生産性を保つ週4勤務は可能?効率重視の働き方
更新日:2023.04.13ビジネス豆知識平日を営業日とする週5日勤務の会社が多く見られます。現在主流の週5日勤務より少ない勤務日数でも、生産性を落とさずに働くことはできるのでしょうか。今回は、週4日勤務を実際に行った会社の例や週4日勤務のメリット・デメリットなどをご紹介します。
目次
長時間労働を問題視される日本のビジネスシーン
現在、日本では長時間労働が常態化しているのが問題視されています。「ブラック企業」や「働き方改革」などがニュースに取り上げられると、真剣に見てしまうという方も多いのではないでしょうか。
日本と対照的なのがドイツです。2017年の調査によると、日本人の年間労働時間は1710時間だったのに対し、ドイツ人の労働時間は1356時間という結果が出ました。ドイツには労働者を長時間働かせない法律がしっかりと定められており、雇用する側が規則を守らなければ厳しい罰を受けることになります。日本では難しい2週間以上の長期休暇も、ドイツの企業であれば取得できるようです。
週4日勤務のメリット
週4日勤務導入の目的はさまざまですが、もっとも重視されるのは従業員のワークライフバランス向上ではないでしょうか。長時間労働で利益を上げていた時代は終わりを迎えつつあり、昨今は従業員のクオリティーオブライフを意識した働き方を目指す会社が増えてきています。週4日勤務であればこれまでよりも余暇の時間が増え、プライベートの時間をさらに充実させられます。
会社側のメリットももちろんあります。ひとつはオフィスの光熱費です。1カ月の光熱費が4日~5日分は少なくなるため、経費を削減できます。特に規模の大きなオフィスでは、その効果が顕著になるでしょう。
また、仕事の比重が大きくなりがちなことに悩む方が多い中、週4日勤務を採用している会社は魅力的に写ります。新卒での就職活動や転職活動を行っている方への貴重なアピールポイントにもなるでしょう。これからますます人手不足が懸念される日本で、週4日勤務を導入するのは、人材を充実させる戦略としても効果的かもしれません。
週4日勤務のデメリット
週4日勤務のデメリットとしてもっとも問題視されるのは、会社が得られる利益の減少です。業務にあてる時間が少なくなると、単純に売り上げ自体も少なくなります。現状の業務を維持できなくなってしまうでしょう。従業員にとっては、給与が減る可能性もあります。
また、忘れがちなのが有給休暇です。会社から与えられる有給休暇の最低限の日数は、週に何時間働いているかにも左右されます。週4日勤務になって勤務時間が減った場合、有給休暇の付与日数も減ってしまうかもしれません。
ほかにも注意したいのが、残業や休日出勤が増える可能性です。単純に会社に出てくる日数が減っただけで業務内容が変わらない場合、残業や休日出勤をすることで仕事を終わらせなければならない従業員が増えるかもしれません。従業員のワークライフバランスを意識しての週4日勤務の導入であれば、こういった事態が起こるのは本末転倒といえます。
週4日勤務の実例
2018年、ニュージーランドにて週4日勤務の実証実験が行われました。対象となったのは「Perpetual Guardiant」という信託会社です。従業員数は240名で、まずは8週間だけ試しに週4日勤務を実施しました。
8週間のお試し期間を終えたあとの調査では、従業員たちのモチベーションが上がり、ストレスが減少。ワークライフバランスについて満足しているという従業員が増えたそうです。そして、何といっても会社の生産性は、週5日の時と変わっていませんでした。この結果を受け、「Perpetual Guardiant」はこの先も週4日勤務を続けていくことになったそうです。従業員たちは、どういった工夫を行って生産性を維持したのでしょうか。
小さな時間短縮の積み重ね
従業員たちは、ひとつの仕事時間を大幅に削るのではなく、無駄な時間を少しずつ減らすことで週3日の余暇をつくりあげました。
例えば、ミーティングの時間です。これまで2時間かかっていたミーティングは、余計な議題を扱わず30分に短縮されました。
また、従業員それぞれが無駄に暇つぶしを行う時間をなくし、一つひとつの仕事に集中して取り組む意識が生まれました。ネットサーフィンや仕事と関係ない私語の時間は削られ、効率的に作業が進められるようになりました。特に集中して仕事したい時はデスクに目印をつけ、ほかの従業員に作業を中断されない仕組みをつくったのも効果的だったようです。
勤務日数を減らすためにできることは
効率の良い働き方を意識することで、生産性を損なわずに勤務日数を減らすことも可能です。ここからは、生産性を高める工夫やポイントなどをご紹介します。
従業員それぞれの現在の生産性を把握する
積極的に週4日制度を導入しようとする経営陣の意志はもちろん、従業員一人ひとりの意識改革も大切です。それぞれが効率よく仕事を進めようとしなければ、生産性を維持したまま勤務日数を減らすことはできないでしょう。週4日制導入を検討する際、まずは現状の生産性を数値として把握する作業が大切です。
従業員それぞれが、どのように仕事を行っているか見つめなおし、かかっている時間や生み出している実績を確認しましょう。そのうえで切り詰められるところを探して時間短縮を行えば、一人ひとりの労働時間を減らしていけるはずです。
費用対効果の低い仕事にはNOという勇気を
冒頭でご紹介したように、ドイツの労働時間は日本よりも大幅に短いのが特徴です。ただ、労働時間が少ないにもかかわらず、生産性はドイツのほうが優れています。効率を重視しているのはもちろんのこと、ドイツでは費用対効果の少ない仕事は断るのが当たり前となっているためです。
案件に割く時間や人件費に利益が見合わなければ、仕事を断るのは当たり前ととられるかもしれません。ただ、日本の風土では、せっかく来た仕事を断るのはためらわれるのも事実です。ドイツでは費用対効果が少ないという理由で仕事を断られてもあっさりと納得します。こうした文化の違いは、すぐには超えられる壁といえないでしょう。ただ、仕事の生産性を高めるためには、費用対効果の低い案件にはNOを突きつける勇気も持たなければいけません。
通勤時間の削減
長時間かけての通勤は労働者の意欲を損ない、貴重なプライベートの時間を減らします。テレワークが可能な業種であれば、ぜひ自宅で働ける仕組みを整え、通勤時間を削減しましょう。通勤で使っていた労力を、そのまま仕事へ活かすことができます。
もちろん、テレワークは毎日でなくともかまいません。部署ごとに違う曜日でテレワークをする、従業員どうしが交代でテレワークをするなど、ローテーションにしても良いでしょう。オフィスに誰もいなくなって電話対応ができないことを懸念している場合は、電話代行のようなサービスを外注するのもおすすめです。
メリットが多いものの課題も多い週4日勤務
現状、日本で週4日勤務を導入している会社はほとんどありません。特に、週5日働いている方と同じ生産性を維持し、給与をもらいながらの勤務は困難でしょう。ただ、ニュージーランドでの成功例があるように、生産性を落とさず週4日勤務を採用するのは不可能ではありません。
いきなり週休4日を導入するのは無理な場合、まずは残業や休日出勤などを減らすことから取り組みはじめていくのが大切です。会社全体で意識を高め、効率の良い働き方を促進していきましょう。
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