会社員がインフルエンザにかかったらどうすべき?

更新日:2023.03.16スタッフブログ

体温計

インフルエンザは感染力が強く、発症者だけでなく周囲にも大きな猛威をふるいます。病気が流行する時期、会社は従業員がインフルエンザにかかってしまったらと不安を感じ、従業員も発症したらどれくらい休まなければいけないかなど気になっているでしょう。そこで今回は、会社にインフルエンザ発症時の勤務停止期間はあるのか、感染を防ぐためにどの程度休めば良いか、給料はどうなるのか、会社側はどういった対策をとるべきかなどの知識をご紹介します

勤務停止期間はあるのか

法律上は、会社に関して勤務停止期間を定めていません。会社によっては就業規則に記している場合があるので、確認しておくと安心です。自分で判断する時には、教育現場で採用されている法律が参考になります。

学校は出席停止期間の法的規定あり

学校の場合、会社と異なり「学校保健安全施行規則」のなかで子どもがインフルエンザを発症した時の出席停止期間を示しています。この規則によると、出席停止期間は発症後5日目かつ解熱後2日目までが目安です。これらの日数に、発症当日と解熱当日はカウントされません。

医師が感染の恐れはないと診断した場合には条件を満たさなくても登校可能ですが、通常は解熱してから最大で72時間が経過しないと登校できない決まりになっています。いまのところ会社については「学校保健安全施行規則」に相当する規定がなく、どれくらい勤務停止期間を設けるかは会社や会社員、また医師の判断に委ねられている状況です。

会社の就業規則では1週間が一般的

法律で会社の勤務停止期間が決められていないこともあり、現在、多くの会社ではインフルエンザ発症時のルールをつくっています。勤務停止期間としてよく見られる日数は、およそ1週間です。この場合、発症した翌日から少なくとも5日は経過します。

発熱後すぐ医師に処方してもらい2~3日で解熱していれば、解熱後も72時間くらいは休めるでしょう。勤務停止期間が約1週間なら、学校保健安全施行規則に照らしても問題ないと考えられます。まだ就業規則に勤務停止期間が明記されていないと、どれくらい休むか迷うかもしれません。そんな時は、1週間を目安に考えながら会社や医師にも相談すると良いでしょう。

感染を防ぐためにどの程度休めば良いか

会社員がインフルエンザを発症した場合には、職場に迷惑をかけないため感染は防がなければいけません。そのためには、安易な出勤を控える必要があります。

厚生労働省の見解

感染予防を考える際、参考になる基準は厚生労働省の公式見解です。同省は、「インフルエンザQ&A」でインフルエンザウィルスの排出期間について以下の見解を示しています。

1.インフルエンザウィルスは、発症前日から発症後3~7日間、鼻やのどから排出される。
2.インフルエンザウィルスは、解熱後であっても排出される。

厚生労働省は、これらの基準にもとづき「インフルエンザウィルスを排出している期間は、外出を控えるべき」と注意を促しています。

解熱後に即出勤は危険

厚生労働省の見解にしたがえば、インフルエンザを発症すると解熱後もしばらくはウィルスが排出されています。仕事が気になっても、熱が下がったからと急いで出勤するのは危険です。感染を予防するうえでは、平熱に戻った後、さらに数日は休んだほうがリスクを減らせると考えられます。

ただインフルエンザウィルスの排出期間は人によって異なるため、具体的な日数については個々で判断することになります。何日か過ぎても体調が優れず感染が気がかりであれば、無理せず医師に指示を求めたほうが確実でしょう。

出勤スタイルにも配慮

インフルエンザ発症後の勤務では、出勤時の服装にも配慮が不可欠です。それぞれの症状に合わせ、適切なスタイルを心がける必要があります。くしゃみや咳が止まらなければ、マスクは必需品です。仕事内容によっては作業中に声が聞き取りにくいあるいは息苦しく感じる不便さもありますが、電話対応時や飲食時以外は着用していることが望まれます。インフルエンザは、発熱が収まると同時に感染しなくなるわけではありません。解熱後も十分に休養し、会社に復帰したら感染予防にも努めましょう。

