知的財産管理技能検定とは|資格取得のメリットと試験概要
更新日:2025.01.30スタッフブログ知的財産管理技能検定は、合格すると知的財産管理技能士の資格を取得できる検定試験です。近年は特許や著作権への関心が高まり、知的財産管理技能士の資格は、ビジネスの場でニーズが増しています。そのため、知財・法務などの分野でスキルアップを目指すなら、この資格の取得はおすすめといえるでしょう。なお、これらの業界では、業務の効率化や専門業務に集中するため電話代行を導入するケースが多く見られます。資格取得後は、業務効率化の一環として電話代行の活用もご検討ください。
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目次
知的財産管理技能検定とは?
知的財産管理技能検定は、知的財産の管理技能について問われる国家試験です。知的財産教育協会が実施する資格試験であり、1~3級に分けられています。
試験日程
知的財産教育協会の発表によると、2025年の試験日程は次の通りです。
・第50回検定:2925年3月9日(日)
・第51回検定:2025年7月13日(日)
試験方式は、従来の紙試験方式とコンピュータを用いるCBT試験方式の2つです。1級は、学科試験と技能試験ともに紙試験方式のみ、2・3級は紙試験とCBT試験のいずれかを選択できます。また、第50回・第51回の1級試験は、試験分野が以下の通りに設定されています。
・第50回1級試験
学科試験:ブランド専門業務、実技試験:特許専門業務
・第51回1級試験
学科試験:コンテンツ専門業務、実技試験:ブランド専門業務
一方、2・3級の試験分野は、第50・51回(紙試験・CBT試験)の学科試験・実技試験ともに管理業務です。なお、申込受付期間や試験結果通知日の詳細は、知的財産教育協会の公式サイトなどでご確認ください。
知的財産教育協会 知的財産管理技能検定とは (参照 2025-01)
知的財産教育協会 試験日程 (参照 2025-01)
受験資格
知的財産管理技能検定を受ける場合、受験(受検)資格として、原則的に知的財産管理の実務経験が必要です。また、具体的に受験者が求められる資格は、試験の等級によって異なります。3級は、知的財産に関わる業務の従事者・従事予定の人であれば、受験資格を認められます。
また、学科か実技の一方に合格している場合、合格日の翌々年度まで残りの試験が受験可能です。2級を受験する時は、原則として、知的財産に関係した実務経験を2年以上は有する必要があります。加えて、2年以上の実務経験がなくても、3級の合格者をはじめ所定の条件を満たせば受験資格を得られます。
1級の学科試験は、知的財産に関する4年以上の実務経験を有することが原則です。ただし、2級合格者は1年以上・3級合格者は2年以上といった具合に、受験資格となる実務経験の年数は人によって変わります。
1級の実技試験の場合、特許・コンテンツ・ブランド専門業務のうち受験する分野の学科試験に合格している必要があります。あるいは、いずれかの分野で学科・実技ともに合格し、一級知的財産管理技能士の資格を取得していることが条件です。いずれかの試験に合格している場合、受験資格が認められる期間は限られるため、有効期限の詳細は公式サイトなどでご確認ください。
【受験資格】
3級: 知的財産に関する業務に従事している、または従事予定の人
2級: 知的財産に関する実務経験が2年以上ある人、または3級に合格している人
1級: 知的財産に関する実務経験が4年以上ある人、または2級に合格している人
知的財産教育協会 試験要綱 (参照 2025-01)
知的財産管理技能検定|難易度と合格率
知的財産管理技能検定は、2024年を通しての合格率が約5~6割であり、試験全体の難易度は低めといえるでしょう。
合格率
2024年、知的財産管理技能検定の試験は、3月・7月・11月に第47回~第49回が実施されました。それぞれ、全体的な合格率は約58%・53%・49%となり、5割~6割前後に及んでいます。1~3級の結果について内訳を示すと、以下の通りです。
※合格率(申込者数・合格者数)の順
・1級学科(特許):約5%(467人・23人)
・1級実技(コンテンツ):約62%(29人・18人)
・2級学科:約44%(2,217人・976人)
・2級実技:約34%(2,364人・792人)
・3級学科:約60%(3,456人・2,063人)
・3級実技:約58%(3,486人・2,013人)
トータルでは申込者12,019人のうち5,885人が合格し、全体的な合格率は約49%となりました。そのうち、1級実技と3級学科・実技は6割前後に達していますが、2級学科・実技は3~4割、1級学科は1割未満にとどまっています。
以上の結果を見る限り、知的財産管理技能検定の合格率は、試験によって多少の差があるといえます。
知的財産教育協会 第49回|知的財産管理技能検定|実施結果データ (参照 2025-01)
また、第47回・第48回の合格率を試験ごとに示すと、以下の通りです。
・第47回(2024年3月実施)
1級学科(ブランド):約17%、1級実技(特許):約87%、2級学科:約56%、2級実技:約34%、3級学科:約71%、3級実技:約68%
・第48回(2024年7月実施)
1級学科(コンテンツ):約10%、1級実技(ブランド):約89%、2級学科:約36%、2級実技:約35%、3級学科:約68%、3級実技:約63%
いずれも、1級実技は9割近くに達し、3級の学科・実技は6割を上回っています。それに対し、2級の学科・実技は3割強~6割弱にとどまり、1級学科は、約1割~2割弱となりました。1級実技と3級学科・実技の合格率が高め、2級学科・実技と1級学科が低めになる状況は、上記した第49回の結果に近似しています。
