AIの活用で、コールセンターはどう変わる?
更新日:2022.05.06コールセンターすでに多くの分野で導入が進んでいるAI(人工知能)。コールセンター業界では、早くからAIの先駆けともいえるIT技術を取り入れ、さまざまな課題を解決してきました。今回は、AIの活用によってコールセンターのサービスがどの様に変わるのか、業界の課題にも言及しながら考えてみます。
目次
これまでのコールセンターと、これからのAI活用
AIとは?
「AI(人工知能:Artificial Intelligenceの略)」とは、学習・認識・予測・推論・計画・最適化など、人間特有の知的活動をコンピューター処理によって実現する技術のことです。社会問題の解決や企業の事業改革、新しい価値の創造をもたらす新技術として昨今注目を集めています。
AI研究の歴史は古く、はじまりは1950年代までさかのぼります。当初は、複雑な仕組みや専門性の高さから一般化することはありませんでした。それがコンピューター処理性能の向上やアルゴリズム開発能力の進展、先進的なストレージ技術の誕生にともない、近年AIを活用する企業が増えています。
AIの現状
現在、AIは私たちの身近なところでその技術が活用されており、実はすでに多くの人がAIサービスの恩恵を受けています。インターネット検索エンジンや音声応答アプリケーション、掃除ロボットなどは、人工知能を搭載した実用サービスです。また、金融業界のトレード、航空会社や電力会社などの価格変動システム、さらには銀行や保険会社のオペレーション・サポートなど、幅広い分野でAIの導入が進んでいます。
一早くIT化を進めてきたコールセンター
コールセンター業界は、一早くIT化を推し進めてきた業界ともいえます。分かりやすい例でいえば、VoIP(Voice over Internet Protocol)やSIP(Session Initiation Protocol)などのインターネット上で音声を送受信する通信技術。これらの技術導入によって、端末管理がスムーズとなり、組織のスリム化と業務効率の向上によってコストの大幅削減が可能となりました。
昨今の動きで注目されるのが、チャットボットの導入です。チャットボットとは、音声やテキストを利用して自動会話を実現するプログラムで、「チャット」と「ボット」を組み合わせた造語です。多くのコールセンターでは、チャットボットを活用した情報処理システムの確立で、大量コールでも現場に混乱を来すことなく、顧客対応の効率化とカスタマーサポートの品質向上を実現しています。
このチャットボットには人工知能が搭載されていて、膨大なデータを瞬時に処理して適切な回答を導き出します。パターン化された質問に対し、データベースの中から最適な回答を検索して提示する仕組みで、チャットボットで対応できないケースではオペレーターが引き継ぎます。ひとりのオペレーターが何度も同じやり取りをする必要がなく、人的資源に頼らないかたちでの運営が可能となるのです。
今後もチャットボットを導入するコールセンターは増えることが予想されると同時に、AI技術の進歩によってオペレーター対応の機会は減っていくかもしれません。しかし、すべての業務がAI化することはないと考えられ、そうすべきでないという意見も多いのが現実です。情報システムの活用はあくまで効率化を目的とし、長期継続利用の顧客に対しては熟練のオペレーターが担当するなど、人とAIをフレキシブルに使い分ける柔軟性が求められます。
コールセンター業界の課題にも、AIが活躍?
コールセンター業界の構造的な問題として、従業員の構成比率の偏りが指摘されています。『一般社団法人 日本コールセンター協会』の調べによると、正社員が2割未満とするコールセンターは全体の65%。反対に、アルバイト・パートが8割以上とするコールセンターは20%弱を占め、全体的に非正規雇用が多い実態がうかがえます。
このような従業員の構成比率は、離職率とも無関係ではありません。一般的なコールセンターの場合、契約社員やアルバイト・パートの人たちは、有期労働契約のため、契約を更新せず離職となるケースが多くあります。従業員の定着率が悪くなるとオペレーター個人の裁量権限は狭まり、業務のマニュアル化が進みやすくなる課題を抱えることも。そうなると、オペレーター対応は縮小され、AIに任せる業務範囲がどんどん拡大していくことが予想されるでしょう。
その様な状況がコールセンター業界にとってあるべき姿か、今のところ分かりませんが、先進技術に頼りすぎない範囲で人材育成を重視しつつ、顧客満足度を高めるためのサービスが求められます。
AIを導入するコールセンターの事例
さまざまな課題を抱えるコールセンター業界ですが、AIや新システムの導入によって、付加価値のあるサービスの創造に取り組む企業も増えています。例えば、大手銀行のカスタマーサポートでは、ソフトバンクのロボット「Pepper」と、IBMの人工知能「Watson(ワトソン)」をオペレーションシステムに導入。これにより、お客さま1人当たりに要する通話時間の短縮に成功し、より多くのお客さまとコンタクトが取れる様になりました。先進的な技術とシステムの導入で、顧客満足度の維持・向上に効果を上げた好例といえるでしょう。
また、とあるコールセンター企業はチャットサービスを導入することで、通話・メール以外の手段でお客さまとのコミュニケーションの機会を増やしています。チャット会話であれば、電話の様に回答に詰まってお客さまに不信感を与える心配もありません。回答に窮した時は、スーパーバイザーや現場リーダーに確認し、適切な回答を提示することができます。お客さまにとっても、使い勝手がよく利便性にすぐれるなど、メリットが多い点で注目されます。
AI技術や、チャットシステムなどの新サービスの導入で生まれ変わろうとしているコールセンター。IT化の流れがさらに加速すれば、魅力的な新サービスがどんどん増えていくかもしれません。
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