減らない若者の早期離職。食い止める方法は?
更新日:2023.03.23ビジネス豆知識夢や希望を持って入社した会社も、新入社員の3人に1人が3年以内に見切りをつけて退職しています。3年以内の早期離職者が出ると、会社には大きなマイナスイメージがつきます。なぜ若者は早期離職をするのでしょうか。そして、それを防ぐ方法はないのでしょうか。今回は、若者の早期離職の原因と対策についてご紹介します。
目次
早期離職の現状
企業に就職、転職してから3年以内に離職することを「早期離職」と呼びます。売り手市場が続いている現在の就職状況では、即戦力を雇い入れるのは簡単ではありません。未経験の若者を採用・教育し、一人前のビジネスパーソンにする中長期的な戦略が必要です。
しかし、近年教育途中の若者の早期離職が社会問題となっています。早期離職は、会社の人手不足につながるだけではありません。離職までに行った新入社員への投資の失敗、将来の人材の喪失などを意味します。
会社が長期にわたって発展し、より充実したサービスや商品を生み出すには、若者の早期離職は必ず防がなければなりません。以下では、早期離職の現状について数字や具体的な業界名を提示しつつご紹介します。
早期離職率の推移
早期離職率とは、1年の入社総数に対して、同年で入社から3年以内に離職した割合を示したものです。早期離職率は、毎年厚生労働省が発表しています。
※参考 厚生労働省「学歴別卒業後3年以内離職率の推移」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000140596.pdf)
中学卒・高校卒・短大卒・大学卒に分類されていますが、ここ20年ほどの推移を確認すると、どれも大きな変化はありません。中学卒は60~70%、高校卒は40~50%、短大卒は40%前後、大学卒は30%前後で推移しています。大学卒の方でも卒業後3年以内に30%の方が離職しているという事実は、多くの方に驚きを与えるでしょう。
早期離職率は、「横ばいなら問題ない」ものではありません。この数字からは、企業が早期離職に対して10年以上有効な対策を打ち出せていない事実を示しています。企業が早期離職率の改善にあまり注力していないのは、早期離職による損失の大きさは、中長期的な視点で考えなければ分かりにくい問題だからかもしれません。
企業規模別の離職率の違い
早期離職率は、企業規模ごとに異なります。厚生労働省の発表によると、従業員が5人未満の企業では早期離職率が60%ほどあるのに対して、従業員が1000人以上の会社では24%程度に下がります。企業規模が大きくなると福利厚生や給与面などで満足のいく待遇を受けられ、早期離職の低下につながったと考えられるでしょう。
早期離職による企業への影響とは?
前述の通り、早期退職者が増えると企業にも大きな影響が及びます。以下では、早期離職による企業側への良い影響と悪い影響をご紹介します。
良い影響
若者の早期離職は、企業に一定のメリットをもたらします。考えられるものは以下の2つです。
□労働意欲の低い従業員が自主的に退職する
□中途採用によって即戦力を雇い入れるチャンスにつながる
労働意欲が低い、つまりやる気のない従業員は、企業にとっても目の上のたんこぶになりかねません。本人だけの問題ではなく、その空気が会社全体に伝染してしまうケースもあります。しかし、日本ではリストラを行うのも簡単ではありません。万が一不当解雇となれば、企業が受けるダメージも大きくなります。労働意欲の低い従業員が自ら離職するのは、決して悪いことばかりではないでしょう。
また、早期離職によって生じた穴は新たな人員で埋めなければなりません。その際に中途採用を活用できれば、即戦力を雇い入れるチャンスになります。指導コストの削減にもつながるため、早期離職で失ったものを取り返す機会にもなるでしょう。
悪い影響
一方で、社会人経験のない新人を自社で育てるつもりで採用し投資をしてきた以上、若者の早期離職は企業に大きなダメージを与えます。考えられる影響は以下の通りです。
□採用にかけたコストが無駄になる
□入社後の教育コストが無駄になる
□簡単に新たな人材を確保できない
企業は、入社後の利益を見越して、新入社員の採用に多額のコストをかけています。若者の早期離職は、採用活動にかけたコストや工数を無駄にしてしまいます。これは、入社後新入社員にかけた教育コストについても同様です。
また、前述の通り現在は売り手市場であり、新たな人材確保は簡単ではありません。一定のスキルを持った人材を確保できれば穴埋めは可能ですが、実際はそんなにうまくいかないのが実情です。
若者が早期離職する原因
上述の通り、若者の早期離職は一定のメリットがあるものの、会社に大きなダメージを与えます。一方で、早期退職者にとっても今後の不透明さや、再就職の可能性など不安は残るはずです。デメリットがあると理解しているにもかかわらず、なぜ若者の早期離職は減少しないのでしょうか。
社会人としてのストレスに耐えられない
社会人になると、今までの生活とは異なるストレスを少なからず感じるものです。納期やノルマなど、学生時代にはなかったストレスにより、体調を崩す方も少なくありません。理不尽な叱責や過度のストレスによって心身に異常をきたし、早期離職へとつながるケースは多いでしょう。
労働時間に見合う給与がもらえない
日本人は勤勉といわれます。しかし、世界でも有数の真面目な国民性を持っているにもかかわらず、思う様な給与を得られていないのも事実です。社会人になって、「あんなに働いたのに給料が少ない・・・」と感じたことのある方も多いはずです。
職場の人間関係で悩みを抱えている
人間関係のトラブルによる早期離職もひとつの要因です。給与や仕事内容に不満がない場合でも、職場になじめずに早期離職してしまうケースもある様です。
新入社員が入ったら、何かあった時に上司に相談できる窓口を作っておきましょう。
早期離職への対処方法
早期離職者を減らすことで、優秀な人材を育て、採用活動にかけたコストを回収することができます。以下では、早期離職への対処方法をご紹介します。
社内のコミュニケーションを促進する
職場でのトラブル、主に人間関係のトラブルは社内の風通しの悪さが原因であるケースが少なくありません。人間関係や職場の雰囲気に悩みを抱えていても、先輩や上司に相談する風土ができあがっておらず、ひとりで抱えこんでしまい早期離職へとつながるのです。
新人だからといって何をいっても聞き入れられない雰囲気や、誰にも相談できない雰囲気を放置していると、ある日突然の離職を招きます。
新入社員も会社の重要な一員であることを意識し、社内で活発にコミュニケーションを取れる環境を整えましょう。
採用段階でのミスマッチを減らす
仕事内容や労働時間、福利厚生などに対する不満は、採用段階での会社と就職希望者との意識のズレが原因であると考えられます。
就職セミナーや選考の段階で就業条件ついて正確に説明することで、これらを原因とする早期離職が防げるでしょう。
キャリアパスを明確にする
現在は、仕事に対して給与だけでなくやりがいや内容の充実を求める方も増えています。そういった方にとって、キャリアパスが不明確なのは早期退職のひとつの理由になるはずです。
会社はどんな人材を必要としていて、どんな実績をあげれば評価されるのか。ある職位につくには、どんな業務経験が必要なのかを明示しておくと、従業員のやる気につながるでしょう。
大企業であっても、新入社員の3人に1人は入社後3年以内に離職しています。早期離職は、会社を成長させ事業を拡大させるために取り組まなければならない重要な課題です。今すぐに新入社員とコミュニケーションを取り、彼らが会社に対してどんな不満を抱いているのか確認しましょう。
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