SWOT分析でビジネス戦略を導き出そう

更新日:2023.03.15ビジネス豆知識

ビジネス戦略データ

ビジネス戦略の策定において、まずやるべきことは「現状分析」です。競合他社に対する自社の「強み」と「弱み」、課題などを把握しなければ、どの様なビジネス展開が適切か把握できません。そこで活用したいのが、「SWOT分析」と呼ばれるフレームワークです。自社の現状を2×2のマトリクスで情報整理し、最適なビジネス戦略やマーケティング戦略を導き出します。本記事では、SWOT分析の基礎知識と具体的な進行手順をご紹介します。

SWOT分析とは?

SWOT分析とは、自社を取り巻く外部環境および内部環境を分析し、戦略策定などに活かす現状分析手法のひとつです。「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字を取り、SWOT分析(スウォット分析)といいます。

このフレームワークを理解するには、企業経営における内部環境と外部環境の違いを理解する必要があります。具体的な分類は以下の通りです。

【内部環境】

□Strength(強み):目標達成をサポートする自社のプラス要因
□Weakness(弱み):目標達成を阻害する自社のマイナス要因

【外部環境】

□Opportunity(機会):外部要因によって生じるプラス要因
□Threat(脅威):目標達成を阻害する外部のマイナス要因

まず内部環境は、Strength(強み)とWeakness(弱み)といった2つの観点から分析します。前者は自社におけるプラス要因であり、実績・価格・品質・ブランド力・立地条件・インフラなどが挙がります。一方の後者は、自社が抱えるマイナス要因です。コスト不足・リソース不足・認知度不足などが考えられます。

双方とも企業努力で向上・改善ができるため、自社でコントロールできる要素を内部環境に分類するのが一般的です。外部環境を構成するOpportunity(機会)とThreat(脅威)は、ミクロ環境要因(トレンドや顧客ニーズの変化など)とマクロ環境要因(社会情勢の変化など)を元に分析します。外部要因が中心となるため、自社でコントロールできなかったり、偶発的に発生したりする要素が含まれます。

Opportunityは「機会」、厳密には“市場機会”を指します。ミクロ環境要因などを分析し、将来的にどの様なビジネスチャンスが訪れるのかを見極めます。また後者のThreatは、自社の「強み」や“市場機会”を消失される可能性を持つ要素のことです。事前に回避すべき脅威を発見し、それにともなう対策を検討します。

上記4要素を軸に、自社の現状と課題を洗い出すのがSWOT分析です。今日の企業経営に欠かせない分析手法ですが、各項目を適当に並べては結果が偏ります。正しい知識と手順を知ったうえで、的確な分析を行いましょう。

SWOT分析の進め方

内部環境と外部環境を列挙しただけでは、「分析」とはいえません。ここでは、SWOT分析の具体的な進め方を解説します。

1.外部環境の分析

SWOT分析で重要なのは、業界動向あるいは消費者ニーズの「変化」にフォーカスすることです。よって、自社を取り巻く変化が明確になる外部環境の分析から始めることをおすすめします。

外部環境の分析には、以下の様なフレームワークを用います。

□PEST分析
□ファイブフォース分析(5F)
□バリューチェーン
□VRIO
□イノベータ理論

一般的にマクロ環境要因はPEST分析、ミクロ環境要因にはファイブフォース分析(5F)などを使用します。PEST分析とは、「Politics(政治)」 「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字を取ったマクロ環境分析の手法であり、4つの要因から環境を分析し、さまざまな外部要因の変化や事業に与える影響を洗い出します。PEST分析を行うことで、SWOT分析におけるOpportunity(機会)とThreat(脅威)が明確になります。

ファイブフォース分析(5F)は、Threat(脅威)の分析に特化したフレームワークです。事業展開において想定される脅威を「新規参入(Entry)」「競合他社(Rivalry)」「自社製品・サービスに成り代わる代替品(Substitutes)」「サプライヤー(Suppliers)」「顧客(Buyer)」といった5つの要素から考えます。将来的な新規参入者の増加や競合他社の収益力、顧客の交渉力などの観点からThreat(脅威)を分析します。

このほか、競合他社が創出する「価値」を分析するバリューチェーン、競合他社のケイパビリティ(経営資源活用能力)を評価するVRIO、市場全体の製品ライフサイクル(PLC)からOpportunity(機会)とThreat(脅威)を検討するイノベータ理論なども併せて行います。ミクロ環境要因は、複数のフレームワークによる多角的な視点で分析することが大切です。これにより、先述した「分析結果の偏り」を防ぐことができます。

2.内部環境の分析

外部環境分析で洗い出したOpportunity(機会)とThreat(脅威)を元に、競合他社に対する自社の「強み」と「弱み」をファクトベースで分析します。注意点として、「○○の売り上げが大きいのが強み」などと主観的な解釈は避けて下さい。事実確認が取れる要因でなければ、内部環境の分析には使えません。具体的な分析手順ですが、外部環境分析の結果を用います。

例えば、新規参入者の多い業界である場合、参入者よりも優位な点(技術力・ブランド力・経営資源など)が自社の「強み」となります。一方で、自社よりも収益性の高い参入者であった場合は、話が別です。新規参入者に劣る点は「弱み」となり、それが事業展開におけるボトルネックとなることもあります。売り上げなどの数字をもって、「強み」と「弱み」を正確に分類しましょう。

3.クロスSWOT分析

内部環境分析と外部環境分析で得られた情報により、具体的なビジネス戦略を検討します。4つの要素をそれぞれかけ合わせる「クロスSWOT分析」を行いましょう。代表的な組み合わせは以下の通りです。

□Strength(強み)×Opportunity(機会)=自社の強みで“市場機会”を得る戦略
□Strength(強み)×Threat(脅威)=自社の強みで脅威を機会に変える戦略
□Weakness(弱み)×Opportunity(機会)=自社の弱みを改善して機会を得るための戦略
□Weakness(弱み)×Threat(脅威)=自社の弱みが招いた脅威から回避する戦略

もっとも重視すべきは「Strength(強み)×Opportunity(機会)」の戦略で、売り上げ向上や事業拡大には欠かせません。また、「Weakness(弱み)×Threat(脅威)」に対する戦略も必要です。最悪のシナリオを防ぐためにも、具体的かつ実現可能性の高い戦略を策定して下さい。

具体例を挙げてみましょう。例えば、小売業をメインとする企業があるとします。外部環境分析によって得られたOpportunity(機会)が「ネット通販を利用する消費者が増えた」「実店舗を構える競合が多い」「景気回復により顧客利益が増加している」であり、自社の強みが「ネット集客のノウハウと実績を保有」「競合他社よりも安価なサービス価格」であるとします。

この場合に考えられるビジネス戦略は、「ネットショップの開業」や「オウンドメディア運営」「メルマガ配信による集客」などが挙げられます。外部環境を考慮した上で、“競合他社がやっていないこと”あるいは“苦手とすることを”をビジネスチャンスに捉え、ビジネス戦略を策定します。企業における現状分析の基本となる手法ですが、非常に有効性の高いフレームワークであるのは確かです。

まとめ

SWOT分析は、ビジネス戦略やマーケティング戦略を導き出すフレームワークのひとつです。企業経営者にとっては一般常識レベルの手法ですが、正しい手順を踏まなければ、正確な分析結果が得られません。客観的かつファクトベースの分析を行い、結果に偏りが生じないよう注意しましょう。なお、複数人の担当者によるグループワーク形式で分析するのも有効です。自社の「強み」と「弱み」、そして課題と脅威は一体何なのか、多角的な視点から考えてみましょう

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