顧客満足(CS)の意味や向上を目指す取り組み

更新日:2023.03.01ビジネス豆知識

顧客満足度

顧客満足(CS)の向上は、企業の売上に大きく影響する重要課題のひとつです。お客様に満足される商品やサービスを提供すれば、売上も伸びると考えられます。ただ具体的に満足度を高めるとなると、どんな方法がよいか簡単には思い浮かばないかもしれません。そこで今回は、ビジネスシーンで業界や業種を問わず欠かせないCSの概要や、向上のための取り組み方をご紹介します

顧客満足度の概要

いまのところ、顧客満足度に関して決まった定義はありません。ただ、どれくらい満足されたかを売上のみで測定する方法は疑問視されており、新しい指標が提案されています。

顧客満足度の意味

顧客満足度の意味は、そのまま解釈すればお客様の満足の度合いです。この説明は間違っていませんが、具体的でないとの声が多く聞かれます。曖昧さを避けるため、言葉の定義については複数の意見が示されています。具体性を持たせた意見のひとつが、「お客様の期待値を超えること」という考え方です。

商品やサービスを購入する時、多くのお客様は何かしらのメリットを得られると期待しています。家族や友人と食事に行った場合、どれくらい美味しい料理を味わえるか期待しながらお店やメニューを選ぶ方も多いのではないでしょうか。この定義では、お店で出された料理の味がお客様の期待値を超えれば顧客満足度は高くなると考えられています。

顧客満足度を構成する2つの側面

「お客様の期待値を超える」との定義も、まだ十分に明確とはいえないかもしれません。その点に考慮し、定義のなかでは顧客満足度を構成する2つの側面として機能的価値と感情的価値を挙げています。「期待値を超える」とは、機能面あるいは感情面で超えることを意味すると説明されています。

飲食店であれば機能面とは料理の基本要素となる味であり、感情面が意味する要素は店の雰囲気や従業員の応対といった接客部分です。これらがお客様の想像を上回れば、飲食店の顧客満足度は向上すると期待できます。企業が顧客満足度を高めたい時には、商品やサービスの機能・品質とともに見た目のデザイン、さらに販売時の接客方法にも配慮する必要があると考えられています。

新しい指標「NPS」

顧客満足度が向上すれば知人への口コミやリピーターの発生につながりますが、すぐ売上に反映されるとは限りません。この課題を解決するため、最近は新しい指標にも目が向けられています。新たに注目を集めている指標とは、NPS(Net Promoter Score)です。Promoter(他者への推奨者)のNet(正味の値)を測定し、お客様が他の方に購入商品・サービスをどれくらい推奨したか分析します。NPSは将来的な顧客行動に深く関わっていると証明済みであり、企業から今後のビジネス展開の参考になると見込まれています。

顧客満足度を高めるには

顧客の動きを把握する指標はひとつに限られませんが、いずれを用いるとしてもお客様に満足してもらえるかどうかは企業にとって重要です。

顧客満足度の高い企業に共通の特徴

顧客満足度の高い企業に共通して見られる特徴としては、徹底的な細部へのこだわりが挙げられます。飲食業の場合、行列できる店舗の多くは料理の味を追求するだけでなく店の内装や食器類にも強いこだわりを感じられるものです。ホテル業なら、快適に過ごせる部屋を用意するだけでなく接客方法にも細心の注意を払っているところが珍しくありません。人気のある料理店や宿泊施設は機能面と感情面ともにお客様が思った以上の商品・サービスを提供し、高い顧客満足度を獲得していると理解できます。

顧客満足度向上のポイント1 現状とニーズを把握

実際に顧客満足度を向上させる際、まず取り組みたいことは現状と潜在的なニーズの把握です。具体的な把握方法には、アンケート調査、リピート率の分析、インターネットの活用があります。アンケート調査は、個々のお客様から多彩な意見を集めるのに効果的です。

リピート率は売上から分析できるので、大きな手間はかかりません。インターネットを使うと、顧客がどんな商品やサービスを探し求めているか調べられます。現状を把握すれば、クリアしなければならない課題が見えてきます。既存の商品・サービスが抱える問題点が明らかになり、適切な解決策を考案することで顧客満足度を向上できるでしょう。お客様のニーズをふまえ品質を改善すれば、売上の増進にもつながります。

顧客満足度向上のポイント2 目標の設定

顧客満足度を高めるうえで、もうひとつ忘れてはいけないのが目標の設定です。漠然と満足度向上を目指すより、具体的な数値を示したほうが効果は上がります。目標値の設定には、アンケート調査やリピート率の把握以外にNPSの活用も有効です。

これらの結果を集計しても、満足度の良し悪しを判断するだけで終わるのは望ましくありません。必ず数値化したうえで次の目標値を従業員が共有することで、職場のモチベーションは高まると考えられます。日々のサービス改善を通して着実に目標値が達成されれば顧客満足度が高まったと自然に分かり、さらに努力するための励みになるでしょう。

顧客満足度が高い企業の活動

実際に顧客満足度が高い企業の活動を知ることは、お客様に喜ばれる商品・サービスの提供に役立つと期待されます。以下には、参考として食堂施設と宿泊施設の事例を示します。

事例1:食堂施設

まずご紹介するケースは、かつて国内の顧客満足度調査で1位を獲得したホテルの食堂施設で起きたエピソードです。ある日、食堂が閉店間際になった時に「二度と行かない」と訴える1本のクレームが入ります。電話してきた方は、いつも決まったメニューを好んで注文する常連のお客様です。

クレームのあった当日も、普段と変わらず来店していました。ただ、その日は従業員のミスが相次ぎ、常連の方もいつも通りに食事を楽しめずクレームに発展します。普通は、誠意をもって謝罪したうえでお詫びの品を用意するといった対応を考えるでしょう。

一方、この食堂施設は料理の材料と調理道具一式を準備してお客様のもとに訪れます。お客様の許可をもらってから台所を借り、いつも通りのメニューを改めて提供しました。心のこもった接待により、お客様は「また行く」と話してくれたとのことです。謝罪のみで済ませない対応は、食堂施設のサービスに対する強いこだわりが生んだといわれています。

事例2:宿泊施設

世界でもトップクラスといわれる宿泊施設は、接客ひとつを見ても通常の方法との大きな違いが見られます。品質の高さを物語るエピソードは、以下の通りです。ホテルの従業員がビーチに置かれたチェアを片付けていると、宿泊客の男性が近づいてきました。男性は、夜にプロポーズしたいからビーチチェアをひとつ残してほしいと従業員に頼みます。通常、接客レベルの高い宿泊施設ならお客様の要望に快く応じるでしょう。このホテルも例外でなく、従業員は希望通りにビーチチェアを置いていきます。

ただ世界屈指の一流ホテルは、ここからが違いました。男性客の事情を聞いた従業員は、さらにビーチテーブルも残し、真っ白なテーブルクロスを敷いたうえにお花とシャンパンをセッティングします。ビーチチェアの前にはプロポーズ時に男性の膝を汚さないためのタオルを用意し、従業員はタキシードに着替えてから手に白いクロスをかけカップルの到来を待ちます。カップルは、予想以上の展開に心から喜んでくれたでしょう。

いずれの接客も、簡単には実践できないレベルと考えられます。日頃からアンケートやNPSを有効活用し、さらなる顧客満足度の向上にお役立て下さい。

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