税理士の年収はどれくらい?

更新日:2023.03.24スタッフブログ

お金

税務処理のプロフェッショナルである「税理士」ですが、その平均年収や生涯年収は意外と知られていません。税理士の年収は、所属法人・役職の有無・キャリア・実績などの要素から決まります。「独立すれば高所得者になれる」というわけでもなく、税理士法人に所属しながら高収入を得ている方もいるようです。本記事では、税理士の平均年収や年収アップのコツに迫ります

税理士の平均年収

厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査」によると、税理士の平均年収は717万円です。しかし本調査は、税理士と公認会計士を同じ分類で括っているため、調査の正確性に欠けるといわざるを得ません。あくまでも参考程度に留めると良いでしょう。

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429

公認会計士は、難関国家資格トップ3に入るほど合格が難しく、平均年収も税理士より多いといわれます。それを考慮すると、税理士の平均年収は717万円より低い可能性があります。

併せて税理士の年代別の平均年収も見ていきます。以下をご覧下さい。

【税理士の平均年収(年代別)】

□20代:458万円(年間賞与:114万円)
□30代:598万円(年間賞与:149万円)
□40代:760万円(年間賞与:189万円)
□50代:856万円(年間賞与:214万円)

平均年収のピークは50代であり、それ以降は減少する傾向にあります。続いて男女別の平均年収も見ていきましょう。

【税理士の平均年収(男女別)】

□男性:831万円
□女性:595万円

司法分野の職業において、男女別で年収差があるのは知られています。それは税理士も同様であり、男性は831万円、女性が595万円となりました。国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査結果」によると、男性の平均年収は545万円、女性は293万円となっています。これは全給与所得者を対象とした調査ですが、男女ともに税理士の平均年収が上回りました。とりわけ女性の税理士においては、男性の平均年収を上回る額です。

参考:国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査結果について
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm

税理士の生涯年収は?

「賃金構造基本統計調査」によると、男性税理士の生涯年収は約3億3,860万円、女子税理士は約2億2,636万円です。給与所得者全体の生涯年収が、男性は約2億5,000万円、女性が約2億円であること考えると、男女ともに上回っています。また、税理士の資格は生涯有効です。定年後に独立開業する“シニア税理士”も多く、自分のペースで働く方もいます。そういった場合、現役中に得たコネクションを活用し、やりたい仕事のみを受託するケースが多いようです。一定以上の生涯年収が得られるほか、定年後も活躍できるのが税理士の魅力といえるでしょう。

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429

開業税理士と勤務税理士

税理士は、雇用形態あるいは働き方によって、年収が大きく変動する職業です。ここでは、独立開業した「開業税理士」と、一般企業の税理士法人で働く「勤務税理士」の平均年収に触れていきます。

開業税理士の平均年収

開業税理士の平均年収は、一般的に3,000万円前後といわれています。ただし、2004年に日本税理士連合会が行ったアンケート(n=24,229)によると、年収3,000万円以上の開業税理士は2.5%に留まりました。もっとも多いのが年収700万円以上(14.2%)であり、次いで500万円以上(13.9%)、1,000万円以上(12.8%)となっています。

10年以上前の調査ではあるものの、税理士の平均年収は年々減少傾向にあります。それを加味すると、年収3,000万円以上の開業税理士は、当時より少ない可能性があります。また上記調査において、年収300万円未満と回答した開業税理士は、24.0%でした。4人に1人が税理士全体の平均年収よりも低いことから、「独立開業=大きく稼げる」とは限らないことがわかります。

参考:税理士の年収・収入
http://www.zeirishi-office.jp/02/02_nensyu.asp

勤務税理士の平均年収

勤務税理士の平均年収は、717万円です。ただし、大手法人に勤める方と、中小法人に勤務する方では年収に開きがあります。待遇の良し悪しも企業によって異なるため、一概に「○○○万円稼げる」とはいい切れません。一般的に「大手」といわれる税理士法人は、40人~50人程度の税理士を抱えています。例えば、最大手法人の1つである「PwC税理士法人」の平均年収は、500万円程度といわれます。

しかし、キャリアを積んで昇進するほど、年収は大きく跳ね上がります。スタッフからマネジャーに昇格すれば年収1,000程度、さらに共同経営者になれば年収1,500万円以上も期待できるでしょう。一方の中小法人は、「会計事務所」と名乗るところが大半です。企業規模も小さく、数人程度の税理士で仕事を回す法人は少なくありません。中小法人に限った統計データはないものの、平均年収は300万円前後と考えられています。

大手法人と違うのは、勤続年数の長いベテラン税理士でも、最高年収が600万円~800万円に留まることです。この額を上回るケースはほとんどなく、一般企業の役員よりも年収が低い可能性さえあります。ただし、少数制体制の「ブティック型の税理士法人」になると、話は変わります。ブティック型の税理士法人とは、有能な税理士のみを数人雇用し、大手企業に対して経営コンサルティングを提供するところです。対価として高額なコンサルフィーを受け取るため、所属税理士の収入も平均以上になるといわれています。

税理士の年収を増やすコツ

ここでは、税理士の年収を増やすコツをご紹介します。独立開業税理士と勤務税理士、それぞれのパターンで見ていきましょう。

独立開業税理士の場合

独立開業税理士の年収をアップさせるコツは、大きく分けて2つあります。

□高単価案件の受注(コンサルティングなど)
□新規顧客の獲得

社会保険の手続きをはじめ、税理士の主な仕事は収入単価が低い傾向にあります。よって年収をアップさせたいなら、経営全般や人事・労務に渡るコンサルティング案件の受注をおすすめします。高単価案件を充実させることで、年収は着実にアップするでしょう。
一方、独立開業したての税理士がコンサルティング案件を取るのは困難です。従来の異業種交流会や紹介では限界があり、別の手法でアプローチする必要があります。おすすめは、自社ホームページやオウンドメディアの運営です。WEB経由で顧客開拓を進めつつ、コンサルティング案件の獲得に乗り出すのが良いでしょう。

勤務税理士の場合

勤務税理士が年収をアップさせるコツは限られます。結論からいうと、「待遇の良い税理士法人(一般企業)に勤める」しかありません。「PwC税理士法人」などの“ビッグ4”と呼ばれる税理士法人をはじめ、給料の高い法人で働くほかないでしょう。

企業規模の大きな法人は、総じて年収も高い傾向にあります。一方、「資産税」に特化した税理士法人など、専門領域のある事務所も報酬に期待が持てるでしょう。これは事務所が受け持つ案件内容も同様です。ブティック型税理士法人の様に、高単価案件がメインであれば、所属税理士の給料も高くなります。いずれにしても勤務税理士は、役職の有無・実績・経験・勤続年数が年収を左右します。地道にキャリアを積み重ねることが、年収アップのコツといえるでしょう。

税理士の平均年収は、数ある職業の中でも上位に入ります。しかし、雇用形態や働き方、所属法人によって年収が変わるのは確かです。独立開業には夢があるものの、必ず高所得者になれるわけではありません。意を決して独立するか、税理士法人でキャリアを積み上げるかは、人それぞれです。最終的に自分はどうなりたいのか、良く考えることが大切かもしれません。

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