ますます増加?キャッシュレス決済について知ろう
更新日:2023.03.31スタッフブログ2019年10月の消費増税時には、キャッシュレス決済によるポイント還元システムが導入されるなど、近年は現金を使わない決済方法に注目が集まっています。生活の根底に影響を与える制度だからこそ、ビジネスパーソンなら知っておきたいところです。今回は、今後ますます推進されるであろうキャッシュレス決済についてご紹介します。
キャッシュレス決済とは何か
キャッシュレス決済とは、クレジットカードや交通系ICカード、二次元コード決済といった、「現金以外の決済方法」全般を表します。銀行から引き落とされるクレジットカードや、事前にチャージを必要とする電子マネーなど、支払方法は異なるもののすべてキャッシュレス決済と呼ばれます。
費用が発生するタイミングによる分類
キャッシュレス決済は、実際に費用が発生するタイミングで3つに分類できます。具体的には以下の通りです。
□前払い・・・電子マネー、プリペイドカード
□即時払い・・・デビットカード
□後払い・・・クレジットカード
また、近年開発が進んでいる二次元コード決済は、サービスによって費用が発生するタイミングが異なります。
読み取り方法による分類
キャッシュレス決済は、カードやスマートフォン上に表示される記録を専用端末で読み取ることで支払いが完了します。読み取り方法について、以下の3つに分類可能です。
□接触型・・・クレジットカード、デビットカードなど
□非接触型・・・電子マネー、プリペイドカードなど
□コード読み取り型・・二次元コード決済
今までは接触型のクレジットカードやデビットカードが主流でしたが、交通系ICカードも兼ねる電子マネーや、ポイント還元サービスによる二次元コード決済の台頭も顕著です。
日本のキャッシュレス決済の現状
ここで、日本のキャッシュレス決済の現状について確認しておきましょう。日本では、2019年10月1日、消費税が8%から10%へと引き上げられました。消費税増税とともに、経済産業省主導で開始されたのが「キャッシュレス・消費者還元事業」です。
キャッシュレス・消費者還元事業は、特定の店舗やサービスでキャッシュレス決済を利用すると、最大5%分のキャッシュバックを受けられる制度です。この制度の目的には、「キャッシュレス決済を促進したい」という政府の思惑があるといわれています。
実際、日本ではまだキャッシュレス決済はあまり普及していません。内閣府が行った2015年の「キャッシュレス決済額と民間消費支出に占める比率」に関する調査では20%程度となり、諸外国と比べても低い数字です。そこで、消費税増税を機に、キャッシュレス決済を普及しようとしているのです。
キャッシュレス決済導入のメリット
新制度が作られたこともあってか、徐々にキャッシュレス決済を利用する方も増えています。以下では、キャッシュレス決済を導入するメリットをご紹介します。
財布を出すことなく決済をスムーズに行える
キャッシュレス決済について、多くの方が魅力に感じているのが財布を出すことなく決済できる点でしょう。レジの前で財布からお札や小銭を出す必要がなくなります。面倒な端数の計算もありません。慣れるとストレスなく決済できるのは大きな魅力です。
ポイント還元でお得に買い物ができる
前述の「キャッシュレス・消費者還元事業」は増税後9カ月間限定ですが、現金と異なりポイント還元でお得に買い物ができる点もメリットのひとつです。利用するサービスによっては、さらにポイントを受け取れる可能性もあります。
サービスごとのキャンペーンやクーポンを使えることもある
キャッシュレス決済は、事業者ごとでキャンペーンやクーポンを発行していることも少なくありません。よりお得に決済できるため、キャッシュレス決済を利用する際は、必ず活用したいところです。
盗難や紛失に対して保証がある
現金の入った財布を落としてしまった場合、拾った方が交番に届けてくれるのを祈るばかりです。キャッシュレス決済の場合、サービスによっては盗難や紛失保証がついていることもあります。万が一の時にも対応できるため、安心して利用可能です。
