税理士秘書の仕事内容・スキル・適性について

更新日:2023.03.15スタッフブログ

電卓を持つ税理士秘書

開業税理士の中には、業務効率化を目的に個人秘書をつける人が少なくありません。秘書といえば、一般企業の経営者や政治家がつけるイメージを持たれるかもしれません。そもそも税理士専属の秘書とは、どの様な仕事を任されるのでしょうか。今回は、税理士秘書の仕事内容や適正に加え、就職活動時に有利になる資格をいくつかご紹介します

税理士秘書とは?

税理士秘書とは、税理士法人で秘書業務に従事する人のことです。所属法人の所長や役員に付き、上司の仕事を補佐します。一般的に秘書は、複数人でサポート業務を担う「グループ秘書」と、上司一人に専属でつく「個人秘書」の2種類があります。前者は一般企業に多く見られ、後者は税理士法人をはじめとする法律事務所、また外資系企業で採用されるスタイルです。本記事では、個人秘書を例に挙げて税理士秘書の仕事内容や、適正などを掘り下げます。

主な仕事内容について

税理士秘書の仕事内容は、一般企業の秘書業務とほぼ同様です。

□所長のスケジュール管理
□電話対応や文章作成
□来客やクライアント訪問のアポイント調整
□来客対応
□精算処理
□所長の出張準備および各種手配
□会議や会食への同行
□お礼の手紙やお中元、お歳暮などの手配
□雑務全般

この様に、税理士秘書の仕事は多岐にわたります。いくつかピックアップしてお話しましょう。

所長のスケジュール管理

税理士秘書の一日は、所長のスケジュール管理から始まります。社内外の担当者と密にやりとりし、会議や会食の日程を調整。あわせて会議室の予約、レストランの予約、ドライバーとの連絡も含めた移動車の手配を行います。場合によっては、会議に同席することもあります。

電話応対や文章作成

電話対応や文章作成などの業務も、税理士秘書の仕事です。文章作成については、パソコンで会議資料などを作成します。これは税務に関する詳しい知識がなくても対応可能です。ただし、数字を扱う書類が多いため、会計処理に精通しているのが前提となります。

所長の出張準備および各種手配

所長が遠方に出張する際、航空券の手配やホテルの予約、行動日程表の作成を行います。また出張先の情報を調べたり、それを資料にまとめたりするのも税理士秘書の仕事です。出張に同行することもありますが、機会はそう多くありません。所長が不在の間は、社内業務に従事するのが一般的です。

雑務全般

オフィス清掃やデスク整理、お中元やお歳暮の手配など、さまざまな雑務・庶務をこなします。とりわけお中元などは、送り先一人ひとりの好みを把握したうえで手配しなければなりません。所長の交際業に関わるため、常時関係者の情報を頭に入れておく必要があります。

税理士秘書に向いている人の特徴

ここでは、税理士秘書に向いている人の性格や適正をご紹介します。

1.几帳面な性格の人

「正確性」が求められる税理士秘書には、几帳面な性格の人が好まれます。なぜなら、税理士秘書は業務量が多い一方で、ひとつのミスも許されない職業だからです。もしスケジュール管理にミスなどあれば、所長の仕事に大きく響きます。場合によっては、所属法人に致命的な損害を与えかねません。どれだけ多忙であっても、正確にスケジュール管理や資料管理をできる人でなければ、税理士秘書は務まらないのです。

2.イレギュラーな事態に柔軟な対応ができる人

会議のリスケジュールや交通機関の運行停止など、スケジュール通りにいかないことは日常茶飯事です。その際に慌てず、臨機応変に対応できる人ほど税理士秘書に適しています。

3.献身的で立場をわきまえている人

税理士秘書は、あくまでも所長のサポート役に過ぎません。幹部クラスの重役と会話をしたり、重要な会議に同席したりする機会もありますが、でしゃばった真似をする人は秘書失格です。そもそも秘書には、所長の業務に口を挟む権利がありません。自身の立場をわきまえたうえで、どの様な状況においてもサポート役に徹する“献身的な人”は、税理士秘書に適しているでしょう。

4.気が利く人

表情や言葉尻から察知し、所長が望むことを事前準備できる人には、税理士秘書の適正があります。これはつまり、“気が利く人”のことです。指示された業務を従順にこなすことは、もちろん大切です。しかし、税理士秘書をはじめとする個人秘書は、上司との関係性が重視されます。どれだけ仕事ができたとしても、コミュニケーションに難があったり、あまりに気が利かなかったりする人は、好まれないでしょう。

税理士秘書に向いていない人の特徴

税理士秘書に向いていない人の特徴をご紹介します。もし心当たりがあるならば、可能な限り改善を心がけましょう。

1.接遇マナーが身についていない人

税理士秘書は“所長の右腕”であり、所属法人のイメージを左右する存在でもあります。なぜなら、業務上対外的な付き合いが欠かせないためです。もし正しい接遇マナーが身についていなければ、「なぜこの様な秘書を雇ったのか?」「常識を知らないのか?」というイメージを所長の周囲、また関係者達に与えかねません。身だしなみや立ち振る舞いなど、最低限の接遇マナーは身につけておきたいところです。

2.コンプライアンスを守れない人

税理士秘書は、業務上さまざまな機密情報に触れます。それを所属税理士や、社外の人間に漏らすと「情報漏えい」という名のコンプライアンス違反になります。「これくらいなら大丈夫」という甘い考えが、所属法人の信用を失墜させる恐れがあります。税理士秘書を問わず、秘書業務に従事する人は口が堅くあるべきです。

3.忍耐力がない人

一見華やかに見える税理士秘書ですが、忍耐力がなければ続きません。ただでさえ業務範囲が広いほか、精神的ストレスを感じるシーンも多くなります。例えば、多忙な所長に八つ当たりされたり、所長と第三者の間で板挟みになったりすることがあります。忍耐力なくして秘書業務は務まらないため、「すぐ感情的に反論する」「気分が顔に出てしまう」様な人には、向いていないのは確かです。

税理士秘書には資格が必要?

税理士秘書になるには、特別な資格は必要ありません。一方で、取得していると就職活動において有利になる資格はあります。代表的なのが「秘書検定」です。秘書検定とは、一般企業の経営者や役員の個人秘書として働くために必要な知識、および技能を問う試験のことです。その区分は1級、準1級、2級、3級の4種類となっており、もっとも難易度が高いのは1級です。

実際に税理士秘書として働く人のプロフィールを見ると、多くが2級から準1級を取得しています。2級でも税理士秘書で働くには十分ですが、可能であれば準1級を目指しましょう。

また近年は、「日商簿記検定2級以上」を応募条件にする求人が増えています。資格さえあれば未経験者でも採用する傾向にあるため、そういった意味では「日商簿記検定2級以上」が必須資格と考えて良いでしょう。実業務を経て、秘書としての能力は着実に養われます。もし「日商簿記検定2級以上」がなければ、秘書検定よりも優先して取得したいところです。

まとめ

「女性が憧れる職業」に名を連ねる秘書ですが、見た目以上にハードワークな職業です。それは税理士秘書も例に漏れず、ひとつのミスが上司、ひいては所属法人全体に影響を与えます。人を選ぶ職業であるものの、その分だけ仕事のやりがいが大きいのは確かです。また、資格さえあれば、未経験でも採用する税理士法人は少なくありません。挑戦のハードルは低いため、これを機に転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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