法改正で宅建も士業に!宅地建物取引士とは?

更新日:2022.05.06スタッフブログ

不動産会社によって管理される土地

不動産系資格の代表といえば、「宅建」です。2015年の宅建業法改正にともない、“宅地建物取引士”(宅建士)という名称に変更されました。宅建建物取引業を営む場合は、専任の宅建士を雇わなければ取引を行えません。今回は、新しく士業の仲間入りを果たした宅建士について詳しくご説明します。

士業に位置づけられた後の変化と活躍フィールドは?

「宅地建物取引士」に名称が変更

それまで「宅地建物取引主任者」または「宅建主任者」と呼ばれていた宅建資格。それが、2014年の宅地建物取引業法の一部改正を経て、「宅地建物取引士」という名称に変更されました。改正された宅建業法は、2015年4月1日をもって完全施行し、今では宅地建物取引士が正式名称として使われています。

宅地建物取引士は通称「宅建士」とも呼ばれます。宅地建物取引業の専門家も、「弁護士」や「司法書士」「税理士」など同じく士業の仲間入りを果たしたといえるでしょう。とはいえ、法改正によって資格制度そのものに大きな変更が加えられたということはありません。

法改正のポイント

この度の大きな法改正のポイントは、第5条の「欠格事由」の項で暴力団員が付け足された点です。宅建業の免許取得と宅建士の資格登録につき、免許取得および資格登録できない要件として「暴力団員等」が新たに加わりました。
不動産会社を開業する場合、従業員の5人に1人の割合で宅建士の免許取得者を設置しなければならないルールがありますが、この点についての変更はありません。また、設置義務に違反した場合の罰則規定の追加および変更などもありませんでした。

宅建の難易度

宅建士を目指す上で気になるのが、試験の難易度。ここ10年間の宅建士の合格率は、平均15%程度です。100人受験すれば15人前後合格できる確率で、専門性が高いだけに、そう簡単に取得できる資格ではありません
直近の2017年度宅建士試験の合格率は、15.6%。この年の合格基準は50/35点で、7割の正答率で合格判定が出されました。ちなみに、合格基準は一定ではなく、毎年変わります。

士業化されて以降の合格率にも注目してみましょう。改正後の法律が完全施行された2015年と2016年の合格率は、ともに15.4%という結果です。対して、2014年の合格率は17.5%。法改正直後の合格率だけ見れば難易度が上がっているかの様に見えますが、「2013年度:15.3%」「2012年度:16.7%」「2011年度:16.1%」「2010年度:15.2%」というふうに、それほど大きな変化はないのが分かります。どの年度に受験しても、7割以上の得点を確実に獲得すれば、かなりの確率で合格できるのが宅建士資格であり、その点は法改正後も変わりません。

宅建の独占業務とは?

宅建士には、その資格がなければ従事できない独占業務があります。それは、「重要事項の説明」「重要事項説明書への記名・押印」「契約書(37条書面)への記名・押印」の3つです。

重要事項の説明

不動産売買の契約前に、必ず説明しなければならない契約内容が重要事項として規定されています。説明が義務付けられている事項は多岐にわたり、説明方法や説明の時期、説明すべき相手なども細かく規定されています。
宅建業法では、宅建士の資格保有者が責任をもって、必ず契約成立の前に説明しなければなりません。

重要事項説明書への記名と押印

重要事項を買い主または売り主に説明した後、その事実の証明として宅建士は説明書に記名・押印しなければなりません。
この業務は宅建士の独占業務ですので、宅建業者の記名・押印は必要ありません。

契約書(37条書面)への記名と押印

宅建士が記名・押印する契約書を「37条書面」といいます。37条書面への記名・押印は宅建士の独占業務ですが、契約書の交付義務は宅建業者にあります。37条書面は契約成立後、遅滞なく宅建業者が公布し、内容について説明(契約の両当事者を相手に)、最後に宅建士が説明した事実を証明するための記名・押印をして手続きの完了となります。

ちなみに37条書面の説明は、必ずしも宅建士でなければならないわけではありません。宅建業の従業員なら誰でも説明が可能です。

宅建士が活躍できるフィールド

宅建士の資格を取得すれば、宅建業界や建設業界、金融業界など、さまざまなフィールドで活躍が期待されます。

宅建業界や不動産業界

宅建業法では、不動産会社の規模に応じて宅建士を設置しなければならないと義務付けています。不動産売買における重要事項の説明や契約書への記名・押印は宅建士にしか認められない独占業務です。宅建士の資格を取れば、まず就職・転職先として候補に挙がるのが宅建業界と不動産業界でしょう。

ちなみに、宅地建物取引業者と不動産業者はイコールではありません。厳密にいえば、宅地建物取引業者は不動産の売買・賃貸を専門に扱う業者で、不動産業者は取引以外にも管理や投資サービスなど、不動産業務全般を担います。先述の通り、宅地建物取引では必ず専任宅建士の設置が必要です。

建設業界と金融業界

大手の建設会社などは、マンション・ビルなどの建築、設計の他、所有している不動産の売買業務も行っています。そうした不動産の総合商社においては、宅建士資格保有者は、営業部門での活躍が期待されるでしょう。
また、昨今の金融業界では不動産関連の融資商品も取り扱っています。不動産に関する知識も豊富な宅建士であれば、貴重な戦力と見なされるでしょう。現に、宅建士資格を採用の条件にしている金融機関もいくつか見られます。

宅建士は、不動産会社や建設会社への就職・転職に活かせるばかりか、独立開業の道も開かれている有力な資格です。士業としての認知度が高まれば、今後ますます取得を目指す人も増えるでしょう。不動産業界に有力な人材が集まって取引環境の健全化が進むことで、ユーザー側にも大きなメリットがもたらされます。

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