独立開業の前に知っておきたい立地評価のポイント

更新日:2023.03.24ビジネス豆知識

開業する際の立地

独立開業において重視されるのが、物件の「立地」です。どれだけ魅力的なサービスを提供しても、立地が悪ければお客様は増えないでしょう。そこで今回は、独立開業にしっておきたい「立地評価」の基礎知識やチェックポイントをご紹介します

立地の種類とは

テナント物件における立地は、大きく分けて2種あります。ひとつは、駅近郊のテナントビルにある「駅前型」です。駅の利用者をターゲット層にしており、徒歩や自転車での来店を想定します。“ビルイン型”とも呼ばれ、単独客が多かったり、見込み客を把握しやすかったりする特徴があります。

もうひとつは、郊外の大型道路に面した「郊外型」です。車利用のファミリー層やグループ客をターゲットとします。郊外型の立地は、適度な交通量および駐車場への入りやすさが重視されます。また、物件の面する道路が片側二車線以上の場合、反対側からの入りやすさも確認する必要があるでしょう。

立地調査の基本的な考え方

立地評価において大切なのは、内外の空間情報を総合的な観点で捉えることです。単に「人通りが良い=好立地」とはならず、良い面・悪い面を踏まえて評価しなければなりません。

上記の空間情報とは、「面」「線」「点」といった3つの要素から構成されます。これらは立地評価における評価軸となり、物件・土地の良し悪しを決める重要なファクターです。

◇面(商圏):候補物件の周辺エリアや地域のこと
◇線(動線):交通網の利便性や競合との位置関係のこと
◇点(物件):物件自体の良し悪しのこと

立地評価を行う際、もっとも大きな評価軸である「面」からチェックします。これは物件付近の「商圏(商圏人口)」を指し、どの範囲・距離まで集客可能かの判断基準となります。

商圏は、周辺地域における需要と供給のバランスによって良し悪しが変わります。例えば、ラーメン屋を独立開業するとしましょう。候補地の周辺に競合店が少なく、さらに学生・サラリーマンなどの需要が見込める場合、ラーメン屋の開業に適したエリアといえます。この様に、飲食店などの独立開業においては「需要が多く供給が少ないエリア」を狙うのが基本です。

立地評価における「線」は、候補物件までの動線を指します。交通網の利便性をはじめ、店頭前通行量や最寄り駅からの経路など、複数の視点から評価します。「候補物件への近づきやすさ」といい換えた方が、分かりやすいかもしれません。「点」は物件そのものの評価軸であり、物件の視認性や店舗構造から評価します。例えば、敷地面積や物件の種類(スケルトン物件or居抜き物件)、階層数などを現地で確認します。

「面」の調査方法とは?

「面」の調査とは、いわゆる「商圏調査」のことです。商圏(マーケット)の特徴を調査し、見込み客の人口や競合の数、出展余地を把握します。基本的な調査手順は、以下の通りです。

1.地図で物件周辺の地形を確認
2.物件を中心に1km・2km・3kmの円を地図に書く
3.円内の寸断要素(川や池など)や幹線道路の有無を確認
4.見込み客が住んでいそうなエリアを確認
5.見込み客が集まりそうなスポットを確認
6.それぞれを現地で確認する

前提として、商圏調査は時間帯・曜日・場所・天候に結果が左右されます。一度では十分なデータが集まらないため、複数回に分けて現地調査するのが基本です。また「見込み客が住んでいそうなエリア」は、最新の統計データをもとに確認します。総務省統計局が毎年公表する「人口推計」、政府統計ポータルサイトの「e-Stat(https://www.e-stat.go.jp/)」が役立つでしょう。

現地調査に加え、需要と供給の将来予測も重要です。例えば、学生をターゲットとした飲食店を開業するとします。学生需要は、商圏における学生人口の推移から予測可能です。直近10年の人口が増加傾向にあれば、数年先まで需要を維持すると考えられます。供給については、商圏における競合数で予測します。競合が少ない商圏には出展余地があり、さらに一定の需要が存在すれば、そこは「開業に適したエリア」と判断できます。

「線」の調査方法とは?

「線」の調査では、物件の周辺環境と人の流れを把握します。調査場所は、物件前の路上(通り)でし。見込み客を含めた人通りの状況を調べ、適切な動線を得られるか評価します。数取機を使用し、時間帯・曜日・天候別で人通りの状況を調べましょう。

また、以下も項目も確認します。

◇物件と信号の距離
◇物件前の大型商業施設の有無
◇街灯の数

物件と信号の距離が近いほど、信号待ちの人の視野に入りやすくなります。これは大型商業施設も同様であり、当該スポットからの流入が期待できるでしょう。どちらも集客に直結するため、漏れなく確認したいところです。また、街灯の数も確認します。街灯の多いエリアは「にぎわっている印象」を与えるほか、時間帯別の人口差も少ない傾向にあります。展開する事業によりますが、多いに越したことはありません。

「点」の調査方法とは?

物件の良し悪しは、事業における費用対効果を左右します。以下の調査項目を例に、高い費用対効果が得られる物件か評価しましょう。

◇賃料
◇敷金と礼金の有無
◇敷地面積
◇物件のタイプ(スケルトン物件か居抜き物件)
◇階数(ビルイン型)
◇間口の大きさ
◇看板の設置の可否

賃料は、商圏内の家賃相場と比較したうえで判断します。敷金・礼金の有無もオーナーあるいは不動産業者に確認して下さい。敷地面積は、売り上げおよび集客の上限を決める要素です。面積が広いほど有効ですが、その分だけ賃料や光熱費が高くなります。

物件のタイプは、建物の躯体のみ残した「スケルトン物件」と内装付きの「居抜き物件」に分かれます。前者は内装を自由に変更できる反面、相応のコストがかかります。後者は天井・床・壁・厨房・トイレなどをそのまま流用できるため、改装費用が安くなります。厨房のみを残した“一部居抜き”という物件もあり、事業によっては狙い目です。階数は、通行人の視認性を高める1階が理想です。家賃は割高となりますが、間口(物件が道路に面する幅)を広く確保できるなどのメリットがあります。反対に注意したいのが、3階以上の物件です。通行人の視認性が低下するほか、エレベーターの輸送力が集客に直結します。3階以上の物件を検討する場合、エレベーターの設置台数と最大定員を確認しましょう。

看板を設置できれば、物件の認知度が大きく向上します。ひとえに看板といっても、ポール看板・壁面看板・袖看板・立て看板といった種類があります。設置できる看板の種類、大きさには制限があるため、不動産業者などに確認を取りましょう。

ご紹介した立地評価のチェックポイントは

1.商圏の特徴と質を見極める
2.見込み客の人口状況を見極める
3.将来予測を含めて需要と供給のバランスを見極める
4.競合の状況と出展余地を見極める
5.物件までの動線の良し悪しを見極める
6.物件自体の良し悪しを見極める

以上の6点となります。上記チェックポイントをクリアしたエリア・物件は、開業に適しているといえます。もし立地評価が難しい場合、不動産業者などの専門家に相談すると良いでしょう。商圏調査を専門とするコンサルティング会社もありますので、必要に応じて活用します。立地の良し悪しは、集客に直結します。開業後の変更はできませんので、慎重に選ぶことをおすすめします。

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