エンプロイアビリティとは

更新日:2023.03.05ビジネス豆知識

企業側が求めるエンプロイアビリティ

Employ(雇用する)とAbility(能力)を合わせた言葉がエンプロイアビリティ(Employability)です。意味はそのまま「雇用される能力」です。雇用状況は近年の就業環境の変化に伴って常に変化しています。そのため、雇用される能力に注目が集まっています。今回はエンプロイアビリティについて紹介します

エンプロイアビリティの意味

エンプロイアビリィは経済学用語のひとつです。意味は雇用される能力ですが、雇用されると言っても色んな形が存在します。

「企業に採用される能力」
「企業に継続して雇用される能力」
「異動にも対応できる能力」
「転職にも有利な能力」

まとめると、エンプロイアビリティが高い人は、いい条件で自分が希望する企業に採用されやすいということになります。労働市場での高い評価を得られる個人の価値を表すのがエンプロイアビリティです。

エンプロイアビリティの能力とは

厚生労働省が発表しているエンプロイアビリティの能力定義は次の3つです。

1・職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
2・協調性・積極性など職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性にかかわるもの
3・動機、人柄、性格、信念、価値観などの潜在的な個人的属性に関するもの

このうち、3番目については個人的かつ潜在的なものであり、これを具体的・客観的に評価することは困難と考えられるためエンプロイアビリティの評価基準として盛り込むことは適切ではなく、1番目、2番目を対象に評価基準を作ることが適当であると厚生労働省は報告しています。

1番目は個人が保有している能力のことです。過去に身に付けた知識や特定の資格などがそうです。

2番目は職務遂行するにあたっての、モチベーション能力やコミュニケーション能力のことです。厚生労働省の報告にもあるように、1番目と2番目の能力を高めることが必要です。どれだけ長く仕事をしてきたかよりも、どんな仕事をして知識や資格を取得したか、職務遂行のための経験を積んできたかが大切です。座学では身に付けられない専門能力、コミュニケーション能力、対人関係能力をスキルとして獲得することがエンプロイアビリティを高めることに繋がります。

エンプロイアビリティが高くなると以下のようなメリットがあります。

「入社したい企業に入れる」
「転職する際も今よりいい条件、好条件で転職できる」
「企業内での信頼を勝ち取り、企業から必要とされる」

内的エンプロイアビリティと外的エンプロイアビリティ

現在の雇用環境もいつ変化するか分かりません。ですが、自分がどのようにして働き仕事をしていくのかは決めておく方が良いかと思います。終身雇用を求める方は内的エンプロイアビリティを高める方が良いです。どんどんキャリアアップしていきたい方は外的エンプロイアビリティを高める方が良いです。

内的エンプロイアビリティとは

今、就業している企業内でのエンプロイアビリティを高めることです。就業している企業内での自分の評価を高めることによってリストラなどの対象にならないようにすることです。そのためには、就業している企業に必要な知識や資格、能力を身に付ける必要があります。また、人間関係を悪くするような行動や言動は慎む必要があり、社交性や協調性も求められます。

外的エンプロイアビリティとは

どのような環境の変化にも対応できる能力を身に付ける必要があります。突然の異動、転職にも有利なスキル、知識、資格が必要です。そのためには、他の企業や部署でも通用するスキル、知識、資格を知って取得しておくことが大切です。

もちろん、内的エンプロイアビリティと同様に社交性や協調性なども求められます。上記どちらかに絞ってエンプロイアビリティを高めることは必要ですが、これから先の日本の雇用環境や就業環境を考えると内的エンプロイアビリティも外的エンプロイアビリティも同時に高めることが最善の策かもしれません。

そのためには、企業に就業しながら新しいことにチャレンジするのが良いです。人生は何があるか分かりませんので、エンプロイアビリティを高めることは自分にとって有利です。このように両方のエンプロイアビリティが高い人材は企業にとっても重要な人材です。企業内で他の人材に与える影響も多いです。

企業が従業員のエンプロイアビリティ向上を支援するメリットとデメリット

メリット

従業員の自主性が高まる
エンプロイアビリティを上げることが自分のキャリアアップに繋がること。就業している企業からも必要とされることを認識することで従業員がキャリアアップに自主的に取り組むようになります。その結果、従業員のエンプロイアビリティが高くなり、個人のパフォーマンスも上がるでしょう。そうなると企業としても業績アップが期待できます。

デメリット

企業の負担が発生する
従業員のエンプロイアビリティ向上を支援することで企業にとっては金銭的、事務的な負担が発生します。しかしエンプロイアビリティが高い従業員がたくさんいるということは、企業としての魅力も高くなります。人材育成の経費として捉えるべきです。それと同時に発生する可能性があるのが優秀な人材の流出です。外的エンプロイアビリティが向上したことで優秀な人材が流出してしまうのですが、それを防ぐには優秀な人材が流出しないような魅力のある企業になることが求められます。

以上、エンプロイアビリティについて紹介しました。変化し続ける雇用環境に対応していくにはエンプロイアビリティを高めることが大切です。労働市場での価値が高くなると不測の事態にも慌てることなく対応できます。

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