DX推進をサポートするデジタルスキル標準とは?
更新日:2023.06.05ビジネス豆知識デジタルスキル標準は、DX推進に必要な人材の育成・確保を目指す指針です。2022年の3月と12月に、経済産業省の公式サイトなどで発表されました。公開資料には、労働者に求められるDX関係の知識やスキルが示されています。企業でDX推進の参考材料に使えば、どの程度の知識・スキルが標準的であるか理解しやすくなるでしょう。そこで今回は、デジタルスキル標準の目的・策定の背景をふまえ、この指針の概要などをご紹介します。
目次
デジタルスキル標準の目的・策定の背景
デジタルスキル標準は、国内におけるDX推進の目安として、経済産業省により策定された指針です。以下では、そもそもDXとは何か、またデジタルスキル標準の目的や策定された背景をご紹介します。
DXとは
DXは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。もともと、スウェーデンの大学教授により提唱されました。提唱者のエリック・ストルターマン教授は、DXの概念について「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」変化と説明しています。本来は、ビジネス分野に限らず幅広い意味を有していたといわれています。
やがて、ビジネスシーンでは、より具体的な意味合いが示されました。経済産業省は、「企業が、ビジネス環境の激しい変化に対応し、AIやビッグデータを活用してビジネスモデルや企業風土を変革すること」と表現しています。現在、DX推進は、企業が国内外の市場における競争力を強化するうえで重要性が増しています。
デジタルスキル標準の目的
経済産業省がデジタルスキル標準を策定した主な目的は、DXの基礎知識やスキルがある人材の育成・確保です。企業がDXを推進する際、デジタル分野に通じた人材は欠かせません。この分野の業務をスムーズに進められる従業員が不足している場合、新たに人材を育てる必要があります。
幅広い業務で各種作業をデジタル化する時は、多くの時間や労力がかかると考えられます。社内全体で少しでも時間をかけずにDXを実現するには、十分な人材を確保することも不可欠でしょう。そのため、経済産業省のデジタルスキル標準は、企業のDX推進で必要となる人材の育成・確保を目指しています。
策定の背景
経済産業省によりデジタルスキル標準が策定された主要因は、国内におけるDX関係の人材不足です。現在、DX実現に向けた国内企業の取り組みは、海外に比べて進んでいないと指摘されています。様々な業務のデジタル化が遅れている背景には、多くの国内企業における人材不足があると見られています。
DXに通じた人員が不足している場合、デジタル関係の知識・スキルを備えた人材の育成は緊急性の高い課題です。必要な人材が足りないままでは、迅速なDX推進は難しいと考えられます。以上の認識のもと、経済産業省は、DXの知識・スキルがある人材の育成・確保を目的にデジタルスキル標準を策定しました。
デジタルスキル標準の2つの指針
デジタル標準スキルを構成する指針は、大きく分けるとDXリテラシー標準とDX推進スキル標準の2つです。それぞれ、目的や適用範囲は異なります。以下では、2つの指針の概要をご紹介します。
DXリテラシー標準の概要
DXリテラシー標準は、すべての労働者によるDXリテラシーの習得を主目的とした指針です。リテラシー(literacy)には、「読み書きの能力」や「特定分野の基礎知識・能力」の意味があります。DXリテラシーの場合、DXに関わる知識やDX推進に活かせる能力を指します。
経済産業省の指針は、DXの知識・能力について全労働者による習得が望まれる標準的なレベルを示しました。DXリテラシー標準には、DX関係の人材育成で必須と考えられる知識・スキル・心構えが記されています。また、DXリテラシー標準の適用対象は、国内で働く労働者全員です。
経済産業省は国内企業全体でDXを進める必要があると考え、全労働者が当事者意識をもってDX推進に貢献できる体制の実現を目指しています。
DX推進スキル標準の概要
DX推進スキル標準の主な目的は、DX関係の業務を担当する人員による専門的な知識・スキルの習得です。企業でDX推進に向けた業務を担当する場合、速やかに処理するうえで必要となる知識・スキルの専門性は高まります。基本的な知識などを身につけただけでは、十分でないでしょう。DX推進の担当者に求められるレベルを示した指針が、DX推進スキル標準です。
この指針には、DXを推進する人員の役割や習得する必要のある専門的な知識・スキルの標準が記されています。DX推進スキル標準の適用対象は、専門的にDXの推進業務を担う人材です。DX推進の担い手は、様々な役割を求められています。それぞれの役割を果たすうえで、必要な知識・スキルは一律ではありません。そのため、DX推進スキル標準は、DX推進の役割に応じて専門知識・スキルを身につけた人材の育成を目指しています。
DX推進で求められる人材
デジタルスキル標準によれば、DX推進で求められる人材は、大きく分けると5タイプです。それぞれのタイプで、業務上の役割や必要な知識・スキルは違います。以下では、DX推進で求められる人材の種類や各タイプの役割などをご紹介します。
DX推進で求められる人材の種類
DX推進で求められる人材について、デジタルスキル標準が示した5タイプは次の通りです。
1.ビジネスアーキテクト
ビジネスアーキテクトは、DXの取り組みで目標を設定するとともに目標実現に向けて業務を牽引する人材です。
2.デザイナー
デザイナーは、多角的な視点で新商品・サービスの方向性や開発方針を検討し、将来的なビジョンなどをデザインします。
3.データサイエンティスト
データサイエンティストは、DXのデータ処理に関わる各種業務の担当者です。
4.ソフトウェアエンジニア
ソフトウェアエンジニアは、デジタル技術を活用した商品・サービスを提供するため、新しいソフトウェアやシステムの設計・運用を担います。
5.サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティは、デジタル環境でサイバー攻撃に備えるセキュリティ対策の担い手です。
各タイプの役割や必要な知識・スキル
デジタルスキル標準を見た場合、ビジネスアーキテクトなどが担う役割や必要な知識・スキルは多種多様です。DX推進スキル標準は、次に挙げる業務や職種を各タイプの役割と定義しています。
- ビジネスアーキテクト:新規事業開発、既存事業や社内業務の高度化・効率化
- デザイナー:サービス・UX/UI・グラフィックのデザイン
- データサイエンティスト:データエンジニアやデータビジネスストラテジスト
- ソフトウェアエンジニア:フロントエンドエンジニアやクラウドエンジニア
- サイバーセキュリティ:サイバーセキュリティのマネージャー・エンジニア
いずれのタイプも、DX推進スキル標準により各々の役割として定義されている業務内容や職種は多彩です。また、各タイプで求められる知識・スキルも多岐にわたります。ビジネスアーキテクトを例に挙げると、ビジネスの変革につながる事業戦略の考案からデジタルデータの理解・活用やソフトウェア開発のチーム構築まで広範囲に及びます。
デジタルスキル標準の詳細は、経済産業省の公式サイトで確認可能です。これから社内のDXを進める場合、公式サイトの資料を参考にする価値は高いと考えられます。
デジタルスキル標準(2022).経済産業省 .
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/main.html#:~:text=%E6%A6%82%E8%A6%81,%E3%81%A7%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
(参照2023-06-01).
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