ABC分析(重点分析)とは?意味や活用方法
更新日:2022.11.09ビジネス豆知識ABC分析は、会社にとっての商品・サービスの貢献度を知るのに有効な方法です。適切に作業を進めれば、今後の事業展開で重点を置きたいポイントを、目に見える形で明確に示せるでしょう。とくにコスト調整や在庫管理では、大きな効果を発揮すると考えられています。そこで今回は、ABC分析の概要や、実際の作業の流れ、主なメリットなどをご紹介します。
目次
ABC分析とは
ABC分析は、さまざまな業務指標を優先度の高い順にランク分けしたうえで分析・管理する手法です。
基本的な考え方
ABC分析の基本的な考え方は、かつて経済学者が提唱した「パレートの法則」にもとづくといわれています。パレートの法則は、イタリアの経済学者として知られるV・パレートが唱えました。「全体の大部分(8割)は一部(2割)の要素から生み出される」との考え方であり、「8:2の法則」とも呼ばれます。
ビジネスに当てはめた場合、「会社全体の売上のうち8割はランク上位の商品2割から生み出される」と説明されます。「残り2割の売上は、ランク下位となる8割の商品により生み出される」との認識です。ABC分析では、売上全体の8割に貢献したランク上位の商品はAグループに分類されます。それに対し、ランク下位の8割はBもしくはCグループになります。
主な分析対象
ビジネスにおけるABC分析が業務指標にする主な分析対象は、売上、コスト、在庫の3つです。それぞれの指標について、関連する商品をランク分けしていきます。会社にとって貢献度や重要性が大きい商品は、優先度が高くなる仕組みです。Aに分類された商品は、予算の分配や事業展開が、ほかより優先的に実施されます。
残りのBとCについても、どんな業務の進め方や営業戦略が効果的か、現状分析にもとづき検討されます。それぞれの現状に合わせ、適切な予算配分や在庫の管理方法が決められる流れです。よく売上、コスト、在庫が分析対象に選ばれるのは、最終的にABC分析が経営の効率化を目指しているためです。分析結果が有効活用された場合は日々の作業効率が向上し、売上は伸びると期待されています。
分析時の注意点
職場でABC分析を実施する際、そもそも何が目的か誤解しない注意が必要です。ABC分析では、あくまで会社の将来性を考えた経営面の効率化を目指します。分析対象がABCのいずれに分類されても、この点については変わりません。優先度をランク分けする作業は、基本的に現状把握が目的です。会社にとっての重要性にもとづき優先順位を決めると、予算配分や営業方法は適切に判断しやすくなると考えられています。
現時点で貢献度が低くても、将来性が望めないとは限りません。現状に合わせ業務の進め方を工夫すれば、作業効率は上がり会社への貢献度は高まる可能性があります。そのため、BやCに分類されたから貢献度は低いと見なし、将来性を視野に入れない姿勢は、妥当とはいえないと指摘されています。
ABC分析の手順の流れ
ABC分析は、大まかに「1.分析対象の分類」と「2.パレート図の作成」の2段階で進めます。こちらでは、ABC分析を行う際の流れをご紹介します。
分析対象の分類
最初の段階では、分析対象をABCのいずれかに分類します。それぞれの現状を正しく把握するには、適切なランク分けが不可欠です。例えば、売上を指標とした場合、商品やサービスごとの売上高の算出を行い、売上に占める割合を計算したうえで、ABCへ分類します。
まず必要なのは、それぞれの商品やサービスにいくらの売上があったか算出する作業です。ここで得られたデータが、その後の分析を進めるうえでベースになります。続いて、会社の売上全体に占める割合の計算です。この割合は、一般的に構成比と呼ばれます。各商品やサービスの構成比を計算すると、それぞれの会社に対する貢献度を判断できます。
最後は、構成比の計算にもとづくABCへの分類作業です。計算結果から会社への貢献度を判断し、すべての商品やサービスを優先順位の高さにしたがってABCへランク分けします。一通りのランク分けが済むと、第一段階は終了です。ここでの分類結果は、それぞれの商品やサービスについて適切な予算配分や営業方法を検討する時の指標に使えます。
パレート図の作成
次の段階は、パレート図の作成です。パレート図は、棒グラフと折れ線グラフで構成されるグラフを意味します。棒グラフは、商品ごとの売上を図示する場合に選ばれるケースが多く見られます。グラフの横軸に商品・サービス名を並べ、縦軸で各々の売上を表すと分かりやすいでしょう。
折れ線グラフは、売上に占める割合(構成比)を示すのに適していると考えられています。今度は縦軸で各々の構成比を表すと、どの商品・サービスの貢献度が高いか目に見える形で図示できます。これらの棒グラフと折れ線グラフを1つに合わせたものが、パレート図です。個々のグラフをパレート図にまとめると、すべての商品・サービスの貢献度が一目見るだけで理解できます。
さらにパレート図は、第一段階でABCに分類された商品の重要性を分かりやすく伝えるのにも有効です。グラフで売上や構成比の情報を可視化しているため、ランク分けの説得力を増すのに役立ちます。ABCの分類結果とパレート図を的確に活用すれば、今後の経営戦略を検討するうえで適切な判断材料になるでしょう。
ABC分析がもたらすメリット
ABC分析がもたらす主なメリットは、それぞれの商品・サービスの売上高や構成比を可視化できるところです。これらを目に見える形で示せると、どこに重点を置きながら事業展開するか判断しやすくなります。
パレート図による可視化のメリット
パレート図による可視化のメリットは、とくに重点を置きたいポイントが明確になる点です。棒グラフは、すべての商品・サービスを売上の多い順番に並べると売上高のランクがはっきり分かります。折れ線グラフからは、売上全体のなかで各品目が占める割合を確認できます。
Aに分類された品目は、これまで以上に重点を置くのが望ましいといえるでしょう。販売当初に多くの売上を見込んでいなかった場合、評価を改める必要があるかもしれません。どこに重点を置くかポイントを確認する際、パレート図は判断基準となるデータを目に見える形で示すのに効果的です。
コスト調整や在庫管理に活用
これからの事業展開で重点を置きたいポイントが明確になると、コスト調整や在庫管理に活かせます。もともと売上への期待が低かった商品・サービスは、最初のうちは多くの予算が配分されないでしょう。その品目がAに分類された時は、予算を増やす方向でコスト調整するのが妥当と考えられます。
人気があり注文が殺到している場合、品薄状態になる可能性は低くありません。それでも品切れは売上の減少につながるため、これまで在庫が少なめであったならニーズに合わせて補充する必要があるでしょう。どこに重点を置くとよいか明確になると、予算配分や在庫管理を適切に進めやすくなります。
ABC分析で合理的な判断が可能
ABC分析は、どんなコスト調整や在庫管理が必要か合理的に判断できる点が特徴的です。店舗で商品・サービスの売れ具合を見ていれば、どの売上が高いか感覚的に分かるでしょう。ただ、感覚にもとづく判断は、根拠となるデータを伴わないケースが多く見られます。
ABC分析の場合、ABC分類やパレート図が示すデータには客観性があります。予算配分や在庫管理を検討する際、感覚より客観性のあるデータのほうが合理的に判断するには有効です。これまで業務上の判断を感覚に頼りがちであったなら、売上や構成比の可視化により合理的な判断が可能になるABC分析をおすすめします。
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