女性の弁護士はどれくらいいる?
更新日:2023.03.24スタッフブログ離婚問題などを弁護士に相談する際、実績よりも性別を重視する方が増えています。とりわけ女性の依頼者は、女性弁護士に相談することが多いようです。一方、日本国内において女性弁護士の割合は低く、労働・職場環境の整備も今ひとつといった印象を受けます。なぜ、日本には女性弁護士が少ないのでしょうか。本記事では、女性弁護士の人数の割合や司法分野における現状の課題、また女性弁護士ならではの強みをご紹介します。
目次
日本における女性弁護士の割合とは?
司法分野で活躍する女性の割合は、着実に増加しています。内閣府男女共同参画局が公表した「男女共同参画白書 令和元年版」によると、2018年時点での女性検察官の割合は24.6%、女性裁判官は21.7%、女性弁護士は18.7%となりました。調査が始まった1976年当時は、女性検察官が1.7%、女性裁判官が2.1%、女性弁護士が3.2%であったため、どの職業も6倍~7倍近くに推移したことが分かります。
女性弁護士は増加傾向にあるものの、絶対数はそこまで多くありません。そもそも司法分野の従事者は、男性が大半を占める現状にあります。例えば、地方裁判所の弁護士の男女比にもそれが表れています。2018年時点では、女性弁護士のいない地方裁判所が全国に57カ所存在することがわかりました。2008年時点では女性弁護士のいない地方裁判所が123カ所あったことを考えると、着実に変化してはいます。それでも、司法分野における女性の参画率は十分とはいえません。
諸外国も日本と同様に女性弁護士の数が少ないのかといえば、そうではありません。日本弁護士連合会が2017年に公表した「弁護士会の男女共同参画は進んだか」によると、フランスの女性弁護士の割合は55.4%、イギリスは48.8%、米国は35.0%、ドイツは34.4%と高水準を保っています。2017年時点、日本での女性弁護士の割合は18.4%でした。諸外国に比べても、女性弁護士の割合は低いといわざるを得ません。
参考:内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書 令和元年版
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-01-10.html
参考:日本弁護士連合会 弁護士会の男女共同参画は進んだか
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2018/tokushu-1_tokei_2018.pdf
日本の司法試験の現状と課題
そもそもなぜ、日本の女性弁護士は少ないのでしょうか。昨年実施された「令和元年司法試験」の出願者数・合格率などから、その理由を掘り下げていきます。
司法試験の受験者数と合格率
法務省が公表した「令和元年司法試験の採点結果」によると、2019年の司法試験における受験者数は4,930人でした。性別構成は男性が3,529人(71.58%)、女性が1,401人(28.42%)です。最終合格者は1,502人となり、本試験の合格率は33.63%と、過去10年間で最高を記録しました。なお、合格者の男女比率は、男性が1,136人、女性が336人と男女別で大きな差があります。
ここで着目したいのが、女性の出願者数です。女性出願者は全体の28.42%に留まっており、おおよそ4人に1人となっています。女性出願者が少ない理由として、以下が考えられます。
□激務というイメージから司法分野を敬遠する方が多い
□仕事をしながら結婚や子育てをするのが難しい
□産休や育休制度を設けている法律事務所が少ない
女性目線で懸念されるのが、結婚や子育てです。学生を対象とした説明会においても、「働きながら子育てはできるのか?」といった質問が飛び交うといいます。現状、産休や育休などの制度を設ける法律事務所は、そう多くありません。一般企業に比べ、女性が働きやすい労働環境の整備が後手に回っている印象を受けます。また職場に理解のない男性が多く、育児や子育てを目的とした時短勤務や、産休・育休の取得に良い顔をされないこともあるとの声も見られます。結果として女性弁護士本人の肩身が狭くなり、早い段階で離職する方は少なくありません。
参考:法務省 令和元年司法試験の採点結果
http://www.moj.go.jp/content/001304473.pdf
女性弁護士のニーズは増えている?
女性弁護士の数は少ないものの、ニーズ自体は、年々増加しています。それに合わせ、近年は多くの教育機関が女性法曹の輩出に力を入れています。例えば、早稲田大学 大学院法学研究科では「女性法曹輩出促進プロジェクト」を2014年から開始しました。定期的に女性弁護士を招き、女学生の相談に乗るほか、業界についての詳しい説明も行っています。いずれにしても、女性弁護士の労働環境の整備が、今日の司法分野における重要課題といえるでしょう。
女性弁護士の年収
厚生労働省が公表した「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、女性弁護士の平均年収は593万400円となりました。これは法律事務所や一般企業に所属し、給料をもらっている“雇われ弁護士”を対象とした調査です。なお、収入内訳は月々の給料が42万4,900円、賞与(ボーナス)が83万1,600円となっています。
一方、男性弁護士の平均年収は1,097万円です。男女別で大きな賃金差があることが分かります。理由として、もっとも年収が高まる50代以上の女性弁護士が少ないことが挙げられます。独立した方や大手事務所に入社した方などは平均以上の収入を得ることもありますが、ごく一部です。
参考:厚生労働省 平成29年賃金構造基本統計調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2017/index.html
女性弁護士ならではの強みとは?
女性弁護士へ依頼することには、いくつかのメリットがあります。ここでは、女性弁護士ならではの強みを2つのポイントにわけてご紹介します。
同性だから悩みを打ち明けやすい
女性が弁護士に相談する場合、同性でなければ相談しにくい内容もあるでしょう。例えば、離婚問題が挙げられます。弁護士に依頼する以上、家庭事情や経済状況などを詳細に説明する必要があります。
とりわけ話しづらいのが夫婦関係です。DV(ドメスティックバイオレンス)やセックスレスが原因で離婚を考えた場合、男性に打ち明けるには抵抗があるでしょう。その点、話し相手が女性であれば、悩みを相談しやすくなるはずです。同時に共感も得られるため、相談者側が安心して相談できるのもポイントです。
女性特有の問題も相談できる
女性弁護士には、女性特有の問題を相談しやすいメリットがあります。先述したDVあるいはセックスレスはもちろん、出産・子育てが関わる離婚問題が良い例です。どれだけ優秀な男性弁護士でも、女性の心のケアには行き届かないことがあります。なぜなら弁護士は、過去の経験や判例から問題を解決する職業のためです。女性特有のデリケートな悩み、法廷で闘う不安感に寄り添えるのは、女性弁護士ならではの強みです。
どの様な方が女性弁護士に相談すべきか?
初めて弁護士に依頼する方、カウンセリングを受けたい方は女性弁護士に相談するのがおすすめです。一般的に弁護士への相談は、どこか気後れしてしまう方が多い印象を受けます。その点、女性弁護士なら硬派なイメージが和らぎ、気軽に相談しやすいといわれています。
また、先述した通り、女性の依頼者こそ積極的に相談すべきです。相談者に悩みに深い理解を示し、共感してくれる方も多いため、とても頼もしく感じられるでしょう。問題解決はもちろん、不安解消も視野に入れるなら、女性弁護士への相談を強くおすすめします。
まとめ
女性弁護士には、女性ならではの強みや魅力があります。まだまだ絶対数こそ少ないものの、司法分野における女性参画が進むにつれ、状況は変わっていくことでしょう。ただし、それには女性弁護士の労働および職場環境の整備が急務です。国全体が一丸となって、女性法曹の輩出に力を入れるべきではないでしょうか。
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