ジョブローテーション制度について

更新日:2023.04.14スタッフブログ

屋外で仕事をする人

従業員の能力開発を目的として、様々な部署や職種を経験させ人材育成を図る制度です。従業員個人の能力を把握できれば、最適な場所に配置して業務の効率化が期待できます。業績への好影響も期待できます。ただ、従業員が持っている能力を全て把握することは容易ではありません。そのための制度がジョブローテーション制度です。今回はジョブローテーション制度について、メリットデメリットも合わせて紹介します

ジョブローテーション制度について

新人教育の一環としてジョブローテーションを行っている企業は多いです。職種や職務内容を固定せずに、色々な実務を経験させます。ジョブローテーションをすることによって会社の全体像も把握できます。従業員の能力や適性を見て配置していきますが、その際は従業員本人の意向もふまえて配置します。

新人の場合、実務を経験させる期間は3か月から6か月の短い期間でジョブローテーションするのが一般的です。また、次世代の幹部を育成するためにジョブローテーションをする企業もあります。マネジメント能力の向上や社内人脈の構築に繋がります。幅広い知識やスキルを身に付けるのが目的です。幹部候補は、1年から3年と比較的長いスパンでジョブローテーションするのが一般的です。

ジョブローテーション制度のメリット

従業員を適材適所に配置することができる

従業員はさまざまな職種や職務を経験することによって成長もできます。また、上司や人事は従業員の意思をふまえた配置ができるようになります。従業員のミスマッチが減り、適材適所に配置することができます。適材適所に配置することができることによって、従業員のモチベーションアップにも繋がります。企業としても非常に大きなメリットです。

社内ネットワークが構築できる

ジョブローテーションによって様々な職種や職務を経験することは、同時に新しい社内人脈ができるということです。違う職種や職務での経験やノウハウを持っている従業員が、別の職種や職務を担当することによって新しい発見や部署全体のモチベーションアップに繋がることもあります。

将来的なことを考えた場合でも、色々な部署にネットワークがあるととても役に立ちます。その部署での職務が終わっても、連携が取りやすいということは生産性の向上に繋がります。良好なネットワークは社内の雰囲気も良くなります。

業務の属人化を防止できる

あの人がいないと分からない。あの人でないとできない。こういった業務の属人化を防止できます。企業にとって属人化はメリットよりもデメリットの方が大きい場合が多いです。ジョブローテーションなら業務の標準化が可能です。

マンネリ化を防止できる

従業員の成長そのものが企業の成長になります。いつも同じメンバー、同じ業務をしている従業員ではマンネリ化の懸念があります。ジョブローテーションによって、定期的に違う人と仕事をするということは人材を育成する上でも大切なことです。

従業員の成長や気付きに繋げることができる

自社のいろいろな部署や職種を経験することで、それぞれの仕事に関する知識や経験が積まれていきます。社内の仕事内容も把握できるでしょう。そのことがいい刺激になって従業員のモチベーションアップにも繋がります。また、従業員が学習する姿勢を学び自分自身の成長に繋げることができますので企業にとっても従業員にとってもメリットが多いです。

ジョブローテーション制度のデメリット

スペシャリストの育成が難しい

高度な専門性や技術が必要な職種の場合などスペシャリストの育成には向いていません。短期間で業務を深く理解することは難しく、どうしても難易度の低い仕事を割り当てることが多いためです。短期間サイクルのジョブローテーションではその傾向が顕著になってしまいます。

育成した従業員も退職する場合がある

色々な職種を経験させて成長した従業員が辞めてしまうのは企業にとってかなりの損失です。また、育成が上手くいくほど従業員のキャリア意識が高まります。優秀な従業員ほど転職のリスクも上がります。

また、短期間で色々な職種を経験するというジョブローテーションをポジティブに捉えられない従業員も出てくるでしょう。確かに新しい仕事を覚えたと思ったら、また別の仕事。自分に任される仕事の程度や範囲、裁量度の低さはモチベーションの低下に繋がります。ジョブローテーションがマイナスに働いてしまう従業員もいるということを認識しておくことが大切です。

一時的に業務効率が下がってしまう

ジョブローテーションでは仕方のないことでもあります。定期的に新しい業務を担当するため従業員には新しい業務を覚えなければいけません。現場は教育、指導のために人と時間が必要になってきます。配属後に一時的に効率が下がってしまう可能性があるということを認識しておく必要があります。

公平、公正な人事評価、給与査定に影響が出る

職種によって給与が違う場合などは慎重に考える必要があります。ジョブローテーションで短期間に異動している従業員について、人事評価や給与査定はどうするのか。ジョブローテーションを実施していない従業員とジョブローテーションを実施している従業員とで人事評価、給与査定の整備が必要です。従業員の不満が出ないような仕組みを作る必要があります。

ジョブローテーション制度が向いている企業

多くの従業員が多くの部署で就業している大企業はジョブローテーションが向いているといえます。ジョブローテーションによって積極的な人材交流、業務改善が見込めます。また、取り扱っているサービスや商品が多い企業や幅広い知識が必要な企業もジョブローテーションによって、業務効率が上がり生産性の向上が期待できます。業務に一連の流れがある企業もジョブローテーションによって、前後の仕事の流れが分かれば、仕事の効率や流れをスムーズにすることができます。

ジョブローテーション制度が向いていない企業

専門性の高い企業や技術の習得に長い年月を要する企業にはジョブローテーションは向きません。また、長期的なプロジェクトを請け負っている企業やジョブローテーションによって業務が回らなくなる企業も向いていません。

ジョブローテーション制度は上手く活用すれば企業にとって非常に有効な制度と言えます。ただ、全ての企業に向いている制度ではありませんので、導入前には検討が必要です。人材育成に有効なジョブローテーション制度を上手く活用して企業の発展に繋げましょう。

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