渉外業務って何をするの?営業との違いは?

更新日:2024.11.08ビジネス豆知識

渉外業務って何をするの?営業との違いは?

渉外業務(しょうがいぎょうむ)では、顧客や取引先に連絡を入れる場面が多く見られます。そのため、営業職と同一視されているかもしれません。たしかに、営業活動と重複する部分はありますが、厳密には異なる仕事です。この機会に、渉外業務が何をするのか理解を深めておけば、この業務を担当した時などに役立つでしょう。そこで今回は、渉外業務の概要を解説し、具体的な仕事内容・営業との違いや渉外担当者に必要なスキルをご紹介します

渉外業務とは

渉外業務とは

渉外業務の内容を簡潔に説明すれば、社外と連絡を取りながら、さまざまな交渉・提案やPR活動を進めていく職種です。

渉外とは

「渉外」は本来的に、「外部と連絡を取り、交渉する行為」を指した言葉です。具体的に連絡する対象は、国内から海外まで、幅広い国・地域の人々や組織に及びます。また、実際の活動内容には、折衝や駆け引きをはじめ相手と交渉する行為が全般的に含まれます。

ビジネスの場でも、基本的な意味合いは同じです。担当者は、各地の顧客や取引先に連絡を入れ、仕事関係の交渉を進めます。具体例としては、顧客ニーズの確認や要望に沿った商品・サービスの提案・PRが挙げられます。このように渉外は、外部への連絡および相手との交渉をメインに取り扱うところが大きな特徴です。

渉外業務の目的

渉外業務の主な目的は、各種の交渉を通して商品・サービスを提案し、収益の増進につなげることです。同業務の担当者は、社外と連絡を取るなかで、顧客や取引先との関係構築・新規顧客の獲得や既存顧客の確保・維持を目指します。同時に、顧客ニーズや取引市場の需要を把握し、円滑に交渉を進めるうえで必要となる情報を収集します。

また、商品・サービスの提案による収益増進とともに、企業イメージの向上も重要な業務目標です。顧客ニーズや市場の需要に応える製品をアピールし、企業の信頼獲得やイメージアップに努めます。これらが主目的となるため、渉外業務は「顧客・取引先と企業のいずれにも利益をもたらす仕事」と見なされています。

渉外業務の仕事内容

渉外業務の仕事内容

渉外業務には商品・サービスの提案やPRが含まれ、営業や広報と重なる部分もありますが、実際の仕事内容は多彩です。具体的な活動の場としては、金融業界や百貨店が挙げられます。

金融業界

金融業界は、多くの職場に渉外部が設置される代表的な業種です。渉外業務の担当者は、顧客に証券を含めた金融商品を紹介し、資産運用をサポートしながら営業活動を展開します。顧客が金融知識に乏しい場合、どのようなメリットがあるかを案内し、商品の購入につなげます。

百貨店

百貨店も、渉外部を設けるケースが多い業界の一つです。百貨店における渉外担当の仕事は、営業部より販売部の業務に近いといわれています。担当者が連絡する相手は、お得意様がメインです。自分で常連客のもとに出向いた時や相手が来店した際、商品・サービスを提案・紹介します。また、接客対象は富裕層が多いといわれ、外商顧客と呼ばれる場合もあります。

代理店向けの営業

代理店向けの営業は、販売元の渉外部が販売代理店と交渉する仕事です。主な代理店としては、保険関係や携帯電話・中古車を取り扱う販売会社が知られています。販売元の渉外担当は、商品・サービスの販売を代理店と交渉し、代理店渉外と呼ばれるケースが一般的です。代理店は事業展開している地域が広く、販売元が顧客を拡大するのに役立ちます。それに対し、販売元は自社製品の売り方を熟知しており、渉外担当は両者を結びつける仲介役を果たします。

