなりますが、このような弱みにつけこんで不当な要求をする人が出てきたのです。
不当な要求を撃退する理由
不当な要求に応え続ければ、企業も従業員も疲弊してしまいます。企業は慈善活動ではなくビジネスを行っていますので、ほんの一握りの人間による自分勝手な振る舞いのために、残りの9割以上のお客様や従業員が不利益を被ってしまうようなことを容認するのは、現代の企業として正しい姿勢とは言えません。
現代ではさらに効率化が進み、必要のないサービスや根拠のない値引きなどが徐々に行われなくなる傾向にはありますが、「何かクレームをつけたらもっとサービスをしてもらえる」「自分は客だから言うことは何でもきいてくれる」と思っている人は少なからず存在します。対応できる範疇を超えた場合は、勇気を持って1人の顧客を失うことが必要です。
コールセンターから話がずれてしまいますが、コンビニエンスストアの前で座り込みを行う、大きな音や声を出す、ゴミを散らかすなどする人間を根気よく追い払ったり、駐車場での暴走行為や迷惑駐輪、迷惑駐車を撃退すると、1~3割程度の売上アップが見込めるのではないかと思われます。あの店は治安が悪いから近づきたくないという心理から他店を利用するようになり、本来獲得できていた売上を逃しているのです。
このような迷惑行為は集団で行う傾向も強く、少し注意しただけでは何も解決しないことがほとんどです。そのまま放置していれば迷惑行為がよりエスカレートするため、ある程度のラインを越えたらお客様として扱わないことが最善策となるのです。
顧客と接点を持つコールセンターにとっても同じで、傍若無人にふるまう人間は遠ざけるべきであると言えます。普段から様々な場所で不当な要求を行っていることも多く、軽微な内容であっても不必要なほど反応し、威圧的な態度で長時間の通話を強いられる傾向があるため、オペレーターに多大な負担がかかります。その結果オペレーターは疲弊し、応答率などの応対品質低下をはじめ、離職率などの様々な指標を悪化させます。人員が足りずに応対品質が落ちればクレーム数も増加し、更に負担がかかって人員とお客様が減っていきます。
不当な要求をはねのけることが、オペレーターを守り、自社を守り、そして優良なお客様を守ることにつながります。
全社一丸となってクレーム対策に取り組む
この取り組みは、一朝一夕で実現できるものではなく、多くの人間の理解と協力が必要です。1人のオペレーターの意識やコールセンターという部署だけの問題ではありません。企業全体が一丸となって取り組む必要があります。
労働人口が減少し、人手不足が確実に広がっています。コールセンターを働きやすい魅力的な職場として認知してもらえなければ、これから先は更に苦労する可能性が高くなります。
不当な要求に応え続けなければならず、改善の様子もみられないコールセンターでは、転職を決意するオペレーターが減ることはありません。入れ替わりが激しければ、個々の電話応対の技術が伸び悩むことになり、応対品質が維持できなくなるかもしれません。
また、不当な要求だけでなく、オペレーターへの嫌がらせやハラスメント発言、脅すような内容などがあれば、即座に電話を切っても良いとするコールセンターも存在します。お客様が優良な企業を選ぶだけではなく、企業側も優良なお客様を選ぶという動きが出てきており、お客様満足度と同時に、従業員満足度の向上も目指している様子がうかがえます。
悪循環に陥る前に、オペレーターと優良なお客様を守るための対策を進め、問題がある場合は改善していくことが必要です。
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