日本とはどこが違う?海外のテレワーク事情

更新日:2023.02.16ビジネス豆知識

海外のテレワーク

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、国内で普及したテレワーク。この働き方は日本限定でなく、海外でも導入が進んでいます。ただ日本と海外のテレワーク事情は、必ずしも同じではありません。海外の事情を理解しておけば、さまざまな国でテレワークする時に戸惑わなくて済むでしょう。そこで今回は、海外のテレワーク導入状況や日本とのテレワーク事情の違いなどをご紹介します。

海外のテレワーク導入状況

現在、厚生労働省のデータによると海外のテレワーク導入率はアメリカ85.0%、イギリス38.2%、ドイツ21.9%、フランス14.0%です。これらの導入率の違いは、それぞれの国の事情に由来すると考えられます。

アメリカの動向

アメリカの導入率が8割を超える背景には、他国より早くからテレワークが導入されていたためといわれています。そもそもアメリカは、テレワーク発祥の地です。1970年代には、この勤務スタイルが登場していました。最初に導入された地域としては、ロサンゼルス周辺が挙げられます。

新しい勤務スタイルが考え出された主な要因は、国土の広さです。このシステムにより、家族はそれぞれの職場が遠く離れていても一緒に在宅したまま働くことが可能になりました。世界的に知られる大手企業でもフルタイムでの在宅勤務が主流になるケースは見られ、これらの事情が現在の定着率の高さに反映されたと考えられています。

ヨーロッパ諸国の動向

ヨーロッパ諸国の場合、各国の事情の違いから導入率に多少の差が生じているといわれています。イギリスは、ヨーロッパのなかではテレワークの普及率が比較的に高い国です。その主な要因には、インフラの老朽化により交通事情が悪くなり職場が自宅から次第に離れていったことが挙げられます。ドイツは、2001年頃から公共機関でいち早くテレワークの導入が始まりました。

さらに一般企業でも労働環境を改善する動きが進み、フレキシブルな働き方のひとつとしてテレワークが選ばれています。フランスは、ヨーロッパ諸国のうちテレワークの導入にやや苦労している国です。その背景には厳格な労働法の存在があり、経営者側は法律にもとづく会社運営が難しくなるテレワークに消極的といわれています。

アジア地域の動向

アジア地域は、日本を含めテレワークに関して発展途上と見なされています。日本では、1980年代にテレワークのシステムが知られていました。ただ当初はネット環境が整備されていなかったためもあり、普及しなかったと指摘されています。韓国の場合、2010年頃から行政主導によるテレワーク推進の動きが見られました。

政府は2015年までに30%の実施を目指しましたが、調査結果によると現状の導入率は1.0%未満にとどまっています。中国は、国土が広いので今後はテレワークが普及すると予想される段階です。それ以外の国々の詳細は不明ですが、欧米に比べると全体的にテレワークの導入が進んでいないといえるでしょう。

海外に見られるテレワークの問題点

海外に見られるテレワークの主な問題点は、生産性の低下、勤怠管理・健康管理の難しさ、作業環境の整えにくさの3つです。

生産性が低下

海外の企業からは、テレワークにより仕事の生産性が低下すると懸念する声が多く聞かれます。テレワークは、オフィス以外で勤務するスタイルです。それぞれが作業する場所は、たいてい多少なりとも離れます。同じ職場に出勤しないため、お互いが顔を合わせる機会は少なくなります。

そこで発生する事態が、コミュニケーション不足です。ひとつの職場に集まるのと異なり簡単に会話できず、仕事での連携が難しくなりチームワークが欠如する傾向にあります。職場の同僚との一体感が生まれないと仕事へのモチベーションは上がらず、生産性の低下を招きがちです。

勤怠管理・健康管理が難しい

テレワークは作業場所が会社の職場から離れ、勤怠管理・健康管理が難しくなると指摘されています。従業員が職場以外で働いていると、基本的に上司は勤務状況を十分に把握できません。とくに自宅勤務では、時間を気にせず深夜まで作業できるため長時間労働になるケースがよく起きています。

長時間労働は、健康を害する大きな要因です。勤怠管理が行き届かず夜遅くまで働く状況が見逃された時には、従業員が体調不良を訴える事態を引き起こしています。テレワークは長時間労働やそれに伴う体調不良を招きやすく、会社による勤怠管理と健康管理の難しさがよく問題視されています。

作業環境を整えにくい

作業環境を整えにくいところも、テレワークで問題になることの多いマイナス面です。在宅勤務の場合、私物のあふれる自宅が作業場所になります。趣味関係のグッズからの誘惑は避けがたく、すぐ近くで家族がテレビを見ている時も番組の内容が気になるでしょう。

外出先でカフェや公共施設を利用した際には、ネット環境が整備されていないケースにも見舞われます。テレワーク中はインターネットをスムーズに使えないと業務に差し支える場合があります。自宅か外出先かを問わずあらゆる場所がテレワークでの利用を考えて設計されているわけでなく、作業環境が整っていないと仕事の効率が下がる問題につながっています。

日本と海外とのテレワーク事情の違い

日本と海外諸国を比べた時、とくに顕著な違いはテレワークを取り巻く環境の差です。

日本のテレワーク事情

日本は、最近までテレワークの導入率が伸び悩んでいました。いま急速に広まっている主な要因は、新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大したためです。ただ、この機会に多くの労働者からは通勤の面倒がない勤務スタイルが高く評価されています。そのため、国内では今後もテレワークが継続される見通しです。

欧米のテレワーク事情

欧米のうちアメリカはもともとテレワークに理解があり、高い定着率は今後も維持されると予想されます。イギリスも合理的な働き方と考える傾向にあり、普及率が伸びる可能性は高いでしょう。ドイツはテレワークを柔軟な働き方のひとつと見なす考えであり、フランスには法律の壁があります。これらの国々では、これからも普及率が伸びにくいかもしれません。

アジアのテレワーク事情

アジアは、将来的にテレワークが広まると見込まれている地域です。とくに国土の広い中国は、これから大きく普及が進むのではないかと注目されています。他の国々も、テレワーク推進の動きは著しいといわれています。未知の部分が多いとはいえ、この勤務スタイルが定着する可能性は十分にあるでしょう。

テレワークの問題点は大差がない

テレワークの問題点に目を向けると、日本と海外であまり大きな差は見られません。コミュニケーション不足による生産性の低下、勤怠管理・健康管理の難しさに伴う長時間労働や体調不良、作業環境が整わないための業務効率の悪化は日本と海外ともに共通の問題です。国内企業は、これらの課題を解消するためコミュニケーションの機会を増やす対策や管理体制の整備を積極的に進めています。労働者側も、テレワークしやすい作業環境づくりに努めています。

最近は、テレワークに適したコワーキングスペースや賃貸物件を提供するサービスも増え始めました。日本と海外でテレワークを取り巻く環境には多少の違いが見られるものの、主な問題点は共通していると考えられます。国内で取り組まれている解決策をできるだけ知っておけば、海外でテレワークする際にもいろいろと役立てられるでしょう。

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