もしもし検定過去問 2級技能第八問「はなし言葉」
更新日:2022.04.27スタッフブログ「もしもし検定の過去問を電話代行サービス(株)のオペレーターが解説」のコラムです。
今月は真冬企画「帰ってきたこの難問が解けるか!?」と題しまして、日頃は3・4級の問題を出すところを、上位級である1・2級の問題を紹介し、皆様をさらなる高みへ導こうと考えています。
今回は真夏企画でも最後に紹介させて頂いた「記述問題」取り上げさせて頂きます。変則的な紹介となりますが、ご了承頂ければと思います。
▼もしもし検定 二級技能問題8
設問
電話応対では、「書きことば」ではなく「はなし言葉」を使いたいものです。以下の文の下線を「はなし言葉」に直して、全文を書きなさい。
- 貴殿のご勤務先はどちらですか。
- 今回は当社の都合によりまして、ご辞退させて頂きます。
- ご多用とは存じますが、ぜひとも万障お繰り合わせのうえ、ご参加ください。
- 過日は結構なお中元の品をお送りいただき、厚く御礼申し上げます。
- 代金は同封振込用紙をご使用の上、ご送金くださいますようお願い申し上げます。
電話応対技能検定専門委員会(編)(2013年)
『電話応対技能検定(もしもし検定)2/1級過去問題集』(公益財団法人日本電信電話ユーザー協会)
電話代行のオペレーターによる徹底解説
今回は詳しいアプローチについては省かせて頂きます。
この問題としては、「書きことば」つまり、小説や報告書、書物などに書いて使う言葉、それと「はなし言葉」の違いについて問われています。一般的に話している時に使用することばとが異なるからです。つまり、「書きことば」を理解しており、それを電話応対で必要な「はなし言葉」へと落とし込めるだけの力量があるか。それを見極める問題と言えます。
1.「貴殿のご勤務先はどちらですか。」の回答例
回答例:お客様のお勤め先はどちらですか。
解説:「貴殿」というのは、「お客様」や「あなた様」などに変えられ、時には「○○様」というふうに相手側の名前で応対することができます。
2.「今回は当社の都合によりまして、ご辞退させて頂きます。」の回答例
回答例:今回は私どもの都合で、見送らさせて頂きます。
解説:「当社の都合」が書きことばとなっており、その部分の変更とありますが「都合」という部分はそのままでも問題ないと判断できます(「判断」などで代用ができるかもしれません)。「当社」というのは他に「私共の会社」などでも良いかもしれません。「辞退」というのは、前後の文によって形が変わる可能性があります。打ち合わせなどの場合には「見送らせて」です。他にも「見送る」「辞める」「遠慮」などにも変えることができるはずです。
3.「ご多用とは存じますが、ぜひとも万障お繰り合わせのうえ、ご参加ください。」の回答例
回答例:お忙しいとは思いますが、ぜひ都合をつけていらしてください。
解説:「ご多用」とは「忙しい」「用事が多い」などになります。この問題一番の難問は「万障お繰り合わせ」です。あまり聞き慣れない言葉です。しかし、日本語というのは言葉を分解して推測ができます。「万障」とは「障害」が「万」のようにあるということで「さまざまな不都合」と言う意味です。
「繰り合わせ」というのは、様々な組み合わせが想像できることから「うまく都合を付けて」という意味です。つまり、「万障お繰り合わせ」とは「いろいろな不都合があると思いますが、なんとか都合を付けて」となります。はなし言葉で「都合」「不都合」が度々出ては混乱してしまうので「都合を付けて」としています。
しかし、「万障お繰り合わせ」には奥ゆかしい思いがあります。そのため、「ぜひともご都合をおつけになって、お越しください」と後半部分も変更して、言葉が持っている奥ゆかしさを表すとさらに好印象は与えられるはずです。
4.「過日は結構なお中元の品をお送りいただき、厚く御礼申し上げます。」の回答例
回答例:このたびは、結構なお中元の品をお送りいただき、厚くお礼を申し上げます。
解説:「過日」というのは「過ぎた日」ということで「先日」「昨日」という意味になります。「御礼」を「お礼」に直した程度なので、少々はなし言葉として心もとないと考えるならば、「大変ありがとうございました」という返し方もあります。言ってしまえば、大きく感謝をしております。という意味合いなので、くだけてはいますが問題ないのかもしれません。
4.「代金は同封振込用紙をご使用の上、ご送金くださいますようお願い申し上げます。」の回答例
回答例:代金は同封した振込用紙をお使いになって、お送りください。
解説:この設問が少々曲者です。「同封振込用紙を」という下線部分にも関わらず、回答例ではその部分がまるまる言葉として残っています。「同封」は「同じ封筒に入った」と訳せるはず。とお考えかもしれません。
そこが曲者の由縁で、すべての漢語、カタカナ語を直す必要はビジネスとしてはありません。例えば「入金」という言葉があったからと言って、「お金を入れる」と訳さずとも伝わります。「メール」を「電子手紙」と訳す必要はありません。中にはそのままでも利用できるワードがあるのです。この見極めが、この問題の曲者でもあります。
このようにふまえると「送金」もそれに当たると言えます。しかし、下線は「ご送金」にしか引かれていません。つまり、「ご送金」は無理にでもはなし言葉に変えなければならないのです。そう考えると「お送り」になるのも納得頂けるのではないでしょうか。
以上です。
記述問題の場合どうしても採点する担当によってその判断が少しブレる場合がありますので、ある程度の裁量が許可されています。例えば回答例以外でも正解になりますし、漢字のミスや誤字などは逆に減点になります。そのため、試験の場合はじっくりと考えるのも良いのですが 時間に余裕を持って、記入した言葉が間違っていないか、漢字のミスがないかなどを見直す必要もあります。
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