OODAループの基本や実践方法を解説

更新日:2023.08.30ビジネス豆知識

最近はビジネス環境の変化が激しく、企業では迅速な意思決定を求める声が増えてきました。そんな声に応えられる手法が、個々の状況判断で行動していくOODAループです。意思決定に時間がかかりにくいため、企業を取り巻く状況が次々に変わるなかで成果を出すのに役立つでしょう。そこで今回は、OODAループの基本的な知識などをふまえ、実践する時の手順やメリット・デメリットをご紹介します

OODAループの意味や注目される理由

OODAループの意味や注目される理由

OODAループは、絶えず変化する状況のなかで成果を出せるといわれる、思考や作業の進め方です。ビジネスの場でも、業績アップにつながると注目されています。以下では、OODAの意味やビジネスで注目を集める理由についてご紹介します

OODAの意味

OODAは、observe・orient・decide・actの頭文字4つを組み合わせた言葉です。それぞれ、以下に挙げる思考・作業を意味しています。

  • O(observe):観察
  • O(orient):方向づけ・状況判断
  • D(decide):意思決定
  • A(act):行動・実行

orientは名詞で「東方」や「東洋」を指し、動詞では「方向づける」「新しい環境などに適応・順応する(させる)」の意味があります。動詞の意味から、OODAループでは「方向づけ・状況判断」の意味合いで使われています。思考・作業を進める時、観察・状況判断・意思決定・実行を繰り返す手法が、OODAループです。なお、言葉の読み方は、この手法の考案者であるジョン・ボイドにより「ウーダ」と定められました。

ビジネスで注目される理由

OODAループがビジネスで注目される理由は、近年のビジネスシーンで顧客ニーズやIT技術の変化が激しいためです。もともとこの手法は、米国空軍の航空戦術家であるジョン・ボイドにより開発されました。戦闘時、予測困難な状況でも臨機応変に行動すれば勝率は上がると考え、迅速に状況判断して意思決定・実行へ移す方法が生み出されたといわれています。

現在、ビジネスの場で顧客ニーズは多様化し、IT分野を中心に技術面の発展が盛んです。AIやSNSの進歩も著しく、最新技術を投入した商品・サービスが次々に登場しています。多くの企業は、ビジネスチャンスを獲得するため、目まぐるしく変化する環境に対応する必要性が高まりました。従来の経営戦略は通用しにくくなり、現状で活用できる手法としてOODAループが注目を集めています

PDCAサイクルとの違い

PDCAサイクルは、OODAループと比較されるケースが多い手法です。それぞれ、開発された目的に大きな違いがあります。最初に計画を立てるPDCAサイクルは、工場での生産性向上を目的に開発されたといわれています。工場の生産性を上げるうえで、無駄な作業は望ましくありません。計画的に作業すれば無駄を省きやすいため、PDCAサイクルは有用と見られています。

一方、OODAループは、刻々と移り変わる状況に対応することが主目的です。変化の激しいビジネス環境を乗り切る手法として、大きな効果を期待できます。ただし、計画性を求められる場面には適さないでしょう。PDCAサイクルとOODAループは目的が異なるため、状況に応じて使い分ける姿勢が大切といえます。

OODAループを実践する時の手順

OODAループを実践する時の手順

ビジネスの場でOODAループを実践する場合、手順の流れは、名前通り観察・状況判断・意思決定・実行の4段階です。以下では、各々の段階で何を行うか具体的にご紹介します

Observe:観察

最初のOであるObserveは、周りの状況を観察する段階です。ビジネスの場合、顧客ニーズや市場動向に目を向ける作業が該当します。昨今、顧客ニーズは以前より変化が早くなり、市場競争は国内外で激化しているといわれています。そんなビジネス環境のもとでは、現状の把握が怠れないでしょう。

具体的には、顧客の行動履歴や競合他社の動きについて、各種情報を収集します。過去のデータに頼らずリアルタイムの情報を集めれば、現状認識の精度は高まると期待できます。

Orient:状況判断

次のOであるOrientは、企業や従業員が置かれている状況を判断し、行動の方向性を検討する段階です。新たな顧客ニーズの情報が得られた場合、その要望が自社に向けられているか、あるいは一定の需要が見込めるか、状況判断をします。

さらに、需要の高さや従業員にかかる負担を考慮し、いずれの戦略でニーズに応えるかを検討します。多くの需要が見込めるニーズに応えれば、従業員の業務負担が増えても採算は取れるでしょう。一方、需要が少ないと、収益を上げにくくなります。そのため、顧客ニーズに応えるかどうかを決める時は、冷静に検討する姿勢が大切です。

Decide:意思決定

3番目の手順となるDecideは、どの行動を選択するかを決める段階です。新しい顧客ニーズに応える場合、その方法は1つとは限りません。意思決定する段階では、実行できる行動の取捨選択を迫られる可能性があります。複数の選択肢が考えられる時は、より大きな成果に結びつく行動を選ぶことが望まれます。

誤った選択を避けるには、実行可能な行動をリストアップして比較する必要があるでしょう。同時に、OODAループでは次々に変わる状況に対応するスピード感も求められるため、迅速な意思決定も大切と考えられます。

Act:実行

最後のActは、意思決定で選択した行動を実行に移す段階です。OODAループは、目の前の状況に適した行動で成果を出すことが望まれています。ただし、常に期待した結果が得られる保証はありません。何か行動を起こせば、その影響で状況が変わり成果につながらない場合があるためです。

目の前の状況が変わった時は、改めてOODAを進めていきます。観察から実行までを繰り返せば、絶えず変化する状況にも対応しやすくなるでしょう。そのため、OODAループは4つの手順を継続することが大切です。

OODAループのメリット・デメリット

OODAループのメリット・デメリット

OODAループのメリットは、短時間で成果を得られる点などが挙げられますが、場合によっては有効に機能せず、デメリットになることもあります。以下では、OODAループの主なメリット・デメリットをご紹介します

OODAループの主なメリット

成果を得られる早さは、OODAループに見込まれる大きなメリットです。OODAループは、事前の計画立案が必要ありません。状況確認から実行までに時間がかかりにくく、短時間で成果を出せる傾向があります。意思決定は現場に委ねられる場合が多く、商談を急ぐ時や緊急事態への対応に適しているといわれています

また、現場が臨機応変に行動できるところも、OODAループがもたらす主なメリットです。基本的には個々の従業員に裁量権が与えられるため、必要があれば上司の承認を待たず現場判断で柔軟に行動できます。さらに、企業で従業員の裁量権が広がった場合、それぞれの従業員の主体性が育ちやすくなるメリットもあります。

OODAループに伴うデメリット

OODAループに伴うデメリットは、一体感が生まれにくく変化の少ない業務には適さないところです。個々の従業員が自己判断で仕事を進めた場合、お互いに協力する意識が薄れて社内のまとまりは弱まるリスクがあります。過度に個人の考えが尊重されると、統率が取れなくなり業務に差し支えるかもしれません。

また、OODAループは、作業手順の決まったルーティンワークなど変化の少ない業務には適さないといわれています。何か不具合があっても、周りに相談せず自己判断で作業手順を変えると、混乱を招く可能性があります。OODAループはメリットだけでなくデメリットも伴うため、いずれの場面で活用するとよいか検討することは大切です。

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