【送る相手別例文付】ビジネス暑中見舞いの書き方
更新日:2024.07.17ビジネス豆知識暑中見舞いは、江戸時代に生まれた習慣といわれています。先祖の霊への供物を持参して里帰りする風習が由来と見られ、次第に夏の挨拶状を送るスタイルが広まっていきました。現在は、公私にわたり暑中見舞いを送る習慣が定着しています。仕事関係の手紙で文面に悩んでいる場合、基本マナーを覚えておくと役立つでしょう。そこで今回は、暑中見舞いの目的・書き方や実際に使える例文をご紹介します。
目次
暑中見舞いの目的・書き方・マナー
暑中見舞いは、暑さが厳しい時期に送られる手紙や贈答品です。広い意味では、家を訪問して挨拶する形式や手紙を出す行為も含まれます。以下では、暑中見舞いの目的や手紙の基本的な書き方をご紹介します。
暑中見舞いの目的
暑中見舞いの目的は、暑さが厳しくなる時期に日頃からお世話になっている人の健康を気遣うことです。日本では、夏場に過酷な暑さで体調を崩すケースが多く見られます。最近は、気候変動の影響もあるためか、気温30度以上の真夏日や35度以上の猛暑日になる日数が以前より増えました。
日々の生活で熱中症などになる可能性は高く、お世話になっている人が健康に過ごせることを願って暑中見舞いは送られています。手紙や贈答品を贈る相手は、仕事の関係先や子どもの学校・習い事の先生が一般的です。本来の目的に沿って暑中見舞いを出せば、相手の健康を願う気持ちが伝わり喜ばれるでしょう。
基本的な書き方
暑中見舞いは、最初の挨拶・相手を気遣う言葉・こちらの近況報告・締めの挨拶の4つで構成する書き方が基本です。多くの手紙では、最初の挨拶に「暑中お見舞い申し上げます」が使われています。また、相手を気遣う言葉は、「平素は、格別のご高誼を賜り感謝申し上げます」などの表現が代表的です。
仕事関係の場合、こちらの近況報告では、会社や店舗の休業期間を知らせるケースが一般的です。最後は、「暑さ厳しき折、どうぞご自愛のほどお願い申し上げます」などの言葉で締めくくります。以上の4要素が記された手紙は、社会人にふさわしい良識のある暑中見舞いとして受け取られるでしょう。
心がけたいマナー
仕事関係で暑中見舞いを出す場合、ビジネスマナーをふまえ言葉遣いに気をつける意識は大切です。健康への配慮が目的でも、尊敬語と謙譲語の誤りや二重敬語は失礼な印象を与える可能性があります。馴染みのないフレーズを使う時も、誤字脱字はマナー違反です。手紙を書いた後、言葉遣いや表記ミスのチェックは欠かせません。
さらに、ビジネス関係の挨拶状や年賀状と同様に、暑中見舞いも冒頭の挨拶には句読点を入れないのが一般的です。句読点には、誰にでも文章の切れ目がわかるように、という目的でつけられるようになったという経緯があります。そのため、贈る相手が目上の方やマナーに厳しい方だった場合、不快に感じられる可能性があるため注意しましょう。
また、ビジネス用の書面とはいえ、過度に堅苦しい表現は合わないと指摘されています。それより、相手を思い浮かべ楽しく書いた気持ちが伝わる文章のほうが好まれています。上司や大事な取引先に暑中見舞いを出す時も、義務感からでなく感謝の気持ちを込めて手紙を書くことが大切です。
暑中見舞いの時期や季語
暑中見舞いは、決められた時期に送る必要があります。手紙などを出せる期間は年ごとに変わるため。毎年の事前確認は不可欠です。以下では、暑中見舞いの大まかな時期や手紙の表現に使える季語をご紹介します。
暑中見舞いの時期
暑中見舞いを送る時期は、大まかに梅雨が明ける頃から立秋を迎えるまでの約1カ月間です。具体的な日付を示すと、二十四節季の小暑となる7月7日頃から立秋に変わる8月7日頃が該当します。また、7月7日頃から大暑となる7月22日頃までと、それ以降から立秋までの2時期に分ける意見も聞かれます。日付に決まりはなく、梅雨が明けて夏の暑さを感じ始めた頃が、暑中見舞いを送るのに適した時期です。
実際は、同じ年でも梅雨明けや夏が訪れる時期は地域により異なるため、暑中見舞いを出す頃合いにも地域差が見られます。基本的には季節の挨拶であり、厳密な日付は気にせず梅雨明けや二十四節季の小暑と立秋を目安にすればよいと考えられます。
手紙の表現に使える季語
暑中見舞いの文面で個性や季節感を出すには、定番の表現に夏の季語も添えると効果的です。手紙に使える季語の代表例としては、「向日葵」「茄子」「冷麦」「花火」「浴衣」「水中花」などが挙げられます。これらの季語で表現された俳句を織り交ぜれば、風情も感じられるでしょう。
また最近は、夏をイメージした限定バージョンの切手が販売されています。季語に登場する「金魚」や「風鈴」が描かれた切手を貼る工夫も、夏の雰囲気を演出するのに有効です。写真撮影が好きなら、夏の季語のモチーフをスマホで撮影してハガキに印刷する方法もあります。
時期が過ぎてからの挨拶
