【確定申告】何が対象になる?医療費控除になる意外な支出!
更新日:2023.12.15ビジネス豆知識医療費控除は、一定の条件を満たすと医療費の控除を受けられる制度です。できるだけ多くの支出を控除できれば家計への負担を減らせますが、いろいろ分かりにくいとの声は少なくありません。この機会に、この制度の概要を再確認すれば、控除申請の手続きを進めやすくなるでしょう。そこで今回は、医療費控除の基本的な情報を解説し、控除対象になるものや適用対象外のものについてご紹介します。
目次
医療費控除に関する基本知識
医療費控除は、1年間に自己負担した医療費が一定額を超えた時、同年の課税対象となる所得から差し引ける控除制度です。以下では、この制度の申請時期や控除を受けられる金額についてご紹介します。
年末調整で出すの?それとも確定申告?申請時期について
医療費控除の申請時期は、適用対象となる期間の翌年の2月16日~3月15日です。この控除制度では、1月1日~12月31日の1年間に自己負担した医療費が適用対象になります。会社などに勤務している場合、勤務先の年末調整で医療費控除を受けることはできません。
そのため、医療費の負担額を年間所得から控除してもらうには、翌年に自分で確定申告する必要があります。基本的に確定申告の受付期間は2月16日~3月15日であり、この期間が医療費控除の申請時期になります。
控除を受けられる金額
医療費控除を受けられる金額は、現行制度では200万円が上限です。自己負担した医療費は、年間の負担額が10万円を超えた時に控除を受けられます。保険金などで補填された分は、負担額に含まれません。また、年間所得が200万円未満の場合、負担額が年間所得の5%を超えると控除対象になります。
具体的な控除額は、「医療費の負担額-10万円」の式で算出できます。保険金などの補填分は「負担額」から差し引き、年収が200万円未満なら「10万円」を総所得の5%に置き換えて計算します。計算結果が200万円を超えた場合、200万円まで控除可能です。
対象となる人
医療費控除の適用範囲に含まれる人は、納税者本人および同じ生計のもとで暮らす配偶者・親族です。ひとつの生計から支払われた親族の医療費は、まとめて控除を受けられます。同居している必要はなく、1人で暮らしている子どもや介護施設に入っている親も、経済的に支援を受けていれば生計を共にしていると認められます。
夫婦共働きの場合、それぞれ所得はありますが、医療費は合算による控除申請が可能です。通常、所得があるほど税率は高くなるため、年間所得が多いほうで控除申請すると控除額も大きくなり、お得になりやすいといわれています。
ふるさと納税を利用した場合の注意点
ふるさと納税と医療費控除は、併用可能な控除制度です。ただし、ワンストップ特例制度を利用する時は、注意する必要があります。ワンストップ特例は、住民税が控除対象になる仕組みです。所得税は対象でなく、確定申告が不要であることを適用条件に定めています。
この条件を満たすため確定申告しなければ、医療費控除は受けられなくなります。逆に、医療費控除を申請する時は、ワンストップ特例を利用できません。その場合、確定申告の際に、ふるさと納税も申請することになります。また、医療費控除を併用すると、ふるさと納税の控除限度額は減るため、気をつける必要があります。
医療費控除の対象となるもの
医療費控除の代表的な適用対象は、保険治療にかかった費用・出産費用・入院時の費用などです。以下では、これらの項目について具体的な控除対象となるものをご紹介します。
保険治療にかかった費用
保険治療にかかった費用は、医師の診療や治療を受けた場合、その対価として支払われた費用です。医師の診療や治療には、風邪やケガの診察にとどまらず幅広い内容が含まれます。具体例としては、治療目的のマッサージ・はり・きゅうや看護師・准看護師・保健師などによる療養上の世話が挙げられます。
また、介護福祉士などによる一定の喀痰吸引および経管栄養や、介護保険などの制度で提供されたサービスの対価も医療費控除の適用対象です。他には、治療上の必要から購入した医薬品・義手・義足・松葉杖などの費用も含まれます。
出産費用
出産費用の場合、出産に伴い支払われた各種の医療費が控除対象です。具体的な費用としては、妊娠から出産までに負担した検診費や診療費が挙げられるでしょう。自宅や助産院で出産する時、助産師による分べんの介助を受けた場合、その対価も含まれます。また、妊娠期間や出産時の診療・治療で処方された医薬品などの購入代も、医療費控除の対象になります。
