フレックスタイム制のメリットとデメリット
更新日:2023.04.17スタッフブログ従業員が日々の始業、終業を自分自身で決めて働くことができるフレックスタイム制。フレックスタイム制では、従業員個人のライフスタイルに合わせて働くことができます。一見するとメリットばかりのようにも思えますが、業種によってはデメリットも発生します。今回はフレックスタイム制のメリットとデメリットについて紹介します。
目次
フレックスタイム制とは何か
多く採用されている従来の働き方とは違い、1日の労働時間を固定しません。1か月単位などの期間を定めて、総労働時間の範囲の中で従業員が働く時間を自由に決められる制度です。従業員がこの制度を上手く利用すれば、仕事と生活の両立ができますのでとてもメリットがあります。企業にとっても業務効率や生産性の向上が期待できる制度です。フレックスタイム制導入に際しては労使協定を締結する必要があります。現在は労働基準監督署への届け出は不要ですが、2019年4月からは届け出が必要になる予定です。
労使協定で決めるべきこと
フレックスタイム制の対象となる従業員の範囲
全従業員でも問題ありませんし、一部の従業員でも、特定の部署だけでも構いません。企業に合った範囲で設定することができます。
清算期間
従業員が労働するべき時間を定める期間を決めなければいけません。
1週間など短い期間でも定めることができますが、一般的には賃金の計算に合わせて1か月とすることが多いです。清算期間は2019年4月からは最長で3か月までに変更されます。1か月から3か月に伸びることによって、計算の仕方は複雑になりますが、会社によってはメリットが増える場合もあります。フレックスタイム制を導入する会社が増える可能性が高いと思われます。清算期間内の総労働時間設定も必要です。
起算日の設定
清算期間の起算日も設定する必要があります。一般的にはこちらも賃金計算期間に合わせて設定することが多いです。末締めの会社なら起算日は1日です。
標準となる1日の労働時間設定
有給休暇の取得などがあった場合、何時間の労働があったのかを明確にしておく必要があります。そのため、標準となる1日の労働時間は7時間などと定めておく必要があります。
コアタイム、フレキシブルタイムの設定
コアタイムとは、必ず出勤しなければならない時間のことです。コアタイムの設定は必須ではありませんので、全ての時間をフレキシブルタイムに設定することも可能です。ただ、一般的には始業と終業の間にコアタイムを挟んで設定することが多いです。
フレキシブルタイムとは、その時間帯はいつ出社しても退社してもいい時間のことです。コアタイムを挟むように始業と終業の時間帯に設定されることが多く、従業員は自由に出社や退社の時間を決めることができます。逆に言えばフレキシブルタイムの時は休んでいても良いということです。同時に就業規則の変更もしておきましょう。常時10人以上の従業員を雇用している会社は労働基準監督署に届け出が必要です。
フレックスタイム制のメリット・デメリット
フレックスタイム制には従業員、会社ともにメリットとデメリットがあります。導入する際にはその辺りを考慮するべきです。
フレックスタイム制のメリット
働き方に自由性があるので、優秀な人材の採用や定着に繋がりやすい
自由な始業、終業ができるのは従業員にとって嬉しいことです。そのため、優秀な人材が集まりやすいです。なぜなら、時間管理の意識が高い人は仕事もできます。フレックスタイム制は仕事ができる優秀な人材の採用、定着にうってつけです。これは会社にとっても嬉しいことです。
個人が効率的に時間配分できるので、残業の軽減に繋がる
仕事が少ない日や、早く終わった日は早く退勤できます。早く退勤した分を仕事が多い日に割り当てることができます。結果的に残業代が抑えられます。精算期間の総労働時間で残業代の有無を判断できるので、残業代が抑えられるのは会社にとってもメリットになります。
始業、終業時間が自由に選べるので通勤ラッシュを避けることができる
毎日、満員電車に揉まれて通勤しなくてもいいのでストレスも軽減できます。
また、始業、終業時間を自分で決められるということは、自分の生活に合わせて仕事ができます。メンタルヘルス対策にも有効です。
定時に出勤が難しい人材が確保できる
家庭の事情などで働きたくても働けない人はたくさんいます。フレックスタイム制だと、働きたくても働けなかった人を採用することもできます。従業員は働ける仕事があることで幸せになれます。人材難といわれる現代、今の内に人材を確保しておけるのは会社にとってもかなりのメリットです。
従業員のモチベーションアップに繋がる
自由に働けるということは従業員にとって、とても魅力的です。そんな環境で仕事ができるということで仕事に対するモチベーションも自然と上がります。従業員の業務効率が上がるということは会社にとってマイナスではなくプラスでしかありません。
フレックスタイム制のデメリット
取引先、チーム間、部署間との時間調整が難しくなる
始業、終業時間が自由ということは、逆に考えると打ち合わせやミーテイングがコアタイムに集中してしまう危険性があるということです。そうなると自分の仕事に集中できず、結局フレキシブルタイムに出勤して仕事をこなさなければいけません。また、会社にいる時間が忙しすぎるがゆえの従業員同士でのコミュニケーション不足も懸念されます。
精算期間における残業時間の計算が複雑になる
それぞれが自由な働き方をするということは、勤務時間も人によってまちまちになるということです。そうなると残業時間の計算や実労働時間の管理が複雑になってしまいます。フレックスタイム制ならではの悩みでしょう。
自己管理ができない従業員は労働意欲が低下する
社会人になって自己管理ができないというのもどうかと思いますが、経営層との働く意識の違いから生じるもので仕方ないことなのかもしれません。ただ、自己管理のできない従業員はフレックスタイム制に不向きです。
フレックスタイム制での残業について
フレックスタイム制は自由な働き方だから残業代は支給されないと思う方もいますが、フレックスタイム制でも残業代は発生します。なかには、フレックスタイム制を理由にして残業代を支払わない、長時間残業を強いられる良くない会社もありますので気を付けましょう。
フレックスタイム制でも残業代は発生します
フレックスタイム制の労働時間を管理するには、清算期間と総労働時間が基準になります。清算期間は最長で1か月(2019年4月からは3か月に延長されます)。総労働時間とは上記の清算期間で労働するべき時間のことです。この総労働時間は、1週間の労働時間が40時間(特例措置対象事業所では44時間)以内になるようにしなければいけません。清算期間を1か月とすると法定総労働時間は以下のように定めなければいけません。
1か月31日の場合は週40時間の場合だと177.1時間。44時間なら194.8時間。
1か月30日の場合は週40時間の場合だと171.4時間。44時間なら188.5時間。
1か月29日の場合は週40時間の場合だと165.7時間。44時間なら182.2時間。
1か月28日の場合は週40時間の場合だと160.0時間。44時間なら176.0時間。
フレックスタイム制で残業代が発生するのは、1日の労働時間が8時間を超えたもしくは週40時間を超えた場合ではありません。清算期間における実労働時間の合計が総労働時間を超えた場合に残業代が発生します。
- 法定総労働時間から会社が定めた労働時間の差。
- 清算期間における実労働時間から法定総労働時間の差。
また、会社が定めた労働時間よりも実労働時間が下回った場合はどうなるのか。
- 満たなかった時間の賃金カット。
- 満たなかった時間を翌月に繰り越し。
2019年4月に清算期間の拡大となるフレックスタイム制。この改正により採用する会社も増えるのではないでしょうか。優秀な人材を採用、確保することが会社の未来に繋がると考えれば、メリットは非常に大きく、フレックスタイム制の導入も選択肢のひとつではないかと思います。ただ、フレックスタイム制にもデメリットがあります。
自社に合うかどうかを慎重に吟味してから導入する制度だと感じます。
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