電子契約サービスとは?導入するメリットと注意点
更新日:2022.12.26ビジネス豆知識電子契約は、従来に比べて契約手続きを簡略化できる方法です。近年は、このシステムをクラウド上で提供する電子契約サービスが次々に登場しています。新たな契約サービスを企業で導入すれば、必要書類の作成など諸々の関連業務を効率化できるでしょう。ただし、導入時にいくつかの点に気をつけないとトラブルを招くかもしれません。そこで今回は、電子契約・クラウドサービスの概要やサービス導入時のメリット・注意点ご紹介します。
目次
電子契約・クラウドサービスの概要
電子契約は、従来型の書面契約より契約締結にかかる手間を省ける新スタイルの方法です。新たな契約方法をクラウド上で提供する電子契約サービスは、契約手続きを簡略化する数々の機能を備えています。以下では、電子契約の種類・書面契約との違い・電子契約サービスの基本機能についてご紹介します。
電子契約の種類
電子契約の種類は、大別すると「電子署名を用いるタイプ」と「電子署名を用いないタイプ」の2つに分けられます。
電子署名を用いるタイプ
電子署名を用いるタイプは、大きく「当事者署名型」と「事業者署名型」に分けられます。
当事者署名型は、契約者自身が契約書に相当する電磁的記録に電子署名するタイプを指します。
事業者署名型は、契約者の求めに応じて電子契約事業者が電子署名するものです。
電子契約事業者は契約の立会人的な位置にあり、このタイプは「立会人型電子契約」とも呼ばれます。
電子署名を用いないタイプ
電子署名を用いないタイプは、電子メールの授受による契約が最も単純といわれる方法です。物品を売買する時など当事者間でお互いに取引の意思があるとメールで伝えれば、売買契約は成立したと見なされます。他には、電子署名の機能を用いず電子契約のシステムを利用するケースも知られています。
書面契約との違い
電子契約と書面契約との大きな違いは、契約時に電磁的記録を用いるか紙を用いるかの差です。電子契約は、契約書として電磁的記録を作成します。電磁的記録は、電子ファイルの形式で用意されるケースが主流です。そのデータ上に当事者や立会人的な事業者が電子署名し、契約を締結します。
一方、従来型の書面契約は、紙の契約書が作成され当事者が紙面上に署名・捺印する方式です。すべての署名は自筆する必要があり、多くのケースで契約書は当事者に郵送されます。電子ファイル形式の契約書はパソコン上で電子署名が可能であり、紙の書類を郵送せずに済む特徴があります。
電子契約サービスの基本機能
多くの電子契約サービスが備える基本機能は、電子署名・電子証明書発行・タイムスタンプを行える機能です。現在の電子署名は、当事者署名型と事業者署名型のいずれも「公開鍵暗号」「公開鍵基盤」「ハッシュ関数」の3技術を使います。これらの技術は、電子署名が署名者本人によるものであり改ざんされていないことを厳格に証明します。
電子証明書発行機能は、電子署名が署名者本人によるものと証明する電子書類を発行する機能です。またタイムスタンプ機能には署名時刻や書類作成の日時を記録する役割があり、改ざんの防止に役立ちます。サービスによっては、これらに加えて契約期日が過ぎた時に警告するアラート機能や契約手続きの進捗状況を可視化できるワークフロー設定機能も搭載しています。
電子契約サービスを導入するメリット
企業で電子契約サービスを導入する主なメリットは、多くの手続きを簡略化できるところです。同時に、コスト節減やセキュリティ対策の強化にもつながります。以下では、それぞれのメリットの概要を解説します。
契約手続きの簡略化
契約手続きの簡略化は、企業が電子契約サービスを活用すると得られる代表的なメリットです。従来通り紙の契約書を作成する場合、原本と写しを用意する必要があります。商品やサービスの契約者に署名・捺印してもらう際は、書類を郵送する手間なども発生します。さらに古い契約書を確認したい時、書類探しに時間がかかるかもしれません。
一方、電子契約サービスを活用すると、写しの用意や書類の郵送は不要です。またデジタルデータはすべてクラウド上に保存されるため、古いデータを検索する時も多くの時間をかけず見つけられるでしょう。様々な手続きが簡略化できれば、導入企業にとっては契約関係の作業が進めやすくなると期待できます。
コスト節減
契約手続きに伴うコストを節減できる点も、企業が電子契約サービスに見込めるメリットの一つです。従来の書面契約は、契約書を作成する紙の経費が発生します。パソコンで書類作成すると、印刷代も避けられません。契約者に書類を送付すれば郵送代がかかり、契約内容や契約金額によっては収入印紙も必要です。
それに対し電子契約サービスは、紙・印刷・郵送・収入印紙にかかる経費をいずれも用意せずに済みます。契約手続きが以前より短時間で完了すれば、人件費の軽減にもつながるでしょう。様々な部分で出費を抑えられた場合、契約手続きにかかるコストは大幅に節減できる可能性があります。
セキュリティ対策も強化
企業による電子契約サービスの導入は、社内でセキュリティ対策を強化するのにも効果的です。紙の契約書は、社内で厳重に管理していても秘かに持ち出される恐れがあります。書面が不正に複製あるいは巧妙に改ざんされた場合、手が加えられた証拠を見つけるのは難しいでしょう。
電子契約サービスは電子署名に公開鍵暗号などの技術が使われ、基本的にタイムスタンプ機能を備えています。また誰かが保存データにアクセスすると履歴も残り、不正な複製や改ざんは困難です。そのため同サービスを企業で導入すると、契約書に関するセキュリティ対策の強化にも役立ちます。
電子契約サービス導入に伴う注意点
企業で電子契約サービスを導入する際、とくに気をつけたい注意点は契約によって電子契約を認められないケースがあることです。現場が混乱する恐れもあるため、以下では主な注意点について解説します。
電子契約が認められない
現在、ビジネスの場で電子契約が認められていないケースは、訪問販売や勧誘販売した時です。いずれの販売方法も、まだ契約書の電子化は認可されていません。電子署名の信頼性が高くても、契約上は無効です。原則として契約手続きは、従来と同じく紙の書面で進める必要があります。
電子契約サービスを導入すると、初期費用やランニングコストが発生します。これらの経費を無駄にしないためにも、自社の販売方法が電子契約しても問題ないか確認しておくことは大切です。
現場が混乱
新たに電子契約サービスを採用する場合、導入体制が整っていないと現場が混乱するケースは少なくありません。企業で商品・サービスの契約方法を書面契約から電子契約に切り替える時は、手続きの流れが大幅に変わります。導入体制が整わないうちに変更すると、現場では業務の進め方が分からず混乱しがちです。
電子契約サービスをスムーズに導入するには、事前準備が怠れません。企業は研修の場などを設け、あらかじめ現場に対して新しい手続きの流れを説明することが求められます。
取引先の理解を得られない可能性も
取引先によっては、電子契約について理解を得られず契約を結べなくなる可能性もあります。電子契約は、最近になり浸透し始めた契約方法です。電子ファイルの契約書は、すべての企業の信頼を得ているとは限りません。実際、「紙の書類でなければ署名・捺印しない」と電子契約を拒む事態は少なからず生じています。
そのため電子契約サービスを導入した企業は、取引先の理解を得られるか事前確認が不可欠です。電子契約が拒否される事態に備えるには、紙の契約書も用意しておくとよいでしょう。
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