給料はどうなるのか、

最近は、インフルエンザにかかると就業規則により会社を休まされるケースが増えています。約1週間にわたり欠勤した場合、給料はどうなるか気になるところです。

一般的な扱い方は有給休暇

多くの会社では、インフルエンザになった従業員に出勤停止を命じたら有給休暇として処理する方法が一般的といわれています。インフルエンザのため会社に「休みなさい」と指示された場合、労働基準法によれば有給休暇取得の要件を満たしています。

会社が拒めば法律に抵触するため、取得日数が残っているなら申請しても却下される心配はありません。有給休暇の申請手続きでは、理由は問わない原則になっています。インフルエンザも例外でなく、休暇を取得する際に診断書の提出は不要です。遠慮していると無給扱いになる可能性もあるので、有効活用することをおすすめします。v

休業手当はインフルエンザの種類による

インフルエンザの種類によっては、有給休暇を申請しなくても休業手当をもらえる場合があります。インフルエンザの種類は、大まかに新型インフルエンザと季節性インフルエンザのふたつです。新型は、感染力や健康への影響力が大きい感染症の予防について規定した感染予防法の対象に含まれます。

法的に発症者の就業を制限しており、会社独自の責任で休ませた時に適用される休業手当の対象になりません。季節性は感染予防法の対象外であり会社の責任で休ませることになるので、休業手当が適用されます。

傷病手当は種類に関係なく申請可能

有給休暇と休業手当以外の収入としては、傷病手当金が挙げられます。支給条件は、以下の通りです。

1.業務以外の理由による病気やケガの療養のため休業
2.病気やケガが原因で仕事に就けない
3.連続3日を含む4日以上にわたり就業不可
4.休業期間中に給与の支払いがない

就職したばかりの新入社員には有給休暇の申請資格がありませんが、1週間ほどインフルエンザで休んだ時は傷病手当を申請できます。

会社側はどういった対策をとるべきか

従業員がインフルエンザを発症した場合、会社側は発症者の健康と感染予防に配慮しながら適切に対策をとる必要があります。

「休むな」は論外

従業員がインフルエンザで苦しんでいるなら、どれほど仕事が忙しくても「休むな」と指示するのは論外です。新型インフルエンザは労働安全衛生法で就業禁止を定められた疾病であり、勤務を強いれば法律違反です。同時に会社は、労働契約法により労働者の生命や身体の安全に配慮する義務も負わされています。

季節性インフルエンザの場合も、発症者が出勤すると周りに感染する可能性があり会社側は安全配慮への義務違反を問われます。何よりインフルエンザの場合、無理すれば病気の治療を妨げるばかりです。従業員の健康を最優先に考え、発症時にはきちんと休ませてあげましょう。

ルールづくりは重要

インフルエンザは、発症すると重症化しやすいだけでなく強い感染力も持っています。会社は誰かが発症した場合に備え、ルールをつくることが重要です。社内規則で定めておきたい項目としては、上述した勤務停止期間、休業中の給与、職場復帰時の注意点のほか発症が疑われた時の対処法、陽性と診断された時の報告方法、在宅での勤務方法が挙げられます。

まず発症が疑われたら、早めの診断を促すと感染防止に効果的です。診断結果が陽性であれば、その旨を会社に報告するとともに医師が作成した診断書の提出も義務づけます。職場全体が情報を共有すれば、その後の対応もスムーズに進められるでしょう。

ウィルスの排出期間を考慮すると、症状が改善した後もしばらくは在宅勤務を指示したほうが安心です。テレワークによる勤務態勢を整備しておけば、責任感の強い従業員が無理に出社しなくても済むと考えられます。すべての従業員に不安なく働いてもらうためにも、会社のルールはしっかり決めておくことをおすすめします。

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