入院時の費用
ケガや病気で入院した場合、治療の必要から生じた費用は基本的に控除対象です。まず、医師による診療・治療の対価や治療目的で処方された医薬品の購入代は、適用対象と見なされます。次に、治療上の必要から入院する時の部屋代・食事代、また入院時に必要となる医療用器具などの購入代・賃借料も含まれます。
なお、いずれの費用も控除の可否については細かい規定が設けられているため、詳細は国税庁のホームページなどでご確認ください。
参照:国税庁 医療費控除の対象となる入院費用の具体例 (参照 2023-12-15)
意外な医療費控除対象
医療費控除の意外な適用対象としては、交通費・レーシック治療費・歯科治療費が挙げられるでしょう。以下では、それぞれの具体的な控除範囲などをご紹介します。
交通費
医師などの診療や治療を受ける時に支払った交通費は、控除対象になる可能性があります。実際の控除対象に含まれる交通費は、基本的に電車やバスなど公共交通機関の乗車運賃です。また、何らかの理由で公共交通機関を利用できないケースでは、タクシー代も対象になります。ただし、自家用車を使用した場合、ガソリン代や駐車料金は対象外です。
レーシック治療費
レーシック治療は、視力を矯正する方法と認められているため、手術にかかった費用は控除対象になります。国税庁の説明によれば、レーシック手術は、角膜にレーザーを照射して近視や乱視を治療する方法です。具体的には、眼の構造を医学的な方法で正常な状態に回復させる手術と述べられています。そのため、手術費は医師の診療や治療の対価であり、医療費控除の適用対象に含まれると認識されています。
歯科治療費
歯科治療の費用は、一般的に健康上の必要性などが認められた場合は医療費控除の対象です。たとえば歯列矯正は、不正咬合が子どもの成長を妨げる恐れがある場合などに、医療的な治療と認められます。また、インプラント治療や義歯の装着も、歯の欠損を補い機能を回復するためであれば医療目的の治療と見なされます。ただし、いずれも、容ぼうの美化を目的としているケースでは医療費控除の適用対象に含まれません。
参照:国税庁 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例 (参照 2023-12-15)
医薬品の購入費
自分で市販の医薬品を購入した時は、ケガや病気の治療が目的なら、購入代は医療費控除を受けられます。通常、医療費控除の適用条件は、費用が10万円を超えた時です。それに対し、医療費控除の特例制度「セルフメディケーション税制」を利用した場合、下限が12,000円に変わります。そのため、これまでより控除を受けやすくなるといわれています。
ただし、セルフメディケーション税制の上限は88,000円・控除対象は特定の成分を含むOTC医薬品のみであり、指定の検査・健康診断を受けている必要があるなどの違いが見られます。加えて、セルフメディケーション税制と医療費控除を併用することはできない点に留意しましょう。
医療費控除には当たらないもの
医療費控除に該当しないものは、メガネ・コンタクトレンズや健康診断・人間ドックの費用です。視力の低下などに伴いメガネやコンタクトレンズを購入した場合、一般的に購入代は控除対象になりません、例外として、医師の治療を受ける必要から買った時、また購入に伴い眼科医で診療を受けた時、それらの費用は適用対象と見なされます。
健康診断や人間ドックは、ケガや病気の治療が目的でないため、原則的に費用は医療費控除の対象外です。ただし、病気が見つかり引き続き治療が行われた場合、治療に先行する診察と見なされ、控除対象と認められます。また、美容目的の医療にかかった費用も、医療費控除は適用されません。歯列矯正やインプラントも、健康上の必要からでなく容ぼうの美化が目的の時は、適用対象の範囲外になります。
確定申告で医療費控除を申請する際、いずれの医療費が控除対象に含まれるか迷った場合は、国税庁のホームページなどで確認することをおすすめします。
参照:国税庁 医療費控除の対象となる医療費 (参照 2023-12-15)
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