ただし、1級実技の受験者は、1級学科の合格者と一級知的財産管理技能士の資格取得者のみです。知的財産管理技能検定の難易度は、ここ数回の試験に限れば3級学科・実技は低め、2級学科・実技はやや低め、1級学科・実技は高めといえるでしょう。なお、知的財産管理技能検定は2008年7月から実施されており、過去の実施結果データは公式サイトなどで確認できます。
知的財産教育協会 第47回|知的財産管理技能検定|実施結果データ (参照 2025-01)
知的財産教育協会 第48回|知的財産管理技能検定|実施結果データ (参照 2025-01)
知的財産教育協会 第49回|知的財産管理技能検定|実施結果データ (参照 2025-01)
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知的財産管理技能検定|資格取得のメリット
知的財産管理技能検定を受けるメリットは、知的財産に関する専門的な能力をビジネスの場で活かせるところです。
就職・転職で有利に
知的財産管理技能検定に合格すると、就職・転職で有利になる可能性があります。この検定は、知的財産の管理技能について、受験者の習得レベルを測定・評価する試験です。学科・実技試験に合格し、知的財産管理技能士の資格を取得すれば、知的財産管理の専門スキルがあることを公的に証明できます。
近年、ビジネスの場では、これまで以上に著作権や商標権を保護する意識が強まってきました。これらの無断使用を見逃すと、企業にとって不利益となるため、知的財産の管理技能に対するニーズは増しているといわれています。このような状況のなか、知的財産管理技能検定に合格すれば、就職・転職で注目される可能性は高いと考えられます。
知的財産教育協会 知的財産管理技能検定とは(参照 2025-01)
幅広い管理業務で活用可能
知的財産管理技能検定で習得した専門知識・スキルは、幅広い管理業務で活用することが可能です。知的財産教育協会の説明によると、知的財産は、著作物・商標にとどまらず意匠や発明も含まれます。また、著作物に限っても、具体例として書物の記載内容やゲームソフトが挙げられます。ビジネスの場では、各種の著作物から商品デザインや新しいアイデア・技術的な発明まで、一通り管理業務の対象です。
さらに、コンプライアンスの観点から、社内教育を求められるケースもあります。知的財産の管理業務は広範囲に及ぶため、専門知識・スキルを活用できる場面は多いと考えられます。
知的財産教育協会 知的財産管理技能検定とは(参照 2025-01)
キャリアアップにも
知的財産管理技能士の資格を取得した場合、キャリアアップにもつながるでしょう。最近のビジネスシーンを見ると、知的財産には、さまざまな職種や部署が関与しています。具体的に挙げると、クリエイター・デザイナー・研究開発者・技術者や経営企画部・販売営業部などです。また、企業が知的財産を管理する時は、組織全体で取り組む必要があるといわれています。知財部だけでは不十分であり、経営企画部・広報部・経理部なども一体となることが求められています。
このように、現在、知的財産と関係してくる業種や部署は少なくありません。そのため、一つの部署で業務経験を積んだ場合、次のキャリアにつながる可能性は大きいと考えられます。
知的財産教育協会 知的財産管理技能検定とは(参照 2025-01)
知的財産教育協会 国家資格「知的財産管理技能士」取得のメリット (参照 2025-01)
知的財産管理技能検定|合格後のキャリアパス
知的財産管理技能検定に合格後、資格取得者がキャリアを積むうえで、専門知識・スキルを活かせる場は多彩です。
3級
3級試験に合格すると、企業や公的機関で知的財産分野の業務を担当できる可能性があります。この等級は、知的財産管理について、初歩的なマネジメント能力が求められるレベルです。試験の合格者は、ブランド・コンテンツやデザイン・技術の保護などに関する初級レベルの知識・スキルを有すると認められます。知財管理の専門性は高くないため、企業や公的機関で働く場合、この分野に詳しい上司や専門家の指導や支援を受けるケースが一派的です。それでも、適切なサポートがあれば、知的財産の管理業務で力を発揮できると見られています。
知的財産教育協会 試験要綱(参照 2025-01)
2級
2級試験の合格者は、企業や公的機関で働く際、知的財産管理の一部業務を任される場合があります。この等級は、知的財産管理の中級に相当するとされるレベルです。試験で合格するには、特許・商標や著作権をはじめ知的財産分野について、基本的なマネジメント技能を一通り習得している必要があります。ビジネスの場では、知財管理の幅広い知識・スキルがあると理解されるため、管理業務によっては一任されるケースが見られます。さまざまな業務を担当し、実務経験を積み重ねれば、キャリアアップにつなげることが可能です。
知的財産教育協会 試験要綱(参照 2025-01)
1級
1級に合格した場合、知的財産の管理業務で主導的な役割を担う傾向があります。この等級は、知的財産管理技能検定のなかで上級に相当するレベルです。知的財産の特許・コンテンツやブランドについて、高度な専門知識・スキルを有すると評価された場合、試験に合格できます。1級合格者は、知的財産の管理業務で高い専門性を活かすことが求められる立場です。知的財産管理で業務上の課題を発見する技能があるため、ビジネスの場では、業務課題の解決を主導するケースが多く見られます。
知的財産管理技能検定は、等級によってレベルが異なるものの、1~3級のいずれも知的財産の管理業務に活かせる資格です。そのため、知的財産分野でキャリアアップを目指すなら、資格取得はおすすめと考えられます。
知的財産教育協会 試験要綱(参照 2025-01)
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