提案中心型

提案中心型の渉外担当は、顧客に向けた商品・サービスの案内が中心業務です。この業務スタイルは、企業が渉外部と営業部の両方を併設しているケースで多く見られます。そのうち、営業部は売上ノルマが設定し、渉外部は顧客訪問数の目標達成を目指します。昨今の商品・サービスは以前より複雑なものが増え、顧客に提案する際、丁寧な説明が欠かせなくなってきました。このような状況のなか、渉外担当が自社製品を提案して営業職の売上につなげる方法は、販売促進に効果があると見られています。

アフターサービス

顧客に対するアフターサービスも、渉外部が担当する仕事内容の一例です。このケースは、営業部が販売業務を担当する場合に見られる業務スタイルといわれています。企業が新規顧客を獲得した時、継続的に購入してもらうには、営業活動だけでなく購入者のフォローも必要になるでしょう。その際、販売業務は営業部・アフターサービスは渉外部の担当と役割分担すれば、顧客をフォローする体制は強化できると理解されています。

以上のように、渉外部の業務範囲は業界や企業によって異なる場合があり、担当者の仕事内容は多岐にわたります。

営業との違い

営業との違い

渉外業務と営業職の主な違いは、それぞれの部署・担当者が重視する業務目的の差異です。営業職は売上の増加を目指すのに対し、渉外担当は、顧客との関係構築に重点を置く傾向があります。

営業職の業務内容

営業職の仕事は、顧客・取引先への電話や直接訪問で販売を促進する業務が中心的です。契約関係の見積書を作成し、営業先に向けてプレゼンを行い、自社製品を購入した時のメリットについて説明するといった活動を進めます。既存顧客・得意先に対する年末年始の挨拶や接待も、営業職の大切な業務に挙げられるでしょう。

また、企業・職場によっては、顧客のフォローやクレーム対応まで担当するケースもあります。企業の営業部は多くの場合、ノルマとして売上目標を定めています。売上目標の達成は一般的に容易でなく、大半の従業員は厳しいノルマに追われ、顧客へのフォローが不十分になりがちです。

渉外担当の業務内容

一方、渉外担当の業務は、顧客に向けた自社製品の提案やアフターサービスが中心になります。営業職と比べた場合、売上アップより顧客・取引先との関係構築を重んじるところが特徴的です。このように、営業職は短期間での収益増を重視し、渉外担当は長期的な顧客の確保で売上に貢献するといった違いが見られます。

渉外担当者に必要なスキル

渉外担当者に必要なスキル

ビジネスの場で、渉外担当者に必要とされる業務スキルは、優れたコミュニケーション能力などです。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、渉外担当者に求められる大切な業務スキルです。顧客・取引先に商品・サービスを提案する時は、相手の興味・関心を引くため、どのようなニーズがあるか把握する必要があるでしょう。相手のニーズを聞き出すうえではヒアリング能力、自社製品のPRでは簡潔に説明する伝達力が重要になります。また、相手から信頼を得るには、時間を厳守して不明点は分からないと伝える誠実な対応も不可欠と考えられます。

状況への適応力

さまざまな状況への適応力は、渉外担当が業務を円滑に進めるうえで必須です。渉外部の業務内容は、広範囲に及びます。仕事によっては、作業の途中で事業方針が変わるかもしれません。担当者の適応力が低いと、企業の方針に沿って業務を進めにくくなるため、状況に合わせ臨機応変に対応するスキルは必要になります。

課題解決のスキル

顧客・取引先の課題を解決するスキルも、渉外担当に欠かせない能力の一つです。渉外業務の担当者は、顧客・取引先の悩みや問題を理解し、適切な解決策を示す必要があるといわれています。自社製品について十分な知識があれば、各種の悩み・問題を解決に導きやすくなるでしょう。さまざまな課題の早期解決も、企業の信頼獲得やイメージ向上に役立つため、渉外部では重視されています。また、顧客・取引先の興味・関心を高めるには、自社製品の特徴や導入事例を詳しく紹介するスキルも大事になると考えられます。

以上のように渉外業務は、ビジネスの場で幅広い能力・スキルを求められる職種です。そのため、多くの業務経験を積めば、営業職への転属・管理職への昇進・専門性の高い部署への異動など各種のキャリアアップにつながる可能性があります

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