行政書士が作成・申請代理できる書類の種類を紹介

更新日:2023.03.15スタッフブログ

書類

弁護士や司法書士など、世の中には“法律の専門家”と呼ばれる職業が存在します。その中でも、意外に知られていないのが「行政書士」の業務内容です。行政書士は、行政手続きのプロフェッショナルであり、さまざまな分野の許認可書申請書類・事実証明書類に携わります。ここでは、行政書士の特徴と主な業務内容、作成できる書類について解説します

行政書士の特徴と主な業務内容

行政書士とは、「行政書士法」にもとづいた国家資格を有する士業を指します。官公署(市役所や町村役場など)に提出する書類作成、および権利義務・事実証明に関する書類の代理作成が認められています。このほか、許認可申請時のサポートといったコンサルティングも行政書士の仕事です。

行政書士が作成可能な書類は1万点以上に及びますが、大まかにいうと「官公署に提出する書類」と「それ以外の書類」に分類できます。例えば前者は、飲食店の開業時に必要な「飲食店営業許可申請書」、NPO法人の設立に用意する「NPO法人許可申請書」などがあたります。後者は遺産分割協議書や民間取引による契約書、内容証明など事実関係を証明する書類を含みます。このうち、「官公庁に提出する書類」の作成は、行政書士しか行えない独占業務(※)です。

一方、法律によって行政書士が扱えない書類も存在します。分かりやすいのが、税務処理に関わる書類です。この様な書類は税理士法により、税理士の独占業務に定められています。同様に登記書類は司法書士、労務関係の書類は社会保険労務士と、各士業によって作成できる書類が異なります。処理できない書類があるとはいえ、行政書士の守備範囲は相当なものです。さまざまな分野の書類に携われるのが、行政書士の強みといえるでしょう。

※1.独占業務・・・業務独占資格を有する者のみ行える業務のこと

行政書士と司法書士の違い

度々混同される行政書士と司法書士ですが、この2つには明確な違いがあります。まず挙げられるのが、根拠法と主務官庁です。行政書士は1951年に制定された「行政書士法」に基づき、「総務省」が認定する士業となります。一方の司法書士は、1935年に制定された「司法書士法」にもとづき、「法務省」が認定します。

独占業務にも違いがあります。行政書士は官公署に提出する書類をはじめ、その他権利を証明する書類の作成、また書類作成代行が独占業務です。一方の司法書士は、登記および供託手続きに加え、法務局・裁判所・検察庁への提出書類作成を独占業務とします。それぞれ書類作成のプロフェッショナルに違いありませんが、専門分野が異なる点を間違えない様にしましょう。

行政書士が作成できる書類

行政書士が作成できる書類は、「官公署に提出する書類」「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」の3つに分類できます。ここでは、代表的な書類をご紹介しましょう。

定款

行政書士は、会社設立に必要な定款(ていかん)の作成を代行します。これまで定款は、紙に印刷したものを公証役場で認証する流れが一般的でした。しかし、近年普及した「電子定款認証」を行うことで、個人でも申請が用意となり、さらに4万円分の収入印紙代が不要となります。

「電子定款認証」の登場により、個人で会社設立を行う方が増えたのは事実です。それと同時に、会社設立に失敗する例が後を絶ちません。例えば、建設業などの許認可事業は、定款の目的欄にその旨を記述する必要があります。一方、建設業が許認可事業であることを知らない方も多く、会社設立の要件は満たしても、許認可が降りなかった事例があります。定款の記載ミスにより、事業開始が大幅に遅延したわけです。

行政書士に定款作成を依頼すれば、致命的なミスを防ぐことができます。また行政書士は各種認可申請も行えるため、提携作成~認証までのフローを一任可能です。設立予定の会社で許認可事業を展開する場合、行政書士をパートナーにするのが無難でしょう。

飲食店営業許可申請書

飲食店営業許可申請書は、一般的な飲食店の「営業許可」を取得するために必要な書類です。これに加えて営業設備の配置図や食品衛生責任者設置届、法人なら登記証明書の提出が求められます。「営業許可」の取得を申請する際は、行政書士に事前相談するのがおすすめです。開業する店が営業許可を取れる基準に達しているか、必要書類の書き方に問題はないかなど、さまざまなアドバイスが受けられます。

農地転用許可申請書

農地を“農地以外の目的に転用”する場合、農林水産大臣または都道府県知事に農地転用許可を申請します。その際に必要となる書類が、農地転用許可申請書です。個人での作成も可能ですが、転用可能要件が定められていたり、各種添付書類が必要だったりします。手続き自体が複雑であるため、行政書士に代行してもらうのがベストでしょう。なお、未申請のまま転用を行うと、農地法違反により3年以下の懲役または300万円以下(法人は1億円以下)の罰金が科せられます。

自動車保管場所証明申請書

自動車保管場所証明申請書は、自家用車の車名・形式・型番・車台番号を記入する書類です。「車庫証明」に必要であり、自身で記入して管轄の警察署に提出します。ただし、警察署の申請窓口は平日かつ昼間(AM8:15~PM5:15が一般的)しか空いておらず、最低でも2回の訪問が必要です。

仕事が忙しいビジネスパーソンであれば、時間を確保するのも難しいでしょう。自動車保管場所証明申請書の記入や申請など、「車庫証明」の取得に必要なプロセスは、すべて行政書士が代行します。もし自分で記入する場合、書き方や申請方法のアドバイスを受けることも可能です。

遺産分割協議書

遺産相続が発生した場合、「誰に相続するのか」を決める「遺産相続協議」が行われます。その協議内容をまとめた書類が遺産分割協議書です。どの様な内容が話し合われ、合意に至ったのかを明らかにします。遺産分割協議書の作成は、行政書士が可能とします。ただし、相続人同士の関係性や相続財産の種類によっては、別の士業に依頼するケースもあります。

例えば、相続争いが起きそうならば弁護士に、相続財産に不動産があれば司法書士に相談するのが無難です。しかし行政書士は、戸籍集めと遺産分割協議書の作成しか関与できず、それ以上のトラブル・問題は対処できません。遺産問題に関しては、ケースバイケースで相談相手を変えましょう。

帰化許可申請書

外国人が日本国籍を取ることを「帰化」といい、その申請時に必要な書類が帰化許可申請書です。帰化申請には申請者本人の面接に加え、履歴書や身分証明書などが必要となります。手続きも複雑であるため、行政書士のサポートを受けるのが良いでしょう。とりわけ日本語の読み書きができない外国人にとって、申請書類の記入が壁となります。翻訳対応が可能な行政書士と二人三脚で申請するのが理想です。

行政書士は、私達の暮らしをサポートする“縁の下の力持ち”の様な存在です。プライベートやビジネスを問わず、あらゆる許認可申請・事実証明において、強い味方となるでしょう。ただし、行政書士の基本業務は、書類作成およびコンサルティングに留まります。

相続トラブルの解決や会社設立における登記申請など、他の士業でなければ対応できない事案もあるでしょう。“餅は餅屋”ということわざがある様に、ケースバイケースで相談相手を変えるのがおすすめです。

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