ACD導入でオペレーターの離職防止対策をしよう
更新日:2023.10.23電話代行ACDは、「Automatic Call Distribution(着信呼自動分配装置)」の略称です。1973年に開発され、当初は航空会社でオペレーターの負担軽減を目的に導入されたといわれています。現在も、企業やコールセンターで活用する例は少なくありません。新規の導入でオペレーターの業務負担が減れば、ストレスによる離職の防止に役立つでしょう。そこで今回は、ACDの基本機能や導入時のメリット・注意点をご紹介します。
目次
ACDを代表する基本機能
ACDは、電話の着信があると自動でオペレーターへ分配する機能などを有するシステムです。1973年に開発されて以来、多くのコールセンターで導入されています。以下では、ACDを代表する基本機能についてご紹介します。
2つの基本機能
ACDの基本機能は、大きく分けると電話の着信を自動的に分配する機能とガイダンスを流す機能の2種類です。着信を自動分配する機能は、オペレーターの業務状況やスキルレベルに合わせコールを均等に割り当てる仕組みです。ガイダンス機能は、着信時の状況に応じて発信者に案内を伝えるシステムを指します。それぞれの機能を適用する条件や状況は、ACDの利用者のニーズに合わせ事前に設定できます。
基本的な分配機能
ACDの基本的な分配機能は、オペレーターの業務状況に合わせ着信を自動分配することが特徴です。この仕組みは、「オペレーターステータス」とも呼ばれています。オペレーターが着信を受けた際、各人の通話時間が同じになるとは限りません。通話が早く終わると、次の着信があるまで手が空きます。
一方、通話が長引いた場合、別の着信があっても即座には受けられないでしょう。ACDは、オペレーターの忙しさや待機時間の長さをふまえてバランスよく着信を分配できます。この機能を活用すれば、通話中に次の着信が割り当てられる、あるいは通話時間の短いオペレーターに業務が集中する事態を避けられます。また、オペレーターのスキルレベルに合わせた着信の自動分配も、ACDの代表的な基本機能です。
通常、各オペレーターのスキルは均一ではありませんが、ACDは、それぞれのレベルに応じて着信を割り当てられます。各々のスキルにもとづく自動分配は、「スキルベースルーティング」とも呼ばれる仕組みです。他には、顧客の優先度を設定する機能もあり、同機能を活用すると着信が殺到した時に優先度の高い顧客から電話対応を開始できます。
主なガイダンス機能
ACDの主なガイダンス機能は、待ち時間ガイダンスと時間外ガイダンス(スケジュール制御)の2つです。待ち時間ガイダンスは、着信が殺到した時、電話対応が混雑している旨を案内する機能です。すべてのオペレーターが着信を受けられない場合、「ただいま、お電話が大変に混み合っています」などの案内を流せます。
時間外ガイダンスは、企業やコールセンターの受付時間が終了した旨を説明する機能です。業務時間外に着信があった場合、受付の終了を伝えるとともに「改めてお電話ください」と案内できます。ACDを活用すれば、速やかに電話対応できない時も、発信者に不快感を与えず待ってもらいやすくなるでしょう。あるいは電話をかけ直してもらいやすくなるといえます。
ACD導入がもたらすメリット
ACD導入がもたらす大きなメリットは、オペレーターの負担を軽減できるところなどです。また、顧客満足度の向上も期待できます。以下では、ACDの導入で見込まれる主なメリットをご紹介します。
オペレーターの負担軽減
ACD導入によるオペレーターの負担軽減は、離職防止にもつながると期待されます。企業やコールセンターの電話対応は、いたずら電話やクレームの処理などもあり、ストレスが大きいと指摘されています。オペレーターは、重い業務負担から離職するケースが目立ちます。
ACDは、オペレーターの忙しさにより着信を均等に分配できるため、一部の従業員に業務が集中する事態を避けられます。スキルにもとづく着信配分を条件設定しておくと、経験の浅い従業員は難しい用件を担当せずに済み、負担の軽減に効果的です。オペレーターの業務負担が軽くなれば、ストレスによる離職は防ぎやすくなると考えられます。
業務の効率化
ACDにより着信が自動的に均等配分された場合、オペレーターの手が空く時間は減ると考えられます。全員の待機時間が少なくなれば人手が余る無駄は省かれ、電話対応を効率的に進めやすくなるでしょう。業務の効率化により着信対応の件数が増えた場合、コールセンターの生産性は向上したと判断できます。
また、顧客の声を聞く機会が多くなり幅広い顧客ニーズを把握できれば、企業にとっても大きなメリットです。幅広い顧客ニーズの把握は業務改善や商品開発に活かせるため、ACD導入は企業の生産性向上にも貢献できると考えられます。
顧客満足度の向上
ACDによる着信の自動分配で電話がつながりやすくなると、顧客満足度の向上にも効果的です。すべての着信がACDの機能で効率よく分配された場合、発信者の待ち時間は短くなると考えられます。いつでもスムーズに電話がつながれば、顧客から喜ばれる可能性は高まります。
オペレーターのスキルに合わせた着信分配は、通話を円滑化するのに有効です。難しい用件をACDがベテランのオペレーターに割り振ると、顧客との会話を滞りなく進めやすくなります。発信者にとって待ち時間の短縮やスムーズな通話は有益であり、顧客満足度の向上を見込めるところもACDのメリットに挙げられます。
ACD導入に伴う注意点
ACDを導入する時は、既存システムとの連携について注意が必要です。また、システム運用の担当者も、適切に選ぶ姿勢が求められます。以下では、ACD導入に際し、具体的に何を注意する必要があるかをご紹介します。
既存システムとの連携状況
ACDの導入時には、既存システムと問題なく連携できるかどうかのチェックが不可欠です。多くの企業やコールセンターでは、電話対応を速やかに進めるため、さまざまなシステムを活用しています。既存システムとACDとの連携に支障がなければ、ACDの機能は大きな効果を発揮すると期待できます。
ただし、ACDは、あらゆる既存システムと上手に連携を取れるとは限りません。相性の悪いシステムと組み合わされた場合、ACDの機能は期待される効果を発揮しにくくなる可能性があります。そのため、すでに電話対応で使用しているシステムがある場合、ACDとの連携の可否や相性についての事前確認が欠かせません。
システム運用の担当者の選び方
ACDのシステムを効果的に運用するには、適切なスキルがある人員を担当者に選ぶ必要もあります。ACDは、無条件で有効に活用できるシステムではありません。的確に条件設定しておかないと、オペレーターの業務状況やスキルに合わせた着信の自動分配は難しくなります。適切にACDを運用するためには、着信を分配する時の条件を上手に設定するスキルが必須です。
また、オペレーターの業務レベルが向上した場合、状況の変化に応じて条件設定を更新する柔軟性も求められます。そのため、ACDのシステムを運用する担当者には、以上のスキルや柔軟性がある人員を選ぶことが大切です。なお、ACDの機能は、PBXで提供されるケースが多く見られます。PBXは、外線・内線を接続・管理する電話交換機です。
現在は、企業で導入するほか、クラウド型のシステムを利用する場合もあります。ACD機能を備えたPBXやクラウド型システムは、料金設定が一律ではないため、予算や既存システムとの相性を考慮しながら導入することをおすすめします。
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