司法書士と行政書士の違いは?

2020.03.26スタッフブログ
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「士業」と呼ばれる職業にはいくつか種類があり、弁護士や税理士の様に一般の人にも業務内容が認知されているものもあれば、そうでないものもあります。特に区別しにくいのが「司法書士」と「行政書士」ではないでしょうか。今回は両者をいくつかの視点で比較した後、それぞれの独占業務・重複業務についてご説明します。

士業

 

3つの視点で考える司法書士と行政書士の違い

よく似た名前の司法書士と行政書士。しかし、両者はさまざまな面で違いがあります。ここでは3つの視点で両者を比較します。

 

業務内容の違い

司法書士と行政書士は、いずれも法律に則った書類作成が主な仕事です。しかし、作成した書類の提出先が異なります。

たとえば、相続登記や会社設立登記の様に、裁判所や法務局・検察庁などに提出する書類を作成するのは司法書士です。一方、自動車関連の手続きや飲食店の営業許可の様に、国や地方公共団体の行政機関に提出する書類を作成するのは行政書士の仕事です。

また、司法書士は簡易裁判所で取り扱う裁判(訴額140万円以下)の代理人になることが認められました(認定司法書士制度)。一部の司法書士は、簡易裁判所が取り扱う訴訟案件に関する業務を行えます。

 

資格取得の難易度の違い

司法書士と行政書士は、それぞれ「司法書士法」「行政書士法」に基づく国家資格。試験もともに年1回行われていて、憲法や民法・商法など、共通した試験科目もいくつかあります。しかし、その難易度には多少開きがあります。

司法書士試験の合格率は、3%~4%程度。一方、行政書士試験の合格率は10%前後で推移しています。司法書士試験より受かりやすい面もあるせいか、行政書士試験のほうが受験者数は多い傾向です。

 

職業人口の違い

2018年の統計では、司法書士の数が22,488人なのに対して、行政書士の数は46,915人と倍以上の差。両者の数に開きがあるのは、試験難易度の違いと関係があるかもしれません。

 

司法書士の独占業務

司法書士法では、司法書士が独占的に行える業務を定めています。主な独占業務は「登記」と「供託」です。

 

登記

登記とは、主に不動産について権利変動の内容を外部に公示する作業を指します。たとえば、ある不動産が相続・売買・贈与された際、その取引は誰から誰になされたのか、今の所有者は誰なのかなどを不動産登記簿に記載する作業です。不動産登記簿に記載することで、対外的に「この不動産は私のものです」と主張できます。司法書士は、この不動産登記の専門家です。

また、不動産登記以外にも、会社設立にともなう登記や商業登記なども司法書士が行います。

 

供託

供託とは、給付の目的物(金銭や有価証券など)を供託所に寄託して債務を免れる制度です。

例として、BさんがAさんから100万円を借りたとします。借りた100万円について返済の用意ができ、Aさんに連絡するもののつながらない。連絡はついたが返済を拒まれた。これでは、Bさんは100万円の借金を返済できず、利息がたまってしまう一方です。

この様な場合に利用するのが供託という制度です。Bさんは、100万円を供託所に預け、「Aさんに渡してください」と手続きすることで100万円の借金を弁済したことになります。これを「弁済供託」と呼びます。弁済供託の他には、担保供託・執行供託・没収供託・保管供託などがあります。司法書士は、これらの供託手続きの代理人として業務を行います。

 

行政書士に独占業務はあるのか

行政書士にも有資格者のみ認められる業務がいくつかあります。代表的なものをご紹介しましょう。

 

許認可申請書類の作成

飲食店の営業許可や古物商の許可・酒類販売業者の許可などの各種許認可関連の手続きは、基本的に営業を予定している住所地の管轄役所で行います。この手続きの際に提出する書類は、行政書士の独占業務です。

 

自動車関連の手続き

自動車を購入すると、自動車登録や車庫証明が必要になります。また、廃車にする際は廃車手続きが必要になるなど、自動車関連の手続きは煩雑です。

運輸支局や検査登録事務所でこれらの手続きを行うのも、行政書士にしか認められていません。タクシーやバスなどの運送事業許可もここに含まれます。

 

外国人に関する手続き

外国人が日本に住む場合、管轄の行政機関に届出をしたうえで、「在留資格」の認定を受ける必要があります。この在留資格に関わる手続きも行政書士の独占業務です。たとえば、初めて在留資格を取得する場合はもちろんのこと、在留資格の変更手続きや更新手続きも行政書士が行います。

また、永住権の許可申請や再入国の許可申請も行うことができます。

 

遺産分割協議書の作成はどちらに依頼すべきか

上記のように、司法書士と行政書士には独占業務がある一方、どちらの資格でも行うことができる重複業務も存在します。その代表例が遺産分割協議書の作成です。

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で決定した内容をまとめた文書のことを指します。法律上必ず作成しなければならないものではありませんが、「納得いかないから話し合いをやり直そう」と別の相続人が言い出した時など、相続後のトラブルを防ぐために重要な役割を果たします。

問題は、遺産分割協議書の作成を司法書士と行政書士のどちらに依頼するか。これについては遺産の目録に不動産が含まれているかどうかが基準になるでしょう。

前述のとおり、被相続人から不動産を相続した場合、「相続登記」を行うことができるのは司法書士のみです。つまり、遺産の中に不動産があるにもかかわらず行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合、相続登記の段階で司法書士に依頼し直さなければなりません。費用が二重にかかるうえ、相続経緯の説明も必要です。反対に、遺産の目録に不動産がないことが分かっているなら、どちらに遺産分割協議書の作成を依頼してもよいでしょう。

遺産分割協議書の作成以外の重複業務についても、どちらに依頼すべきかご説明します。

 

定款作成と認証手続き

会社を設立するためには、定款の作成や認証手続きを行う必要があります。そして、この作業も司法書士と行政書士の重複業務です。

この点については、司法書士への依頼がふさわしいかもしれません。会社の設立登記は司法書士の独占業務です。定款の作成から認証手続き・登記まで一連の作業として行ってもらうためにも、司法書士にまとめて依頼するほうが便利です。

また、商号や目的の変更・増資減資など、会社設立後に必要となる手続きも司法書士の独占業務です。そのため、設立後のサポートも期待できます。

 

遺言書の作成

遺言書は自分でも作成できますが、さまざまなルールがあり自分で書いた遺言書が無効になってしまうケースも少なくありません。そこで司法書士もしくは行政書士に依頼しようと考える人もいるでしょう。

遺言書の作成については、遺産の目録に不動産がある場合は司法書士に、ない場合はどちらに依頼しても構いません。理由は遺産分割協議書の作成と同様で、後の相続登記が司法書士の独占業務だからです。

また、遺産の額が大きい・目録が多いなどの理由から「親族間でトラブルになりそう」だという場合は、後の紛争解決も見据えて遺言書の作成を弁護士に依頼するという選択肢もあります。

 

司法書士も行政書士も、それぞれ法律に関わる書類作成のプロであることに変わりありません。書類の届出先や作成書類の内容により、専門分野が分かれます。法的な書類の作成を頼む場合は、それぞれの専門分野を理解しておくことが大切です。

 

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