コロナ問題で仕事を失ったときにできること

更新日:2023.02.27ビジネス豆知識

失業した女性

2020年6月現在、新型コロナウイルス感染症の脅威が世界中を襲っています。日本では緊急事態宣言は解除されたものの、感染者がなかなか減らないのが現状です。そして、新型コロナの流行によって表面化しているのが、コロナショックによる解雇や雇い止めです。今回は、コロナ問題で仕事を失った時に活用できる制度や、手続きをご紹介します

新型コロナウイルスを理由とした解雇や雇い止めが増えている

冒頭でも述べた通り、新型コロナを理由とした解雇や雇い止めが社会的な問題となっています。2020年6月9日の厚生労働省の発表によると、6月5日時点で見込みを含めて累計20,933人が解雇や雇い止めにあっているようです。約2週間で倍増しており、新型コロナの影響が広く現れていることが分かります

また、上記の調査は厚生労働者が全国の労働局やハローワークに問い合わせを行って判明した数字です。企業が解雇や雇い止めの通知を行っていないケースも考えられるため、実際の数はさらに多いといえるでしょう。さらに、上記の記事では新型コロナによる失職者の割合も紹介されています。

正規社員が45%、非正規社員が55%と若干の差はあるものの、派遣社員やアルバイト、パートなどの非正規社員が多い傾向にあります。非正規社員が雇用の調整弁としての役割を一方的に担わされているといえるかもしれせん。

雇用契約の終了の3つの種類

使用者や労働者の意思で雇用契約を終了させる方法には、解雇、雇い止め、退職の3種類があります。それぞれの違いを下記に列挙します。

□解雇・・・使用者から期間の定めのない雇用契約や、期間の定められた雇用契約を解除する場合に用いられる
□雇い止め・・・期間の定められた雇用契約の期間が満了し、契約が更新されない場合に用いられる
□退職・・・労働者側から雇用契約の解除を申し出る場合に用いられる

使用者には業績が振るわないことを理由に労働者を解雇する権利が認められています。これを「整理解雇」と呼びます。ただし、整理解雇は無制限に認められるわけではなく、下記の条件を満たすことが必要です。

□人員削減の必要性
□解雇を回避するための努力を尽くした
□解雇者の選定に対する合理性
□労働者の説明を尽くした

本来であれば、上記条件を満たさなければ行えない整理解雇ですが、今回の新型コロナの影響で強引に解雇されてしまうケースも増えています。また、労働者が単なる退職勧奨を解雇通知と勘違いし、退職してしまうこともあるようです。

解雇なのか退職勧奨なのか

使用者から「明日から来なくて良い」といわれたら、みなさんは解雇通知と退職勧告のどちらだと考えるでしょうか。実際は退職の勧奨であるにもかかわらず、労働者が勘違いして辞めてしまうケースも増えています。会社を辞める場合、解雇なのか退職なのかは今後に大きく影響します。転職の際に理由を尋ねられることもありますし、労働者に非があると判断されるとマイナスの評価を受けるかもしれません。失業保険の給付日数や支給制限に影響を与える可能性もあります。

解雇と退職勧奨は、本来まったく異なる性質をもつ制度です。打診された時点ではっきりと区別できない場合は、労働者は会社に確認する権利を有しています。また、はっきりと解雇の打診をされた場合も、労働者はその理由を確認することができます。具体的には、労働基準法第22条で定められている「解雇理由」を書面で提出するよう請求しましょう。

今回の新型コロナの影響によって、解雇や退職勧奨を迫られるケースも増えています。なかには、白紙の退職届を渡され「人員整理のために辞めてもらうが、会社都合の退職にはできないためこれに記入して欲しい」と促されるような悪質な事例もあるようです。自己都合退職となると、失業保険の支給開始日が遅くなったり、最大支給額が少なくなったりと労働者に不利な事由も発生します。自己都合での退職届の提出を求められた場合も、絶対に記入することなく、労働組合や必要な機関へ連絡し対応を依頼しましょう。

新型コロナによって失業した場合に行うべきこと

新型コロナの影響下であっても、雇用調整助成金制度などを活用して労働者を守っている使用者も多く見られます。一方で、突然の解雇や自己都合退職を余儀なくされるケースも少なくありません。ここからは、今回の新型コロナによって失業した場合に活用できる制度や助成金をご紹介します

退職前に解雇理由証明書を受け取っておく

失業後すみやかに失業手当等を受け取るためには、雇用保険被保険者離職票に「会社都合退職」と記載されている必要があります。ただ、上記の様に労働者が会社都合だと考えていても、使用者側は自己都合退職として処理しているケースも少なくありません。

そういった労使間の認識の相違を防ぐために、退職前に必ず「解雇理由証明書」を受け取っておきましょう。解雇理由証明書には、会社が労働者を解雇した理由が記載されており、後に退職理由について見解の相違が生まれた際の客観的証拠となります。また、離職理由証明書については、解雇の通知日から退職日までに請求する必要があります。

失業手当の請求を行う

新型コロナの影響により失業した場合、もっとも多くの方を対象としてしている制度が「失業手当」です。前述の通り、失業手当は自己都合退職の場合、支給まで多くの時間を有するといったデメリットがありましたが、今回の新型コロナに関して特例措置が設けられました。具体的には、令和2年2月25日以降に新型コロナの影響で失業した方は、「特定理由離職者」となり失業手当の給付制限を受けません。

つまり、支給までに一定の期間を要することなく、失業手当を受け取れるようになりました。新型コロナの影響により、すぐに再就職することが難しい方も多く、前述の様な自己都合退職を強いられての失業も増えているためでしょう。

ただし、誰でも特定理由離職者とみなされるわけではありません。以下の3つのいずれかの条件を満たす必要があります。

□同居の家族が新型コロナに感染し、看護または介護が必要になったことによる自己都合退職した場合
□本人の職場で感染者が発生した、または本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有する、妊娠中、高齢などの理由で感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合退職した場合
□新型コロナの影響で子の養育が必要になったことを理由として自己都合退職した場合

また、すでに給付制限期間中に入っている方も、一定の条件を満たすと即時に失業手当が支払われる可能性があります。具体的な内容については、お住まいの地域を管轄している公共職業安定所へご相談下さい。

緊急小口資金の特例貸付

新型コロナの影響による失業で日々の生活費にお困りの場合は、緊急小口資金の特例貸付を活用することもできます。本来は低所得世帯に向けた制度でしたが、今回の新型コロナの影響を踏まえ、対象世帯が拡大されています。ご自身が対象世帯にあたるかどうかは、厚生労働省のホームページをご覧下さい。

まとめ

新型コロナの影響は甚大であり、依然として、トンネルの先が見えるとはいえない状況です。休業により仕事を満足にできない方もいれば、失業により明日の生活に困っている方も珍しくありません。そういった方に向けて、政府はさまざまな施策を打ち出しています。諦めることなく制度を最大限活用し、次の仕事を見つけるまでの活力にしましょう。

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