コールセンターにおけるナレッジマネジメントとは

更新日:2023.06.06コールセンター

コールセンターにおけるナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントは、仕事に関する知識やノウハウを管理する新しい方法です。最近、国内の会社では従来の雇用形態が難しくなったことから、この方法に多くの注目が集まっています。職場で導入すれば、さまざまなメリットがもたらされるでしょう。そこで今回は、ナレッジマネジメントの概要や、導入に伴う基本プロセス、コールセンターに導入するメリットなどをご紹介します

ナレッジマネジメントの概要

マネジメント

ナレッジマネジメントは、言葉通りナレッジ(Knowledge:知識)をマネジメント(Management:管理)することです。最近のビジネスシーンでは、「暗黙知」を「形式知」に変えることで社内にて情報共有する方式が注目されています。

基本的な考え方

現在注目されているナレッジマネジメントの方式は、知識全般を「暗黙知」と「形式知」に分ける考え方が基本にあります。暗黙知は、個人的に所有している知識です。ビジネスであれば、個々に蓄積してきた仕事のノウハウや長年の勘が該当します。いずれも暗黙の状態で使われる場合が多く、社内で共有しにくい傾向があります。

それに対し形式知は、暗黙知を言語などで表現した知識です。個人が暗黙の状態のまま使うのとは異なり、言葉や文章として明示されるため、社内での情報共有が可能になります。ナレッジマネジメントは、さまざまな暗黙知を形式知に変えるところが重要なポイントです。これまでは個人的に占有しがちであった知識やスキルを明示し、社内全体が共有できる形式で管理していきます。

国内で注目される理由

ナレッジマネジメントが国内で注目を集める理由は、伝統的な企業風土が大きく変わり始めたためです。かつて国内の会社は、終身雇用が伝統的なスタイルでした。ベテランが長年にわたり育んできた暗黙知は、日頃の作業を通じて自然と次世代に受け継がれる流れが生まれていたといわれています。

近年は働き方の多様化もあり、多くの会社で伝統的な雇用スタイルの維持は難しくなりました。新入社員が短期間で退職するケースも増え、ベテランから若手へ暗黙知を継承しにくい状況にあります。従来通りの方法では暗黙知が受け継がれずに失われてしまいます。ベテランの暗黙知は会社にとって大きな財産であり、放置するのは望ましくありません。

そこで注目された手法が、暗黙知を形式知に変えて情報共有するナレッジマネジメントです。現在、国内の会社にはナレッジマネジメントの考え方にもとづき知識やスキルを管理する方法が広まり始めています。とくにコールセンターではナレッジマネジメントの重要性は高いと見なされています。各々のオペレーターがスムーズに電話対応するうえで、顧客情報の共有が不可欠であるためです。

代表的な基本プロセス

マネジメントのプロセス

組織においてナレッジマネジメントを導入する際の代表的な基本プロセスは、SECI(セキ)と呼ばれるモデルです。その名の通りS・E・C・Iの4ステップで進めていきます。

Socialization:共同化

共同化は、暗黙知を相互理解する段階です。個々が所有する知識やスキルについて相互の理解を深め、情報の共同化を目指します。このステップでとくに重視される手続きが、同じ体験の共有です。暗黙知は他者が理解しにくい傾向にあり、お互いが同じ体験を経るなかで習得しやすくなると考えられています。まだ最初の段階では暗黙知が形式知に変換されるわけではなく、ひとつの体験を通して相互に伝達・理解するにとどまります。

Externalization:表出化

表出化は、暗黙知を形式知に変える段階です。お互いの理解を深めた暗黙知は、このステップで情報供給できる形式に明示します。ただ、これまで個々の頭のなかにあった知識やノウハウを、すべて簡単に形式知へ変換できるとは限りません。どんな言葉、あるいは図表で示すのが適しているか、職場全体でよく話し合う必要があります。

あくまで形式知への変換作業は職場での情報共有が目的です。具体的なデータを盛り込むなど、分かりやすく表出する工夫は欠かせません。

Combination:連結化

連結化は、個別の形式知を連結する段階です。このステップにより、それぞれの形式知の体系化を目指します。暗黙知を表出化しただけの形式知は、単独のまま使っても効果的に機能しないケースが多く見られます。できるだけ有効活用するには、別々の形式知を体系的に組み合わせる連結化の手続きが重要です。新たな知識体系が構築され各々の形式知が連動的に機能すると、もともとの個人の暗黙知は会社にとって知的財産になったと見なされます。

Internalization:内面化

内面化は、形式知を暗黙知にする段階です。職場で共有した形式知を、今度は個々に暗黙知として習得します。新たに体系化された形式知は、さまざまな業務で活用されると個人の暗黙知になります。ここから個人レベルでは新たな暗黙知が生まれ、さらなる形式知の共有や知識体系の構築につながります。そのため上記の4プロセスを職場で繰り返せば、既存の暗黙知から新たな暗黙知や形式知が生まれる循環モデルを作り上げられます。

ビジネスにもたらすメリット

改善

ナレッジマネジメントがビジネスにもたらす主なメリットは、業務を効率化しやすくなる点です。同時に情報の共有化は個々のスキルアップにつながり、教育体制も整えやすくなります。

業務の効率化

職場でナレッジマネジメントを導入した場合、業務全般の効率化に効果的です。さまざまな職場で長く業務経験を積み重ねてきたベテランは、たいてい手際よく作業する知識やノウハウを身につけています。その方法を職場全体で共有すると、それぞれの業務の効率化を見込めます。

コールセンターの場合、電話対応が中心業務です。いろいろなお客様から着信を受けてきたベテランの応対方法が共有されれば、多岐にわたる用件を職場全体でスムーズに処理しやすくなると考えられます。また業務の進め方に問題があった時は、ベテランの意見を作業方法の改善に活かせるでしょう。

個々のスキルアップ

ナレッジマネジメントの導入は、個々のスキルアップにも効果のある方法です。近年では、以前に比べると終身雇用が一般的でなくなりました。それでもナレッジマネジメントできれば、かつてほど時間をかけずベテランの暗黙知を次世代に継承できます。

コールセンターも、オペレーターの入れ替わりは顕著な傾向にあります。なかなか定着率は上がらないといわれますが、職場でベテランの暗黙知を共有しておけば短時間での新人のスキルアップを望めます。すべてのオペレーターがベテラン並みのレベルで実務に臨めば、職場全体の底上げも期待できるでしょう。

教育体制の整備

暗黙知を形式知に変換してからの新たな知識体系の構築は、職場の教育体制を整備するのに有効です。一通りの暗黙知を形式知に変えても、必要に応じて個別に伝えていたら新人のスキルが向上するまでに多くの時間を要すると考えられます。職場全体のレベルを底上げするとなれば、効率的とはいえません。

それに対し形式知を体系化しておくと、新人教育などで無駄を省くのに役立ちます。どんな指導方法が効率的か検討すれば、職場の教育体制を整える時にも活かせるでしょう。コールセンターをはじめ各々の職場で業務の効率化や教育体制の整備を進めるなら、ナレッジマネジメントがおすすめです。ぜひ基本的な方法を覚えて活用していきましょう。

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