ほめたつもりがセクハラに?配慮ある会話をしよう

更新日:2023.03.23スタッフブログ

ほめたつもりがセクハラに?

「デキる上司は褒めて伸ばす」といいますが、相手を褒めたつもりがセクハラ認定されることがあります。とりわけ多いのが、上司と部下のやりとりです。何気ない発言をセクハラと捉え、社内問題に発展するケースは少なくありません。そこで今回は、セクハラにあたる褒め方の特徴や、社内では控えたいセクハラフレーズ集、上手な褒め方のコツをご紹介します。正しい褒め方を知り、部下との良好な関係を築きましょう。

セクハラにあたる「褒め方」の特徴とは?

セクハラと認識されやすいフレーズには、以下の2つの特徴があります。

□身体的特徴に言及
□プライベートに言及

例えば、女性の新入社員が入社してきたとします。その顔立ちやルックスなど、身体的特徴に対して「スタイルが良いね」「足が細いね」と褒めた場合、相手によってはセクハラと捉える可能性があります。なぜなら、これらの善し悪しの判断は、人によって異なるためです。本人がそう思っていなかったり、コンプレックスに感じていたりする場合もあります。

また、プライベートに言及するのもNGです。「そろそろ結婚を考えたら?」「彼氏はいるの?」などと、軽率に他人のプライベートに触れる行為は好まれません。いわれた側からすれば、「大きなお世話」「詮索はやめてほしい」と感じることでしょう。
とりわけ近年は、プライバシー保護に気を遣う方が増えています。セクハラはもとより、上司によるプライベートの詮索はパワハラにあたる可能性もあります。知らずにいっていたらセクハラ、あるいはパワハラとなるため、他者との会話では注意したいところです。

会社で注意したいセクハラフレーズ集

上記の特徴を踏まえ、身体的特徴およびプライベートに言及するセクハラフレーズをもう少しだけ掘り下げます。まず身体的特徴に言及するセクハラフレーズとして、以下が挙げられます。

□今日は化粧ノリが良いね
□きみは胸(お尻)が大きいね
□新しい社員の子は美人(イケメン)だったよ
□ぽっちゃりしてて可愛いね
□スリーサイズを教えて
□あのオバさんはいつも○○だ
□最近きれいになったね
□若い子に入れてもらったお茶は美味しい

外見的特徴に加え、「若い子」など年齢に触れる発言もNGです。声をかけた本人ではなく、その周りの社員も不快な思いをするかもしれません。結果、周りの社員からの評価が下がることでしょう。

続いて、プライベートに言及するセクハラフレーズも見ていきます。

□今夜食事にいかない?(1対1の状況に限る)
□彼氏(彼女)はいるの?
□彼氏(彼女)がいると仕事もはかどるね
□そろそろ結婚を考えるべきだ
□子どもはまだ生まれないの?
□この後は彼氏(彼女)とデート?

プライベートへの言及は、人によって捉え方が大きく異なります。傾向として、異性に言及された場合のみ不快に感じる方が多いようです。よほど親密な間柄でない限り、プライベートに言及するのは避けるのが無難です。

これらとは別に、ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)にあたるフレーズもいくつかあります。

□女らしくない(男らしくない)人だね
□女の子だから機械に弱いのかな
□女(男)のくせにこれもできないのか

「女(男)らしくない」「女(男)だから○○ができない」と決めつける発言は、紛れもないジェンハラです。ジェンハラは社内いじめを引き起こす要因と考えられるため、セクハラ以上に重く、相手を傷つける発言となり得ます。さらに「今日はイライラしてるけど生理中なの?」と、性別特有の問題、あるいは女性(男性)であるため生じやすい問題に触れるのは絶対に避けましょう。デリカシーの欠片もなく、相手に不快感を与えるのは確実です。

相手に不快感を与えない褒め方

他者に褒められて、嫌な思いをする人は少数派でしょう。重要なのは「相手の何を褒めるか」です。ここでは、相手に不快感を与えない褒め方のポイントを解説します。

デキる上司は「仕事ぶり」を褒める

部下との関係が良好な上司は、当人の仕事ぶりを褒めます。外見的特徴やプライベートなど、仕事に無関係な要素には、基本的に触れません。業務に取り組む姿勢やそのプロセス、数字として上がってきた成果を褒めます。

実際に褒める内容は、些細なことで構いません。少しでも成果が上がったり、仕事に前向きな姿勢で取り組んでいたりと、ほんの少しの変化を褒めると良いでしょう。そのためにも、常日頃から部下の様子を観察し、適切な言葉を随時投げます。その積み重ねが、部下との信頼関係構築につながるわけです。
また、「課程」を重視するタイプの部下に対しては、結果にたどり着くまでの課程を労う意味で「いつも頑張っているね」「遅くまでお疲れ様」と伝えるのも効果的です。

相手の内面を褒めてみる

相手を褒める際は、容姿ではなく人格などの内面性を褒めるのがベターです。相手の本質的な部分にフォーカスすることで、「この人はわかってくれる」「そういわれて嬉しい」と感じさせられます。「彼女は真面目だから安心して仕事を任せられる」など、あえて目に見えない部分を評価してみましょう。
また、ベターという表現を使ったのには理由があります。相手の内面を褒めるのは得策ですが、人によって「そう思っていない」「全然分かっていない」と捉えるケースがあるためです。これは外見的特徴を褒める例と似ているものの、内面を褒めて不快感を示す方も一定数存在します。とはいえ、容姿を褒めるよりはリスクが少なく、相手を喜ばせる可能性が高いフレーズです。

容姿を褒めるなら雰囲気に注目

身体的特徴に言及する場合、ルックスの感想をそのまま伝えるのではなく、雰囲気に触れるのが有効です。「爽やかな服装ですね」「上品だね」といった具合に、雰囲気を褒めてみましょう。容姿に対して、直接的に言及するわけではないため、セクハラにあたる可能性も低くなります。うまく褒めることができたならば、相手との距離感も縮まることでしょう。

褒め上手でも失敗する?国際的な場で起きたセクハラ発言

セクハラは今や、世界的な社会問題となっています。かつてアメリカ大統領を務めたバラク=オバマ氏、現大統領のドナルド=トランプ氏は、国際の場でセクハラ問題を引き越しし、批判を浴びた過去があります。
オバマ元大統領は、当時のカリフォルニア州司法長官カマラ・ハリス氏を「彼女は抜群に美人だ」と褒め、世間から批判を浴びました。これは容姿を褒めたことが問題です。本人は何気なく褒めたのでしょうが、「オバマ大統領は人を容姿で判断する」と物議を醸しました。

対するトランプ大統領は、フランス大統領のメラニア夫人に対して「あなたは良い体型ですね」と発言しました。メラニア夫人が横にいる状況であり、相手の容姿を暗に批判したわけです。国際的な批判を集め、世の女性達の反感を買いました。
2つの事例を見る限り、相手の外見的特徴を直接褒めるのは、得策とはいえません。もし褒めるのであれば、雰囲気を褒めると良いでしょう。なお、人種の異なる相手を褒める場合はより注意しなければなりません。「肌が白いですね」「鼻が高いですね」と心から褒めたつもりでも、相手に不快感を与える可能性があります。セクハラなどに気を配りつつ、人種差別的な発言をしていないか気を配る必要があるでしょう。相手のことをよく思いやって、不快にさせないよう配慮していくのが大切です。

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