東京のビジネススタイルが変化する?

更新日:2023.03.01ビジネス豆知識

東京駅

現在、東京にオフィスをかまえる企業数は全国1位です。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大から、在宅勤務を取り入れる企業が増えました。もし今後リモートワークが普及していけば、東京の業務態勢や雇用環境は変化すると予想されています。そこで今回は現在の東京のオフィス数や感染症による影響を確認し、今後どういった変化が訪れるか、またテレワーク導入の支援制度についてご紹介します

現在の東京における企業数

東京は、全国の企業数ランキングでトップを獲得する日本経済の中心地です。ただ新型コロナウイルスの感染拡大により、労働環境は変わり始めています。

全国の企業数ランキング

総務省は、事業所・企業統計調査により把握した全国の企業数を公表しています。最新データによれば、東京が都道府県別の企業数ランキングで1位を獲得しました。ランキング作成に用いられた参考情報は、2016(平成28年)の調査結果です。この時点で全国の企業数は3,820,338でした。

そのうち東京は452,197にのぼり、全体の1割超を占める計算です。2位の大阪は294,099、3位の愛知は221,411を数えますが、いずれも東京の企業数からは大幅に離れています。ランキング上位の3都府県を比較しただけでも、東京は多くの企業が集まっていると分かります。

東京の企業数の内訳

上記した東京の調査結果を規模別に分類すると、大企業数は4,538、中小企業数は447,659です。これらの数値から、都内では中小企業が全体の約98%を占めると判断できます。総務省の統計調査に加え、2019年には東京都産業労働局により東京の経済・雇用情勢が報告されました。

報告内容を見ると東京の事業所数は約62万、会社企業は約25万社、就業者数は約800万人に達します。それぞれ全国の11.6%、15.3%、13.6%を占め、すべて1割を超える比率です。規模別では中小企業の割合が98.9%とあり、都内では中小企業が基盤となり活発な経済活動を展開していると評価されています。同時に外資系企業の76.0%が都内に立地すると記され、東京は国際ビジネスの重要拠点とも見なされています。

新型コロナウイルス拡大の影響

総務省や東京都産業労働局が報告する通り、東京は国内だけでなく世界的にもビジネスの中心地として注目される地域です。ただ最近は、新型コロナウイルス拡大の影響により東京の経済状況は深刻化しています。東京都産業労働局が都内の中小企業に向け実施した聞き取り調査によれば、「現在影響が出ている」との回答は2月の段階では29.7%でしたが、3月には57.8%に上昇しています。4月には緊急事態宣言が発令されたためもあり、さらに厳しさは増している状況です。5月末に同宣言が解除されたものの、まだ今後の見通しはわからず、多くの企業では感染症対策に追われています。

新たな勤務態勢がもたらす変化

今、さまざまな企業に新型コロナウイルスへの対策が求められています。どういった対策を行っているのでしょうか。

在宅勤務の導入が増加

現在、ウイルスへの感染リスクを避けるため、多くの職場で導入を検討もしくは開始しているのが在宅勤務です。
在宅勤務とは、本来の職場から離れた場所で働くテレワークの一種であり、その名の通り自宅にとどまりながら作業します。これまで一般的であった勤務スタイルと異なり、出社する必要がありません。

朝、多くの乗客で混雑する電車やバスを利用せずに済み、政府が提唱する3密の回避につながります。時差出勤も交通機関が混雑する時間帯を避けられ感染症対策に有効ですが、自宅を出ない在宅勤務ならリスク回避の効果はさらに高まると期待されます。業務によってはテレワークが向かないものの、都内では従業員の安全性を確保するため可能な限り導入する職場が増加中です。

人事評価に与える影響

会社で在宅勤務が普及した場合、人事評価は以前より厳密になる可能性が高いと予想されています。従業員がこれまで通り職場で仕事した場合、上司は作業の進捗状況や業務成果をいつでも手間なく確認できます。働き方が在宅勤務に切り替わると、これらの確認作業は今までほど簡単ではなくなるでしょう。

上司による日々のチェックが難しい状況では、まず各自の作業目標や目指すべき成果を明確にする必要があると考えられています。業績を評価する際、基本的に従業員により示される達成度合いが判断基準です。このシステムでは的確に達成状況を提示できるかが判断を左右するため、適切に評価されるには厳密な業務報告が欠かせないと指摘されています。

人材雇用に与える影響

人材雇用に関しては、職場が都内にあっても採用時の選択肢は全国に広がると考えられています。東京の職場で働こうと考えた場合、これまでなら都内近郊に在住していることが自然と求められました。在宅勤務が可能になれば、自宅が東京から離れていても勤務に差し支えありません。

居住地に関係なく東京の会社で働ける環境になれば、従業員は通勤圏内に住む必要がなくなります。こういった変化が起きると企業は全国各地から優れた人材を集められ、東京と地方の給与格差は縮小するかもしれません。ただ応募する側にとっては、居住地による制約がなくなると競争が激しくなるため、雇用環境は厳しくなるとの声も聞かれます。

テレワークの推進に役立つ制度

現在、企業でテレワークを推進する際に役立つ制度が総務省、厚生労働省、経済産業省、ならびに東京都から提供されています。

総務省による支援事業

総務省が提供している支援事業は、「テレワークマネージャー相談事業」です。テレワークの実施に伴いICTツールを導入する企業に対し、この分野の専門的なノウハウを有するテレワークマネージャーがセキュリティ問題などに関する相談に応じます。コンサルティングの代金は無料であり、今年度は2020年4月1日~2021年3月31日まで受け付ける予定です。

厚生労働省による助成金制度

厚生労働省は助成金制度として、「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」(名称は「新型コロナウイルス感染症対策のための時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」に変更予定)を用意しています。助成対象は、感染症に対処するためテレワークを新規導入するか試験的に実施している中小企業の事業主です。

労働者災害補償保険が適用中であれば、支援を受けられます。主な支援条件に挙げられている取組は、テレワーク用通信機器の導入・運用や就業規則・労使協定の作成・変更です。当初、実施期間は2020年2月17日~5月31日までを予定していましたが、この期間内での実施が困難であれば期日は延長可能と補足されています。詳細について確認する場合には、テレワーク相談センターにお問い合わせ下さい。

経済産業省による補助金制度

経済産業省が用意する補助金制度は、「IT導入補助金」です。中小企業および小規模事業者がニーズに応じてITツール(ソフトウェアやサービス)を導入する際、経費の補助により業務の効率化や売上増進をサポートしてもらえます。

東京都による助成金制度

東京都は、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を用意しました。都内の中堅・中小企業を対象に、テレワークに必要なツールの導入経費を助成する制度です。当初の交付申請期間は2020年3月6日~5月12日を予定していましたが、現在は受付期間が7月31日まで延長されています。

ほかにもテレワーク導入を支援する「ワークスタイル変革コンサルティング」などがあるため、必要に応じて各種の制度を有効活用していきましょう。

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