2022年の宅建業法改正で何が変わる?
更新日:2023.10.23秘書代行2022年5月18日から、宅地建物取引業法(宅建業法)の改正法が施行されます。今回の法改正で、不動産取引の手続きは進めやすくなると期待されています。あらかじめ何が変わるかを理解しておけば、速やかに対応できるでしょう。そこで以下には、改正法の主な変更点や手続きにおける注意点、また法改正により電話での質問が増えた時に電話代行を活用するメリットなどをご紹介します。
目次
宅建業法改正の主な変更点
2022年5月から施行される改正法の主な変更点は、不動産取引の電子契約が可能になるところです。さまざまな手続きで宅地建物取引士の押印義務は廃止され、各種書面は電磁的方法による交付が認められます。
宅地建物取引士の押印義務は廃止
今回の法改正に伴い、これまで不動産取引の手続きで宅地建物取引士に課されていた押印義務は廃止されます。
不動産取引の大まかな進み方は、以下の通りです。
- 不動産の売却・購入の申し込み
- 媒介契約の締結
- 重要事項の説明
- 売買契約の締結
- 対象物件の引き渡し
上記のうち、法改正で押印義務が廃止される手続きは、媒介契約締結、重要事項説明、売買契約締結の段階です。新たな法規定によると、いずれの手続きでも宅地建物取引士は押印義務を負いません。従来は義務であった押印が不要になれば、不動産取引の手続きは以前よりスムーズに進められると見込まれています。
電磁的方法による書面交付の承認
押印義務の廃止とともに、今回の法改正が掲げる大きな変更点のひとつは、電磁的方法による書面交付の承認です。改正法によると、今後の不動産取引では各種書面の電子化が認められます。従来と異なり、電子メールやUSBメモリによる交付、あるいはWebページからからダウンロードする方式でも問題ありません。
実際に電磁的方法での交付が承認されるケースは、媒介契約締結、重要事項説明、売買契約締結の手続きで必要書類を用意する場合です。また物件情報を指定流通機構のレインズに登録した際も、その証となる書面は電磁的方法で交付できます。電磁的方法による書面交付の承認も、押印義務の廃止と同じく不動産取引の円滑化につながると期待されています。
宅建業法が改正された要因
2022年5月から上記の通り宅建業法が改正される主な要因は、政府がIT戦略としてデジタル社会の形成を目指しているためです。宅建業法改正の根拠には、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」があります。同法は、デジタル社会の形成により「日本経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福に寄与する」目的で制定されました。
今回の宅建業法改正も、上記の目的にもとづく関係法律の整備の一環です。不動産取引で押印義務を廃止するとともに電子化された書面の交付を認め、国民の利便性向上や負担軽減を図っています。この法改正で将来的には不動産取引の電子契約が可能になり、コスト節減や手続きの省力化など、多くのメリットがもたらされると予想されています。
デジタル化に伴う注意点
不動産取引をデジタル化した場合に気をつけたい注意点は、当事者のIT環境が整備されているかどうかです。電子書面を交付する際は、法的な要件を満たしている必要があります。
IT環境の確認は不可欠
宅建業者が不動産取引の手続きをデジタル化する時は、どれくらい当事者のIT環境が整っているかの確認作業が不可欠です。改正法で電子化した書面の交付が認められても、当事者全員が対応できるとは限りません。今後の手続きでトラブルを防ぐには、どの方法であれば問題ないかの事前確認が求められます。
国交省が用意した実施マニュアルでは、宅建業者が利用するソフトウェアやWebページのダウンロード形式に、当事者が対応しているかを確かめておく必要があると指摘しています。それぞれのIT環境に大きな差異があると手続きの妨げとなるリスクがあるため、事前確認は怠れません。
電子書面を交付する際の要件
国交省の実施マニュアルでは、電子書面を交付する際の要件について以下の通りに定めています。
- 説明の相手方等が出力することで書面(紙)を作成できる
- 電子書面が改変されていないかを確認できる措置を講じている
上記の2点は、いずれも宅建業者が不動産取引で電子書面を交付する時にクリアする必要のある前提条件です。とくに、電子書面が改変されていないかを確認できる措置は重要です。手書きに比べると、デジタルデータは改変したことが分かりにくいためです。
不正な手続きによるトラブルを防ぐうえで、改変の有無をチェックできる措置は重視されています。国交省の実施マニュアルは、この点について宅建業者はチェック方法を確実に理解してもらう必要もあると説明しています。
交付後の確認も大切
宅建業者が不動産取引で電子書面を交付した際、その旨を交付後に確認する作業も大切です。書面をメール送信した場合、送信後に電話などで連絡すると早めに内容を見てもらえるでしょう。Webページからダウンロードする方式を選んだ時は、その旨や掲載URLを電話やメールで伝えたほうが、手続きはスムーズになると考えられます。
また、デジタルデータは、ファイル形式が変わると文字化けや文字欠けを起こす可能性があります。これらのトラブルを防ぐには、何か不具合が見られないか、当事者同士での相互チェックも必要です。そのため、電子書面の交付後には、宅建業者と受信相手の双方による書面内容の確認作業が欠かせないと考えられています。
業務負担は電話代行で軽減
不動産取引の手続きが忙しく電話対応まで手が回らない場合、少しでも業務負担を軽減するなら電話代行の活用は効果的です。弊社は、宅建業の関係者様に向けたサービスとして「不動産専門 電話代行」や「士業専門 電話代行」を用意しています。
電話代行を活用するメリット
今回の法改正に伴い、電子書面を交付した後には、記載内容に不具合がないかを電話口で確認する場面が増えるかもしれません。着信が殺到した時、これまで通りの人員では手が回らなくなる可能性があります。
電話代行を活用すると、コール数が多くなる時間帯に合わせて人員配置できるため、着信の取りこぼしを減らせます。また、終日にわたって利用する必要はなく、時間帯を決められるため、余計な人件費は発生しません。いつでも電話がつながりやすい受付窓口を整えるとともに、経費も節約できることから、電話代行はおすすめのサービスといえます。
「不動産専門 電話代行」の特長
弊社が提供する「不動産専門 電話代行」は、不動産関係の電話対応に特化したサービスです。宅建業は、さまざまな不動産関係の仕事のうち、物件取引や仲介業務と深く関係しています。今後、法改正により不動産取引の電子契約化が進めば、電子書面のデータについて電話での質問や確認が増えると予想されます。
「不動産専門 電話代行」は、担当オペレーターが事前研修で業界用語や専門的な知識を学んでから現場業務に臨みます。専門性の高い用件でも、落ち着いて応対できる特長があります。
「士業専門 電話代行」の特長
弊社の「士業専門 電話代行」は、宅地建物取引士をはじめ、士業関係の電話対応に特化しています。士業に関わる職場の場合、法律関係の電話が舞い込むケースは少なくありません。電話対応する事務員は、一通りの事務作業だけでなく法的な知識にも通じていることが求められます。
「士業専門 電話代行」の担当オペレーターは、事前研修などで必要最低限と考えられる専門知識を教わります。通常の電話代行に比べると、法律方面の用件にも慣れている点が特長的です。それぞれのサービスには若干の違いがありますので、どちらを利用すればよいか迷った時は遠慮なく弊社にご相談ください。
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