企業としてできる「新型コロナウィルス対策」

更新日:2023.03.06ビジネス豆知識

コロナウィルス感染対策

世界規模で新型コロナウィルスの感染が広がる今、どの企業もさまざまな対策に追われています。ただ、すべての業種で従業員の出社を避けられるわけではありません。職場で誰かが感染してしまった時、どう対応すればよいか悩んでいる経営者の方も少なくないでしょう。そこで今回は国内の現状をふまえつつ、従業員が勤務を続ける場合、および感染などのため休業する場合に、企業が取り組める新型コロナウィルス対策をご紹介します

新型コロナウィルス感染症に関わる現状

現在、国内では新型コロナウィルス感染症の感染拡大が止まらない状況です。政府は、国民に注意を呼びかけるとともに医療関係の対策も進めています。

国内の発生状況

2020年4月10日12時の時点において、国内で確認された新型コロナウィルス感染症の感染者数は5,347例になりました。厚生労働省が公表した内訳の詳細を示すと、患者3,485例、無症状病原体保有者424例、陽性確定者(症状の有無は確認中)1,438例です。国籍が確認できた感染者のうち日本国籍は2,750名、外国籍は48名を数えます。患者と無症状病原体保有者の多くは国内で確認されており、それぞれ3,445例と363例です。チャーター便帰国者と空港検疫で確認されたケースの場合、患者は11例と29例、無症状病原体保有者は4例と57例にとどまります。陽性確定者は国内の事例に限られ、感染者の大半は国内の日本人が占めています。

政府からの注意喚起

国内の深刻な感染状況を受け、政府からは国民に向け感染を阻止するため注意喚起が促されました。国民全体に推奨している感染症対策は、咳エチケットや手洗いの実施と3つの密の回避です。3つの密は換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話・発声する密接場面を意味し、これらが重なれば集団感染のリスクは高まると指摘しています。同時に、不要不急の外出自粛の呼びかけや、外出する際のマスク着用を求めています。

医療関係の対策

医療関係で導入された対策は、「帰国者・接触者相談センター」および「帰国者・接触者外来」の設置です。感染が疑われる時には、「帰国者・接触者相談センター」で相談を受け付けています。目安となる症状は、風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上継続、あるいは強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)があるケースです。

相談の結果、感染した可能性があると判断された場合には「帰国者・接触者外来」が紹介されます。新型コロナウィルス感染症の専門的な診療体制が整えられ、適切かつ確実な受診を望める施設です。さらに厚生労働省では各種の研究費制度を活用し、治療薬やワクチンの早期開発に取り組んでいます。

企業による対策1 従業員が勤務を続ける場合

従業員が勤務を続ける場合、企業による感染症対策としてはテレワーク、時差通勤、労働時間の変更が挙げられます。

テレワーク

自宅でのテレワークができれば出社する必要がなく、人との接触を極力避けられます。感染症対策に高い効果を見込める方法です。在宅勤務になると自宅が仕事場になり、職場に足を運ばなくて済みます。それだけ外出の回数を減らせるため、満員電車や人混みで新型コロナウィルスに感染するリスクを下げられます。

テレワークを導入する際、懸念される問題は時間管理の難しさです。就業環境が普段の職場から大きく変わると、従業員は作業に集中しにくくなる可能性があります。人によっては働き過ぎる恐れもあるため、企業は時間管理に関して配慮を怠れません。厚生労働省は「テレワーク総合ポータルサイト」で関連情報を提供し、テレワーク相談センターや東京テレワーク推進センターを設置しています。テレワーク導入にあたり疑問や不明点があれば、相談してみて下さい。

時差出勤

時差出勤は通勤ラッシュの時間帯を避けられるため、混雑した電車内での濃密な接触を防ぐのに効果的です。政府からは、外出に伴う感染拡大を防ぐため、とくに職種を問わず可能な限りの在宅勤務が要請されています。それでも職場や作業現場でないと仕事にならないケースでは、出社を避けられません。

時差出勤は、大勢の方の出勤時間が重ならず通勤ラッシュの緩和につながります。従業員が混雑する電車やバスに乗らなくて済めば、乗車中の感染リスクを下げる効果が見込めます。出勤時間については、経営側と従業員でよく協議する必要があるでしょう。従業員が勤務時間を任意に決められるフレックスタイム制を導入するなら、厚生労働者の提供する手引きを見ると詳細や手続き方法について調べられます。

時間差での勤務

出社しないと仕事を進められない時、時差出勤とともに導入を検討したい対策が時間差での勤務です。時差出勤により満員電車は避けやすくなりますが、多くの従業員がほぼ同時に出社してくると職場の人口密度は上がります。職場の作業スペースが十分に広くなければ、感染リスクも高まるかもしれません。個々の従業員が時間差で勤務することにより出社時間をずらせば、職場の人口密度を低くできます。普段なら手狭に感じられる職場も、従業員同士が濃厚接触せずに働けるでしょう。

企業による対策2 従業員が休業する場合

従業員が休業する場合、休業手当や休暇制度を活用することが求められます。具体的な措置は、発熱や咳により自主的に休んだか、感染が疑われた、あるいは感染が判明したため会社が休業を指示するかによって異なってきます。

発熱や咳により自主的に休業

発熱や咳が続くため従業員が自主的に仕事を休んだとしても、まだ新型コロナウィルスに感染したかどうか分かりません。この時点では、一般的な病欠と同じく通常の病気休暇制度を活用すれば問題ないと考えられます。企業が心がけたいことは、従業員にとって休みやすい職場環境の提供です。従業員が体調不良を感じても申告しにくい雰囲気であれば、無理に出勤してしまい感染を拡大させる恐れがあります。仕事が忙しく人手が足りないからといって、勤務の無理強いは禁物です。新型コロナウィルスに感染していなくても、従業員が安心して休める職場づくりに努めましょう。

感染が疑われ会社が休業を指示

従業員の感染が疑われ会社が休業させる場合、使用者の自主的な判断と見なされます。このケースは「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するため、休業手当の支払いが必要です。労働基準法第26条によれば、使用者の指示にもとづく休業期間中は平均賃金の6割以上となる休業手当を支払わなければなりません。とはいえ、理由はともかく休業により収入が減少すれば労働者は不安に感じるでしょう。できれば規定通りの6割にこだわらず、企業の就業規則として10割を支払うなど従業員が安心できる体制づくりが望まれます。

感染のため会社が休業を指示

従業員が新型コロナウィルスに感染した場合、都道府県知事が実施する就業制限にしたがい休業させることになると考えられます。使用者の自主的判断でなく「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないため、会社が休業手当を支払う必要はありません。

従業員が被用者保険に加入しているなら、要件を満たせば傷病手当金が支給されます。補償金額は直近12カ月の平均報酬日額の3分の2であり、休業開始から3日後の時点で計算されるシステムです。申請手続きの詳細は、保険の加入先に確認できます。また雇用調整のため休業を求めた場合には休業手当や賃金を助成する雇用調整助成金も用意されているので、有効活用して下さい。

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