企業が時差出勤を導入するためにすべきこととは?

2020.05.11ビジネス豆知識
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新型コロナウィルスの感染が拡大するなか、多くの注目を集めている時差出勤。従業員の負担軽減になるメリットはよく知られますが、不用意に導入すると思わぬトラブルを招くかもしれません。スムーズに運用するには、デメリットも理解したうえで事前準備を進める必要があるでしょう。そこで今回は、時差出勤のメリット・デメリット、必要な準備、導入時の注意点や円滑に運用するためのポイントをご紹介します。

時差出勤

 

時差出勤のメリット・デメリット

時差出勤の大きなメリットは、出勤に伴う従業員の負担を減らせる点です。ただ、導入する際には注意したいデメリットもあります。

 

時差出勤のメリット

時差出勤は、始業時刻や終業時刻を前後にずらすシステムです。始業時刻を遅らせると、従業員は通勤ラッシュを避けやすくなります。

かつて多くの従業員はほぼ同じ時間帯に出社していたため通勤時の電車やバスは満員状態になり、乗客にとって大きな負担になっていました。時差出勤により出勤時間をずらせると満員電車に乗らずに済み、通勤時の負担は軽くなります。

これに加え、時差出勤は仕事と私生活の両立にもつながっています。育児や介護を行っている家庭では、朝の時間に余裕があると世話をゆっくり終えてから落ち着いて出社できるためです。

従業員が心身に大きな負担を感じず業務に臨めば、業務の効率化や生産性の向上を期待できます。仕事がスムーズに進むことで残業が減れば人件費の削減にもなり、会社にとってのメリットにもなります。

 

時差出勤のデメリット

時差出勤に関して、もっとも大きいと指摘されるデメリットは勤務時間を把握しにくくなるところです。

時差出勤により出社・退社する時刻の選択幅が広がると、勤務時間は従業員ごとに変わる可能性があります。その場合、会社は各々の従業員が何時から何時まで働いたか個別に把握しなければいけません。

職場によっては、多忙な時間帯には全従業員に出社してもらう必要があるでしょう。会議の時間が決まっている場合にも、遅れて出勤されると困ります。すべての会社や部署が、時差出勤に向いているとは限りません。導入する際には、各職場の事情に配慮した仕組みづくりが欠かせません。

 

 

事前に必要となる準備

時差出勤の導入時、あらかじめ検討したい項目は始業時刻のパターン、勤務パターン、対象となる従業員についてです。

 

始業時刻のパターン

これまで時差出勤を導入していない会社の場合、何時に出勤するか従業員の判断に任せると混乱するかもしれません。

始業時刻に関する法的なルールは定められていませんが、トラブルを避けるには最初のうちは会社側で数パターンを用意したほうが無難です。1~2時間ほどの幅で3パターンくらい設定すると、混乱なく始めやすいといわれています。

すでに時差出勤を導入した経験があるなら、日頃の従業員の出勤時間をふまえ実情に合わせたパターンを作成するとよいでしょう。

 

勤務パターン

勤務パターンの決定には、会社側だけでなく社員側の意見も反映させることが望ましいといえます。

職場により時差出勤に向き不向きがある点を考えると、まずは会社側で勤務パターンを考案するのが適切でしょう。部署や業務内容ごとにパターンを決めれば、仕事への影響は最小限に抑えられると考えられます。

そのうえで従業員のニーズにしたがい都合のよいパターンを選んでもらえば、業務に大きな支障を出すことなく各自の私生活とも両立しやすくなると期待できます。

 

対象となる従業員

時差出勤は、すべての部署・従業員を対象に実施する必要はありません。時差出勤が向かないといわれるケースを数例挙げると、以下の通りです。

◇決まった時間に多忙になる、また会議がある部署
◇来客や電話への対応が欠かせない部署
◇営業回りを担当する従業員
◇勤怠管理や決済を担当する従業員

これらの部署・従業員を除外すると、不公平感が生じるかもしれません。その際には、他部署との業務分担や交代制シフトにより対処する方法が効果的と考えられます。

 

 

導入時の注意点

時差出勤の導入時には、とりわけ勤怠管理や残業代の計算に注意が必要です。労働環境の変化が従業員の体調に影響する恐れもあるため、健康への配慮も怠れません。

 

勤怠管理は個別把握

従業員の労働時間について、法的には1日8時間・1週40時間と定められています。時差出勤を導入した後の勤怠管理では、従業員の出勤時刻に応じた勤務時間の個別把握が不可欠です。

法律に抵触しないためには、多少の手間がかかっても正確に把握する必要があります。従業員が一斉に出社する場合と異なり一律に処理できませんが、基本的に「出勤時刻から8時間が経過するまでは通常勤務」と考えれば大丈夫です。

勤怠管理を誤ると給与計算に影響するので、十分に気をつけて下さい。

 

残業代の計算は慎重に

時間外労働は割増賃金が発生するため、給与計算には慎重さが求められます。

とくに注意したいのは、深夜残業の場合です。午後10時から翌日午前5時までは深夜労働に該当し、時間外労働に深夜労働の割増賃金が加わります。一方、出勤が遅く深夜帯の通常勤務であれば深夜労働割増賃金のみです。

時差出勤での深夜労働は残業であれば割増率50%以上、通常勤務なら25%以上と変わるので給与計算は慎重に進めましょう。

 

従業員の健康に配慮

従業員が時差出勤に慣れないうちは、生活リズムが変わり体調を崩すケースが見られます。体調不良で仕事に専念できず作業効率が落ちれば、会社としても望ましくありません。

会社には安全配慮義務があり、従業員を健康かつ安全に働かせる義務を負っています。生活リズムの乱れにより従業員が健康を害すると、会社は義務違反の責任を問われるかもしれません。何より、大切な従業員には安全に働いてほしいものです。

最初は勤務スタイルを大幅に変更せず、試験的に導入することをおすすめします。

 

 

円滑に運用するためのポイント

時差出勤を円滑に運用するためのポイントは、ITシステムの導入やコミュニケーション不足への対策、また不公平感の解消です。

 

ITシステムの導入

就業規則には、職場の始業時刻と終業時刻を必ず記載しなければいけません。時差出勤を導入した場合、すべてのパターンを記載する必要があります。勤怠管理の手間を減らすため、ITシステムを導入するのがおすすめです。

予算の問題は避けられませんが、最近はクラウドサービスが普及しています。職場のネット環境が整っていれば出費を安く抑えられるので、資金繰りが厳しい場合でも無理なく導入できるでしょう。

 

コミュニケーション不足への対策

時差出勤の導入後には、ひとつの部署内の従業員同士、また他部署や取引先との間でコミュニケーションが不足しやすいと指摘されています。

取引先から緊急連絡が入った時、担当者が時差出勤で出社していないとすぐに対応できない可能性があります。そんな事態を防ぐには、他の従業員と情報を共有しておくことが大切です。

事前の対策としては、できるだけ業務内容をマニュアル化しておき作業を分担しやすくするのが有効と考えられます。

 

不公平感の解消

時差出勤が導入されると、さまざまな形で不公平感を生む恐れがあります。よく見られるケースは、適用された部署と対象外になった部署との間の不公平感です。遅く出勤するか早くから勤務するかで、業務負担が変わる事例も知られます。

業務上の不公平感は従業員同士の対立を招くリスクもあるため、放置できません。問題を解消するには、従業員のシフトを上手に調整するなど業務負担を均等にする努力が求められます。時差出勤の導入時にはいろいろ工夫し、スムーズな運用を心がけて下さい。

 

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