法的責任を守ることも秘書代行業者の務め
更新日:2022.05.09秘書代行秘書代行業者などを特定事業者と位置づけ、取引顧客に対してさまざまな事項の確認を義務付ける「犯罪収益移転防止法」。犯罪組織のマネー・ロンダリングや、テロ組織の資金獲得を防ぐためにも、同法がしっかり運用されなければなりません。今回は、犯罪収益移転防止法の概要を説明するとともに、秘書代行業者に課せられた義務と役割について述べます。
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法律を守った運用を行っております
犯罪収益移転防止法とは?
犯罪収益移転防止法とは、組織犯罪による被害の連鎖が拡大しないことを防ぐための法律です。正規業者が、業務提携を希望する相手の実態についてよく知らないまま取引を行えば、その収益が組織犯罪に利用される可能性は避けられず、健全な経済活動の阻害ともなり得ます。同法は、犯罪による収益の移転を防止し、国民生活の安定と健全な経済環境を維持することを目的に制定されました。
この法律が制定された背景には、テロ組織活動の活発化、およびマネー・ロンダリングなどの犯罪多発が世界規模で巻き起こり、それによって企業の経済活動が大きく脅かされる様になった現実があります。
マネー・ロンダリングとは、違法に集めた資金を隠蔽・偽装するための処理のことです。例えば、犯罪行為によって得た資金を正当な取引に見せかけるための工作や、口座の起源が分からない様にした不動産取引、その資金を宝石などに変えて起源を消す行為などが該当します。
テロ活動やマネー・ロンダリングなどの悪質犯罪を食い止めるためにも、犯罪収益移転防止法が正しく機能しなければなりません。同法の対象となる「特定事業者」は、下記の通りです。
- 金融機関
- ファイナンスリース業者
- クレジットカード業者
- 宅地建物取引業者
- 宝石・貴金属などの取引業者
- 郵便物受取サービス業者
- 電話受付代行業者
- 電話転送サービス事業者
これらの事業者は、犯罪収益移転防止法に基づき、顧客に対して本人確認、疑わしい取引を監督行政庁に届け出ることが義務付けられています。
秘書代行業者に課せられた義務
秘書代行業者は、上記でご紹介した特定事業者のうち、「電話受付代行業者」「電話転送サービス事業者」に含まれます。健全な事業活動を行っている企業様の収益が、反社会的勢力の資金源にならないためにも、秘書代行業者ではご理解を頂いたうえで以下の事項の確認を行っております。
本人確認
本人確認の方法は、個人事業者と法人とで異なります。個人の場合は、運転免許証や健康保険証など、本人確認ができる書類が一点あれば大丈夫です。法人の場合、代表者様や契約担当者様の本人確認書類の他、登記事項証明書や印鑑登録証明書などが必要です。
取引目的や、事業内容の確認
取引を行う目的、および貴社の事業内容の確認が必須です。取引を行う目的は、例えば「人件費節約のため」「新規事業の拠点開設のため」「オフィス不在時の連絡先として使用するため」など、取引において具体的に何をなしたいのかを明確にしていただく必要があります。また、「卸売・小売業」「運輸業」「サービス業」「金融業」という様に、事業内容の確認も行わせていただきます。
法人の実質的支配者がいる場合の本人特定事項の確認
法人の実質的支配者とは、「法人の議決権25%超を直接または間接に有する者全員」です。この規定に該当する場合は、その方々の本人特定事項の申告を受けなければなりません。
総務省が示す、疑わしい取引の事例とは?
秘書代行業者が顧客などと取引関係を結ぶ場合、本人確認や取引目的の確認の他、「疑わしい取引に該当する可能性のある取引の届け出」も義務となります。総務省では、その判断基準として以下の事例を挙げています。
- サービスをマネー・ロンダリングで行う目的が、契約事務の段階で疑われるケース
- 顧客の実態が明確でなく、それについてただしても説明や資料提出を拒まれたケース
- ペーパーカンパニーであることが契約事務の段階でうかがわれるケース
- 架空名義を使用しているケース
- 契約事務の段階で、取引の秘密を迫る様なケース
- 契約事務の段階で、暴力団関係者と関係ある団体であることが明白なケース
- 契約事務の段階で、不自然な態度、言行が見られるケース
- 外部から同法違反の可能性があるとして情報がもたらされるケース
以上が、総務省が示す疑わしい取引と思われる基準ですが、この事例以外にも、疑わしいと思われる取引を確認した場合は、総務省に届け出ることになっています。
秘書代行業者の社会的使命と役割
犯罪収益移転防止法が制定された当初は、同法の対象となる特定事業者は金融機関に限定されていましたが、法改正にともない業者範囲が拡大され、秘書代行業者もその対象に数えられることになりました。秘書代行業者やコールセンター業者は、総務省監督の下、顧客などと取引を行う際は事業者確認、法人実態の確認をしっかり行い、疑わしい状況が認められる場合は速やかに報告しなければなりません。
仮に、反社会勢力と取引関係を結んでしまった場合、たとえ悪意ある取引でなかったとしても、法的責任は免れません。それは、健全な事業活動を展開されている正規の業者様に対しても迷惑をかける行為となるため、法律内容を熟知したうえで営業活動を行うことが事業者や担当者に求められます。
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