リーダーの必須スキル・EQ(心の知能指数)とは
更新日:2023.06.02ビジネス豆知識EQとは、感情のコントロールに関わる資質や能力を意味し、「心の知能指数」とも呼ばれています。かつてビジネスシーンで仕事関係の能力を判定する際に重要視されていたIQの有用性が疑問視され、新たな判定基準として注目されるようになりました。EQの資質・能力は生来のものではなく、トレーニングすれば鍛えられるといわれています。そこで今回は、EQの基礎情報やEQが高い人に見られる特徴、また職場で実践できるトレーニング方法などをご紹介します。
目次
EQの基礎情報
EQは、「Emotional Intelligence Quotient」の略称です。ビジネスの場を中心に「感情をうまく管理し、利用する能力」と説明され、日本では「心の知能指数」と和訳されています。
EQが意味する能力の概要
EQは、簡潔に表現すると「他人の感情を感じ取る能力と、自分の感情をうまくコントロールし利用する能力」です。もともとアメリカで研究が始まり、そこでは次の5つの資質、あるいは能力を指すと理解されました。
1.自分の感情の状態を把握している
2.自分の感情を管理、調整できる
3.他者の感情の状態を感知できる
4.前向きな感情を生み出している
5.対人コミュニケーションをうまく保つことができる
当初、これら5つの資質や能力は「人間的魅力」とまとめられます。やがてビジネスの能力を判定する指標として利用され始め、EQの名で広まっていきました。
EQ発見に至る経緯
そもそも、アメリカの研究でEQが見出された発端は、ビジネスの現場ではIQを重視しても十分な成果が上がらなかったためです。IQとは「Intelligence Quotient」の略称で、日本では「知能指数」という意味をもつ言葉として知られています。EQが見出される以前、ビジネスシーンでは人材の能力を判定する基準としてIQが重視されていました。
しかし、実際に仕事を任せてみると、IQが高くても期待したほど多くの業績を生み出せないケースが続きます。様々な現場の状況から、IQとビジネスの能力との関係性について疑問の目が向けられるようになりました。この問題を解決するため、人材の新たな判定基準を探る研究がアメリカで開始されます。そうして見つかった5つの資質や能力が、上記の「人間的魅力」であり、EQと呼ばれる人材判定の新しい基準です。
EQの原点はビジネスの成功例
EQは、ビジネスで成功する人材の要件を探るなかで発見されました。上記の研究は、EQの提唱者であるピーター・サロベイ博士たちの手によって始められます。実際に研究を進めていく時、とくに注目した要素がビジネスの現場で成功している人材の共通点です。
調べを進めるなかで研究者たちは、ビジネスでの成功と仕事上の人間関係に深い関わりがあることに気がつきました。ビジネスで成功した人材の多くは、対人関係能力が優れているという共通点があったのです。結論として、対人関係能力の高さはビジネスを成功するうえで重要な要素と見なされます。そして、サロベイ博士たちにより、上記の5つの人間的魅力の発見、およびEQの提唱へとつながりました。
EQの高い人に見られる特徴
現在のビジネスシーンでは、EQの高い人に共通する主な特徴として、以下の5つが挙げられています。
1.批判を冷静に受け止められる
2.周りに心を開いている
3.会話では聞き上手である
4.事実を情報操作しない
5.自分のミスは認める
1.批判を冷静に受け止められる
自分に対する批判を冷静に受け止められるところは、EQが高い人に見られる大きな特徴です。仕事をするうえで、周りからの批判を受けることもあるでしょう。批判がどんなに筋の通った内容であっても、感情的に反応してしまうという人は少なからずいるようです。
EQが高い人の多くは、厳しい批判も常に冷静に受け止められます。批判はあくまでも今後の成功に向けた分析対象として考えるため、問題点を修正しながら業務に取り組むことができるのです。
2.周りに心を開いている
EQが高い人は、周りに心を開いているという特徴があります。誰に対しても、分け隔てなく接する傾向が強く見られます。通常、仕事に限らず物事の考え方や価値観は多少なりとも異なるものです。職場では、業務の進め方に関わる考えの違いから意見がぶつかることもあるでしょう。それぞれの意見が衝突すると感情的になり、お互いに心を閉ざすことは珍しくありません。
それでもEQが高い人は、いずれの意見にも落ち着いて耳を傾けることができます。自分の価値観に縛られず、どんな考え方も肯定的に聞き入れられるのです。
3.会話では聞き上手である
聞き上手であるところは、EQの高さの表れです。その要因は、聞く力の重要性を認識しているためと考えられています。仕事でトラブルが発生した際、事実関係を正しく把握するには可能な限りの情報収集が不可欠です。できるだけ多方面から情報を集めるには、いずれの声にも偏見をもたず、ヒアリングする姿勢が求められます。
EQが高い人は、トラブルの発生時に限らず仕事全般で聞く力を重視する傾向があり、会話では聞き上手な姿勢が大きな特徴になっています。
4.事実を情報操作しない
仕事で不都合な点があった時、EQが高い人は事実関係を自分の都合に合わせ故意に情報操作しません。日々、数々の仕事を進めていると、自分にとって不都合な事態に見舞われることがあります。面倒なトラブルに直面すると解決に手間がかかり、仕事が滞る可能性もあるため望ましくありません。
とはいえ、手間を省きたいとの思いから情報操作をしてしまうと、仕事全体にはマイナスに作用することもあります。EQが高い人は、情報操作のマイナス面に考えが及び、冷静に対処することができます。
5.自分のミスは認める
仕事で自分のミスを正直に認めるところも、EQが高い人に見られる大きな特徴です。仕事中に自分のミスが原因でトラブルが起きると、職場での評価に影響する可能性があります。そのため、評価を下げたくないとの思いから、ミスを認めず自己弁護するケースは珍しくありません。
それに対しEQが高い人は、自分の評価より速やかな問題解決を優先し、すぐにミスを認める場合が大半です。これら5つの特徴は、EQの高さを判定する代表的な目安になります。どれくらい高いか自己判定する際は、参考にしてみてください。
EQを高める方法
EQは、生まれつきの性格や才能と異なり、トレーニングで鍛えられるといわれる資質や能力です。人材教育などでEQを高める方法としては、次の育成プランが挙げられています。
現状を把握
EQを高めるトレーニングで最初に取り組むステップは、現状の把握です。上記した各種の資質・能力を鍛える準備段階として、まず自分が置かれている状況の把握に努めましょう。
感情の動きを分析
次は、感情の動きを分析する段階です。自分が手がけた仕事の様子を思い返し、どんな具合に感情が動いていたかを分析していきます。感情の動きを分析した後には何が問題か認識し、今後の課題に掲げます。
実際の行動を決定
感情の動きに関する分析結果を実際の行動に活かすのが、第3のステップです。先に今後の課題として掲げた問題点の克服を目指しながら、どう行動するかを決定します。その際、上手に感情面をコントロールすることが大切です。
結果の見直し
最後は、実際に行動した結果の見直しです。多くの場合新たな問題点が見つかるため、すでに認識していた課題もクリアできるとは限りません。不都合でも冷静に受け止め、感情に流されない適切な改善を試みます。
職場でEQの高い人材を育成する際は、以上の4ステップを繰り返すことで大きな効果を得られると期待されています。近年は様々な測定ツールも用意されていますので、トレーニングを実践する時は職場のニーズに合うタイプを選び、活用してみてください。
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