暑中見舞いの時期が過ぎてからの挨拶は、手紙や贈答品の区別なく残暑見舞いとして送るのがマナーです。早めに暑中見舞いを準備し始めても、手紙の文面などを悩んでいるうちにタイミングを逃すかもしれません。立秋を迎えた後の暑中見舞いはマナー違反になるため、残暑見舞いに変える必要があります。
残暑見舞いの時期は、立秋以降から8月末までの1カ月弱が目安です。8月中に送るのが基本ですが、厳しい残暑が続く場合は9月上旬くらいまでなら失礼にならないといわれています。なお、立秋が近い時は、暦のうえで秋が始まる前に手紙が届くか考慮して暑中見舞いと残暑見舞いのどちらかを選ぶ必要があります。
手紙を送る相手別の例文
暑中見舞いの文面は、手紙を送る相手に合わせて変えるとよいでしょう。ビジネス関係とプライベートでは、適切な表現が変わってきます。以下では、手紙の相手別に適切といわれるフレーズの例文をご紹介します。
ビジネス関係
ビジネス関係の暑中見舞いは、硬めの言葉を用いた表現が適切です。具体的には、最初の挨拶の後に、相手への気遣いとして次のフレーズが広く使われています。
- 暑さ厳しき折 貴社におかれましては ますますご隆昌のことと存じます
- 皆様におかれましては ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
- 平素は格別にお引き立てをいただき 厚く御礼申し上げます
ほかには、「日頃から格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます」や「ますますご清祥のことと存じます」も使えます。上司などに向けた手紙であれば、「おかげさまで家族ともども元気に過ごしております」や「変わりなく過ごしております」と近況報告する書き方が一般的です。
入社1年目なら、「今後より一層精進いたします」と仕事への意気込みを続ければ好感度の向上につながると考えられます。以上をふまえた例文は、次の通りです。
暑中お見舞い申し上げます
暑さ厳しき折、貴社におかれましてはますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
日頃から格別にお引き立てをいただき、誠にありがとうございます。
大変に恐縮ではございますが、弊社は8月〇日~○日に夏季休暇を取らせていただきます。
何卒ご理解いただければ幸いです。
なお、緊急の用件などありましたら下記の連絡先をご利用ください。
緊急連絡先:○○○-○○○-○○○○
暑さ厳しき折、どうぞご自愛のほどお願い申し上げます。
令和○年 盛夏
学校・習い事の先生
子どもや自分が通う学校・習い事の先生に向けた挨拶は、ビジネス関係より親しみの感じられる表現でも差し支えないでしょう。相手を気遣う言葉として、多くの手紙で以下のフレーズが選ばれています。
- 毎日 暑い日が続きますが お元気でお過ごしでしょうか
- 急に暑くなりましたが 先生はお変わりなくお過ごしでしょうか
- 〇〇先生 毎日暑いなかご指導いただきありがとうございます
近況報告では、子どもが学校を楽しんでいる旨や自分が習い事で充実していることへの感謝を伝えるのがよいと考えられます。以上をふまえた例文としては、次の文面が挙げられます。
暑中お見舞い申し上げます
厳しい暑さが続きますが、先生はお変わりなくお過ごしでしょうか。
毎日暑いなかご指導いただき、ありがとうございます。
子どもは、先生や友達にお会いできるのを楽しみに学校生活を送っております。
笑顔のあふれる毎日は、先生の御陰と感謝しております。
では、暑さ厳しき折、どうぞご自愛のほどお願い申し上げます。
令和○年 盛夏
親戚・友人・知人
親戚・友人・知人に送る暑中見舞いは、失礼にならない丁寧な表現を心がければ大丈夫です。次に挙げるフレーズは、相手を気遣う文面で使えます。
- 厳しい暑さが続きますが お元気でしょうか
- 皆様には 健やかにお過ごしのご様子 お喜び申し上げます
- ご無沙汰しておりますが お元気にお過ごしでしょうか
近況報告や返事には、「夏休みにお会いできると嬉しいです」や「ご丁寧な暑中お見舞いをいただき、ありがとうございます」が多く使われています。以上をふまえると、次のような例文になります。
暑中お見舞い申し上げます
ここ最近は仕事が忙しくなり、ご無沙汰しております。
毎日厳しい暑さが続きますが、お元気にお過ごしでしょうか。
先日は、ご丁寧な暑中お見舞いを頂戴しありがとうございました。
夏休みに帰省した時、お会いできるのを楽しみにしております。
では、しばらく暑い日が続きますのでお身体に気をつけてお過ごしください。
令和○年 盛夏
なお、「ご自愛ください」「お身体にお気をつけて」の後に結語の「敬具」は必要なく、最後に「(年号)〇年盛夏」と日付を記します。今年の夏に暑中見舞いを書く時は、以上の例文を参考にして相手への気遣いや感謝の気持ちを込めた文面を考えてみてください。
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