カーボンニュートラル実現のため企業ができること
更新日:2022.11.21ビジネス豆知識カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの最終的な排出量をゼロにすることです。2021年時点で、日本を含む世界124カ国と1地域が、2050年までの実現を目指して取り組んでいます。様々な関連情報を把握することで、企業での温室効果ガスの削減に取り組みに役立つでしょう。そこで今回は、カーボンニュートラルの概要、現時点の予測や世界の動き、企業で進められる対策などをご紹介します。
目次
カーボンニュートラルの概要
環境問題において「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの全体的な排出量をゼロにすることです。現在、日本を含む世界各地では、排出量ゼロによる脱炭素社会の実現を目指しています。
そもそもニュートラルにするとは
もともとニュートラルとは、「いずれにも片寄らない中立あるいは中間の状態」を指す言葉です。本来、英語のneutralには「中立的」や「中間的」の意味があります。自動車であればエンジンが回転していてもギアがかみ合わず、動力が伝わらないため中立のまま前後に動き出さない状態です。
環境問題の場合、地球上に排出される諸々の温室効果ガスがゼロになった段階を「カーボンニュートラル」と表現しています。排出された温室効果ガスから、森林や植物による吸収量を差し引いたトータル量が判断基準です。
現実的に、日々の生活を送るうえで排出量を完全にゼロにするのは不可能といわれています。石油や天然ガスなどの化石燃料は地球温暖化の主な原因である二酸化炭素を排出しますが、各種のエネルギーを生成する時に使用を避けられません。
そのため実際は、自然界の吸収量を差し引いた合計の排出量ゼロを達成することで炭素資源に依存する状況からの脱却を目指しています。
カーボンニュートラルを目指す背景
世界各地で国や企業がカーボンニュートラルの実現を目指す背景は、人為的な活動による温暖化現象の深刻化です。問題視されている温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)をはじめ、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)が含まれます。これまで長年にわたり排出が続いた影響で、地球温暖化が進んでしまいました。
専門家は、以前から地球環境の深刻な変化を指摘しています。さらに近年は、政府間パネル(IPCC)が気候変動について第6次評価報告書を発表しています。そのなかで、人間活動が地球温暖化に及ぼす影響は疑いの余地がないと記しました。
環境省が示したデータによると、2019年に世界の平均気温は2016年に続く2番目の高さを記録し、熱波や森林火災が発生しています。気候変動による被害は深刻であり、カーボンニュートラルなどの温暖化対策は世界的な急務になっているといえるでしょう。
この点は日本も例外でなく、2020年10月、当時の菅総理は臨時国会における所信表明演説で2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言しています。
現時点での予測や世界の動き
現時点では、このまま地球温暖化を放置しておくと後々の世界の平均気温は3~6℃くらい上昇するとの予測です。さらなる被害の深刻化が懸念されており、各国は次々にカーボンニュートラル実現の動きを進めています。
現時点での予測
先の政府間パネルが公表した報告によると、2081年~2100年に予測される世界の平均気温は現在より3.3~5.7℃ほど上がるとの見方です。かつて18世紀半ばから19世紀頃、ヨーロッパやアメリカを中心に産業革命が起こりました。それ以降、世界の平均気温は約1℃上昇したといわれています。数値だけ見ると小さな変化に感じられますが、実際は世界中に大きな影響が出ている状況です。
今後、政府間パネルが最新の科学的知見にもとづき描いたシナリオ通りに平均気温が推移した場合、日本は亜熱帯気候に変わると考えられています。このシナリオは、気候変動に対する各国の施策が十分でないケースを想定しています。温暖化対策が遅れると、気候変動の影響は増大するリスクがあるためカーボンニュートラルにとどまらず早めの対策は怠れません。
懸念される被害
将来的な地球温暖化に伴い懸念される被害は、熱波や山火事の発生以外にゲリラ豪雨や熱中症の増加、また新たな感染症の流行が挙げられます。2019年の気温上昇によりフランスは最高気温46.0℃に達する熱波に見舞われ、その影響で多くの尊い生命が失われました。オーストラリアで発生した山火事は炎症面積が700万haに及び、北極圏のシベリアやアラスカでも森林火災が起きています。
ゲリラ豪雨や熱中症が増え続けると、平穏無事な日々の暮らしを維持することは難しいでしょう。農作物の収穫や水産物の漁獲に大きな影響が出れば、食料問題も加速するかもしれません。またコロナ禍が収束しても新たな感染症が流行し始めたら世界は再び混乱すると懸念され、未来の暮らしを守るために各国は協力する必要があるといわれています。
世界各国の動き
ここ数年来、世界各地ではカーボンニュートラルの実現に向けた動きが活発です。様々な国や地域で、環境問題に対する関心は高まっています。以前は、二酸化炭素の排出量が多い国で気候変動に関する責任を積極的に果たすべきとの意見が目立ちました。温室効果ガスの排出量を比べた際、国によって差異が見られたためです。
この考え方が改められた大きな要因は、2015年に採択された「パリ協定」です。気候変動の問題は先進国や発展途上国の区別なく多発し、すべての国と地域が協力しながら取り組むべき課題との認識が生まれています。パリ協定では、参加国すべてが温室効果ガスの削減に取り組むと約束されました。世界の平均気温の上昇を「1.5℃に抑える努力を追求すること」などが共通の目標として掲げられています。
企業が進められる対策
カーボンニュートラルの実現に向けて企業が進められる対策は、温室効果ガスに関する社内の現状把握や省エネ活動の実施です。ほかには、再生可能エネルギーを活用する方法などもあります。
社内の現状把握
それぞれの企業は、温室効果ガスの排出量や削減手段について社内の現状を把握すると温暖化対策に有効です。まず温室効果ガスに関しては、エネルギーの消費量やCO2の排出量を確かめます。これらは国の定める温暖化対策に関連した法律において不可欠の報告事項であり、カーボンニュートラル導入の出発点ともいわれます。
次は、エネルギー起源のCO2を削減する手段について理解する段階です。エネルギー起源のCO2は、発電や加熱処理のため化石燃料を使った時に生じる二酸化炭素を意味します。CO2など温室効果ガスを生むエネルギーの使い方を見直すとともに、どんな削減手段を社内で採用できるか検討するとカーボンニュートラルにつながります。
省エネ活動の実施
各職場における省エネ活動の実施も、カーボンニュートラル実現に効果を発揮する方法です。ビジネスの場や私生活で広く知られる省エネ活動には、「節電」があります。会議室やトイレの使用後にこまめな消灯を心がけると電力の消費量は減り、CO2の発生を抑えやすくなります。
最近は、蛍光灯からLEDへの交換も節電を見込める代表例の一つです。また、ポンプから各設備に水を送る時、電力の浪費を減らすため水の流量を調節する仕組みをバルブからインバーターへ切り替えるケースも見られます。どんな活動を取り入れるべきかで迷った場合は、省エネルギーセンターなど公的機関による診断を受けると的確な方法について調べられます。
再生可能エネルギーの主な事例を挙げると、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどです。近年は温室効果ガスの排出量を削減する数々の方法が考え出され、企業はいろいろな形でカーボンニュートラルの実現に貢献できます。
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