副業をしている会社員向け|年末調整を徹底解説!

更新日:2023.10.04ビジネス豆知識

副業や株式投資の収入がある場合、所得分を勤務先で年末調整するのか、確定申告が必要になるのかと悩まれる方も多いといいます。また、会社に副業を知られたくない場合に、知られずに済む方法はないかと不安を感じている方もいるかもしれません。これらの悩みや不安を抱えている場合、年末調整や確定申告について理解を深めれば、問題の解決につながるでしょう。そこで今回は、年末調整の対象となる収入を解説し、副業などの所得を確定申告する方法や実際に申告する時の注意点をご紹介します

年末調整の対象となる収入

年末調整の対象となる収入

年末調整の対象となる収入は、原則的に本業で得た給与所得です。副業で入手した収入は、対象外になります。以下では、本業の給与所得と見なされるケースや副業の収入が確定申告を求められる条件についてご紹介します

本業の給与所得と見なされるケース

月々の収入が本業の給与所得と見なされるケースは、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合です。通常、同申告書は、年間で1人1枚のみ提出できます。書類の提出先は、1年につき1企業に限られる仕組みです。

そのため、申告書の提出先から受け取った収入が、本業で得た給与所得と見なされます。副業している場合、年末調整関係の書類は同時に複数の勤務先へ提出できません。また、株で得た利益は、給与以外の収入として扱われます。

以上の仕組みにより、副業や株の収入は本業の給与所得と見なされず、年末調整の対象から外されます。これらの収入は年末調整を受けられないため、一定の条件に該当した場合、別途に確定申告が必要です。

副業の収入が確定申告を求められる条件

副業の収入が確定申告を求められる条件は、所得額が20万円を超える場合です。所得額は、収入全体から必要経費を差し引いた残額です。勤務先で交通費などの必要経費が別途に支給されている場合、基本的に給与として取得した金額は所得額と見なされます。

一方、本業以外で自営業を手がけていれば、商品の生産・制作や仕入・販売に一定の経費がかかるでしょう。その際、必要経費として出費があった場合、その金額は所得額に含まれません。そのため、副業による収入のトータルから必要経費を除いた所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要になります

株で得た配当所得の計算方法

株で得た配当所得は、収入額から株式などの取得にかかった借入金の利子を差し引いた金額です。収入額は、株式投資で得たトータルの金額です。配当金を受け取る時に源泉徴収されている場合、徴収分の税額も含まれます。これらの総額から借入金の利子を引くと、配当金の金額が計算できます。

また、収入全体から差し引ける借入金の利子は、配当所得が得られる元本の保有期間に含まれる部分です。所有する株式の種類によっては、利子分を除外できないケースもあるため気をつける必要があります。副業の所得と株式投資の配当金は収入全体から差し引ける費目が異なるため、詳細は国税庁のホームページなどで確認することをおすすめします。

副業などで得た所得の申告方法

副業などで得た所得の申告方法

本業以外の所得が20万円を超えた場合、必要書類を用意して確定申告する方法が基本です。必要書類の内訳は、所得の種類によって変わります。以下では、所得税法における所得の種類・確定申告で必要な書類・申告手続きの進め方をご紹介します

所得税法における所得の種類

所得税法における所得の種類は、次の10種類です。

給与所得 給与・ボーナスなど
事業所得 農業・漁業・自由業などに伴う所得
退職所得 退職時に受け取る所得
配当所得 株式投資の配当金や投資信託の収益
利子所得 預貯金の利子や貸付信託の収益
不動産所得 不動産の貸付などで生じる所得
山林所得 山林の売却に伴う所得
譲渡所得 資産の売却による所得
一時所得 賞金や満期保険金の所得
雑所得 上記のいずれにも属さない所得

法律上の分類によると、副業に伴う所得の多くは雑所得です。同じ給与でも、本業の収入でなければ雑所得として申告するケースが一般化しています。また、個人事業で得た収入は、事業所得に分類される場合もあります。

それに対し、株式投資の所得は、法的な分類をふまえると配当所得です。確定申告では、副業の雑所得や事業所得と区別する必要があります。ただし、いずれも本業以外の所得と見なされるため、トータルで20万円を超えれば確定申告は不可欠です。

確定申告で必要な書類

確定申告で必要な書類は、申告書と本人確認書類です。副収入が給与の場合、支給時に所得税が天引きされている時は、それぞれの勤務先の源泉徴収票も用意します。他に、年末調整で控除対象にならなかった費目は、関係書類があると控除を申請できます。

雑所得・事業所得を申告する場合、収入総額が確認できる書類や必要経費の領収書も必要です。また、株式投資で収入の一部が源泉徴収された時は、徴収額を示す書類として源泉徴収票の提示が求められます。必要書類を一通り揃えれば所得額を正確に計算できるうえ、申告内容に誤りがないことも証明しやすくなります。

申告手続きの進め方

確定申告の基本的な手順は、申告書を作成してから必要書類一式を税務署に提出する流れです。現在、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」には、所得の種類に応じた申告書の指定フォーマットが用意されています。画面の案内に沿って収入額や必要事項を入力すれば、自分で書類を作成できます。

必要書類の提出方法は、受付窓口か申告会場に持参・管轄機関に郵送・時間外授受箱に投函・ネット申請の4種類です。郵送は消印の日付が提出日になり、ネット申請はスムーズにアクセスできない可能性があるため、気をつける必要があります。

副業などの所得を申告する時の注意点

副業などの所得を申告する時の注意点

副業などの所得を申告する際、勤務先に知られたくない場合は、住民税の納付方法に注意が必要です。以下では、住民税の基本的な支払い方や勤務先に知られず納税する方法をご紹介します

住民税の支払い方は基本的に2種類

住民税の支払い方は、大きく「普通徴収」と「特別徴収」の2種類に分けられます。

普通徴収

普通徴収は、所得額などに応じて算出された住民税を自分で納める方法です。この方法を選択した場合、5月~6月頃に納税関係の書類が自宅へ送られてきます。納付書を受け取った後は、納税者本人が納付手続きを済ませます。勤務先に副業などを知られず住民税を納めたい場合、普通徴収を選ぶのが得策です

特別徴収

特別徴収は、企業が従業員の住民税を一括で納付する方式です。納税分は、勤務先の給与から天引きされます。通常、納付する金額は、年末調整を行っている企業に知らされます。その際、年末調整と特別徴収の通知で住民税の金額が一致しないと、企業からは副業を疑われてしまうかもしれません

所得を申告する場合の注意点

多くの企業は、副業の可否について就業規則で定めています。社内ルールにより副業が認められている場合、勤務先に本業以外の所得があると知られても差し支えないでしょう。一方、副業が認められていない場合は、特別徴収の通知で勤務先に知られトラブルに発展するかもしれません。

副業や株式投資の所得を知られない方法として、普通徴収は活用できます。ただし、普通徴収を選んでも、勤務先に副業を知られずに済むとは限りません。住民税の通知にとどまらず、副業が発覚するケースはあるためです。すべてのケースを想定して備えることは、難しいと考えられます。

また、勤務先に無許可のまま副業するとなると、人によっては気が引ける場合もあるでしょう。その際、事情を説明して承諾を得られれば、副業に励みやすくなると考えられます。そのため、気兼ねなく副業する方法としては、あらかじめ勤務先に相談しておくことをおすすめします。

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