同一労働同一賃金について

更新日:2023.03.15ビジネス豆知識

休力格差

働き方改革の一環で2020年4月より同一労働同一賃金が導入されます。正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な格差が禁止されるようになります。同じ労働に従事する労働者は雇用形態に関わらず同じ賃金を支給するということです。今回は同一労働同一賃金について紹介します

「同一労働同一賃金」

同一企業、団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものと厚生労働省は定義しています。多様な働き方を労働者は自由に選択できるようすること。

また、労働者はどのような雇用形態を選択しても納得できる処遇を受けられるようにするものです。同じ仕事をしている限り正規雇用労働者でも非正規雇用労働者でも同じ賃金を支給するということです。正規雇用労働者からすれば責任もあって非正規雇用労働者よりストレスも多くかかるのに賃金が同じになるのは不公平だという意見もあります。

しかし、近年は人材不足の影響もあり非正規雇用労働者でも正規雇用労働者と同じ責任を背負わされるケースが多々見られます。それなのに賃金は非正規雇用労働者扱いではどうなのだろうと感じる面もあります。施行は2020年4月1日ですのでそれまでに体制を整えることが求められます。(中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の施行は2021年4月1日です)

ここでいわれる中小企業とは、資本金の額、又は出資の総額が3億円以下である事業所及びその常時使用する労働者の数が300人以下である事業主のことです。パートタイム・有期雇用労働法は同一労働同一賃金の別名です。

同一労働同一賃金の目的は非正規雇用労働者の待遇改善のためであって、待遇改善見直しの結果、労働者の待遇を下げることがあってはいけません。同一労働同一賃金の対象者は非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)です。

正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)となった場合は対象から外れますので自身の雇用形態を確認しておく必要があります。非正規雇用労働者は労働者の約40%いると言われています。現在は正規雇用労働者である人も、いつ自分が非正規雇用労働者になるか分かりませんので同一労働同一賃金の制度に関する知識は持っておいて損はしません。

2020年に施行される同一労働同一賃金のポイント

労働者の待遇規定を明確化する必要がある

同一労働同一賃金によって改善の必要があるのは賃金だけではありません。そのため、福利厚生やその他の待遇面についても明確化する必要があります。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の職務内容を明確化して同じであれば同じ待遇をしなければいけません。違うのであればその違いによって待遇を設定しなければいけません。

説明義務が強化された

非正規雇用労働者は正規雇用労働者との待遇面での違いについて説明や理由を求めることが出来ます。企業は非正規雇用労働者と正規雇用労働者との待遇差について説明請求があれば応じなければいけません。また、説明を求めた非正規雇用労働者に対して不利益が起こらないようにしなければいけません。

同一労働同一賃金のメリット

非正規雇用労働者のモチベーションアップになる

非正規雇用労働者は同一労働同一賃金の施行により、同じ仕事をしているのに正規雇用労働者よりも悪い待遇で働いていたことへの不満が解消されます。働き方の多様性からライフスタイルに合わせた働き方をする非正規雇用労働者にとって待遇面の改善はモチベーションアップにつながります。

人材の確保や生産性の向上が見込める

同一労働同一賃金では賃金だけでなく待遇面での改善もガイドラインに入っています。非正規雇用労働者が教育訓練などで職務に必要な知識やスキルを身に付けることができれば生産性の向上が期待できます。正規雇用労働者でも非正規雇用労働者でも企業にとっては労働者の能力が向上することは良いことです。

業績アップにつながる

また、同一労働同一賃金を制度として取り入れることにより、雇用者から企業に対する評価もアップします。結果的に優秀な人材が流失してしまうことも防ぐことができます。新たに人材を採用するに当たっても同一労働同一賃金を制度として取り入れていることによるメリットは大きいです。人材不足の解決に役立ちます。

同一労働同一賃金のデメリット

人件費が高くなってしまう可能性がある

非正規雇用労働者の待遇を改善することで賃金以外にも福利厚生や教育費などが発生します。必然的に費用の負担が多くなります。非正規雇用労働者が多いほど費用負担が増えてしまう可能性が高く同一労働同一賃金のデメリットです。ただ、将来的に見れば同一労働同一賃金を制度として取り入れることにより、人材不足の現代でも人材を確保しやすくなります。他社との差別化にもなりますのでデメリットとして捉えるべきではないのかもしれません。

非正規雇用労働者の受け入れ先が減る可能性がある

同一労働同一賃金によって費用の負担が増えると非正規雇用労働者の削減をする企業も出てきます。また、新たに非正規雇用労働者を採用する企業も減る可能性があります。非正規雇用労働者よりも正規雇用労働者の採用に力を入れるようになる企業が増える可能性もあります。そうなると非正規雇用労働者は仕事に付けない可能性も出てきます。

今回は2020年に施行される同一労働同一賃金について紹介しました。働き方改革によって日本の雇用情勢も少しずつ変化していくことが予想されます。特に罰則はありませんが、総合的に考えて同一労働同一賃金の制度は企業にとってもメリットが大きいと思われます。今いる人材の流失を防ぎ、新しい人材を確保する上でも有効な対策です。

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