利用状況の管理が簡単にできる
現金の場合、今月の利用状況の把握は銀行に行くなどの手間がかかります。一方、キャッシュレス決済であれば、専用のアプリから簡単に利用状況が確認できるため、家計簿の様な使い方も可能です。
海外からの顧客につながる
海外は、日本と比べてキャッシュレス決済が普及しています。海外からの観光客のなかには、現金を持っていない方も珍しくありません。キャッシュレス決済を利用できる環境を整えることで、海外からの顧客獲得につながるでしょう。
キャッシュレス決済のデメリット
キャッシュレス決済には多くのメリットがある一方、不安に感じている方がいるのも事実です。以下では、キャッシュレス決済のデメリットをご紹介します。
無駄遣いにつながる可能性がある
キャッシュレス決済は、後日銀行から引き落としされるものも多いため、「お金を使っている感」があまりありません。自分でしっかりと管理しないと、無駄遣いにつながる可能性もあります。
使用するサービスによっては利用店舗が限定される可能性がある
キャッシュレス決済を導入している事業者は増えていますが、利用できない店舗もあります。買い物をした後でキャッシュレス決済ができないことを知って困る、ということもあるかもしれません。
災害時のリスクがある
大規模災害が発生したときは、通信トラブルが起きキャッシュレス決済が使用できないことも想定できます。すべてをキャッシュレス決済にしてしまうのは危険かもしれません。
セキュリティの不安が生じる可能性がある
キャッシュレスサービスからの顧客流失など、セキュリティに関する不安は常に指摘されており、実際に事件化しているものもあります。情報管理上、リスクと隣り合わせにあるという点は、大きなデメリットになるでしょう。
日本より進んでいる?各国のキャッシュレス決済について
日本は、諸外国と比べてキャッシュレス決済の普及が遅れているといわれます。ここでは、各国のキャッシュレス決済事情を確認したうえで、なぜ日本ではキャッシュレス決済の導入が進まないのか考えます。
各国のキャッシュレス決済比率
日本政府は、2020年までにキャッシュレス決済比率を現状の2倍である40%に引き上げる方針を示しました。この40%の根拠となっているのが、各国のキャッシュレス決済比率です。2016年当時のキャッシュレス決済比率について下記で確認します。
□韓国・・・96.4%
□イギリス・・・68.7%
□オーストラリア・・・59.1%
□カナダ・・・56.4%
□スウェーデン・・・51.5%
これを見ると、日本のキャッシュレス決済比率がいかに低いか分かるでしょう。
中国のキャッシュレス化について
前述のレポートでは、中国のキャッシュレス比率について、参考地ではあるものの約60%となっています。中国では、アリババグループの「Alipay」と、テンセントの「WeChat Pay」が2大サービスとして浸透しています。
中国のキャッシュレス化が急速に進んだ背景には、以下の3つの要因があるといわれています。
□スマートフォンの急速な普及
□現金の信用度が低い
□モバイル決済の導入が簡単
日本とは異なる土壌があるからこそ、キャッシュレス化が促進されたのでしょう。
なぜ日本ではキャッシュレス化が進まないのか
日本でも、政府による「日本再興戦略」や「未来投資戦略」、経済産業省主導の「キャッシュレス・ビジョン」など、キャッシュレス決済の促進のためにさまざまな方針を打ち出しています。それにもかかわらず、なぜ日本ではキャッシュレス化が進まないのでしょうか。
要因は複数考えられますが、諸外国と異なり偽札の流通が少なく現金の信用度が高い点、決済サービスの乱立などが挙げられています。
ただ、超高齢化社会を迎え人手不足が深刻化する日本では、キャッシュレス化によるレジの自動化を行わなければ対応できない企業も増えていきます。導入するお店だけでなく、利用者自身もキャッシュレス決済に慣れていく必要があるのかもしれません。
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