裁判。本人訴訟のメリット・デメリット

2020.03.18スタッフブログ
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裁判というと弁護士に依頼する印象が強くなりますが、弁護士をつけずに本人が裁判を進めることも可能です。請求金額が少額の場合は、本人訴訟にメリットが大きいケースもあります。ただし、弁護士をつけないと、法的に重要な証拠を見逃してしまったり、適切な対応が取れなかったりと、デメリットもあります。弁護士をつけるかつけないかは慎重に判断しましょう。こちらでは、本人訴訟とはどんなものなのかご紹介します。

裁判官

 

本人訴訟とは?

「本人訴訟」とは、弁護士に依頼せずに当事者本人が裁判を進めることを指します。本人訴訟には、原告が本人のケースや被告が本人のケース、両方とも本人であるケースがあります。

日本は、本人訴訟の割合が高い国です。海外には弁護士に依頼しなければ裁判を起こせないと法律で定められている国もありますが、日本の裁判にはその様な決まりはありません。2016年の地方裁判所の既済事件数は148,016件でしたが、そのうち本人訴訟件数は64,190件でした。全体の57%が本人訴訟にあたります。

本人訴訟が多いのは、「金銭請求の訴え」です。貸金返還請求や損害賠償請求訴訟といった金銭に関する訴訟では、弁護士に依頼せずに裁判を進める方が少なくありません。反対に、医療過誤訴訟や公害訴訟、労働に関する訴訟は、本人訴訟が少ない分野です。これらの分野の裁判は難しく、弁護士をつけないで勝訴するのは難しいため、ほとんどの方は弁護士に依頼しています。

本人訴訟のメリット

本人訴訟の大きなメリットは、依頼費用がかからないことです。弁護士に依頼すると、最低でも10万円以上の費用がかかります。請求額が少ない場合は、依頼費用のほうが高くなってしまうこともあり得ます。請求金額のほうが高い場合でも、必ず勝てるとは限りません。請求額が少額である場合は、本人訴訟を選んだほうがメリットは大きい場合があります。

また、本人訴訟であれば、自分のいいたいことを主張できるのもメリットです。自分で証拠を選別し、主張は書面で伝えられる様に作成。裁判官に自分の考えをそのまま伝えられます。弁護士に任せずに、自分自身で主張したい場合には本人訴訟を選んでみても良いかもしれません。ただし、法律的に有利になる主張と、自分のしたい主張が異なるケースもあるため、注意が必要です。

本人訴訟のデメリット

本人訴訟にはデメリットもあるため、気をつけて下さい。注意点をご紹介します。

法的な主張を理解しにくい

まず、法的な主張が理解しにくいことです。裁判で主張を通すためには、法的な理由がなければなりません。しかし、一般の方が訴訟する場合は法的な主張を理解しにくく、不利になるケースがあります。

手間がかかる

裁判を自分で進めるには、非常に手間がかかります。裁判の際は、大量の資料を適切な形で提出しなければなりません。また、資料の控えも保管しておく必要があります。普段の生活をしながら裁判の準備を進めるのは、非常に負担がかかるため、注意して下さい。

適切な対応ができないことも

裁判では、一般社会では行わない専門的な手続きや対応をする場面があります。適切な対応ができないと不利になりかねません。正しい形で提出しなければ、資料や証拠を受け付けてもらえない可能性もあるため、注意して下さい。

証拠の取捨選択を間違うおそれがある

裁判に勝つためには、主張の裏付けとなる証拠が必要です。しかし、一般の方にはどの様な事実が法的に有利になるのか判断するのは難しくなります。法的に重要な証拠を見逃してしまったり、自分に有利になると考えて提出した証拠が相手に有利に働いたりするおそれもあります。適切な証拠は何か判断する自信がない場合は、弁護士に依頼したほうが安心です。

勝率が下がる

司法研修所の「本人訴訟に関する実証的研究」によると、原告と被告がどちらも弁護士をつけた場合の原告の勝率は67.3%でした。一方、原告に弁護士がつき、被告につかない場合の原告の勝率は91.2%です。弁護士がつかない場合、勝率が大きく下がることが分かります。

この様に、本人訴訟を選べば弁護士への依頼費用はかかりませんが、デメリットも多くなります。訴訟の際は、慎重に弁護士をつけるかつけないか決めましょう。

本人訴訟の流れ

本人訴訟をする際の流れをご紹介します。

弁護士に相談する

本人訴訟をする場合でも、弁護士に相談することをおすすめします。依頼をしなくても、相談してアドバイスをもらうことは可能です。弁護士事務所の中には無料相談を受け付けているところも多いため、ぜひ行ってみましょう。弁護士事務所では、集めておくべき証拠や、自分の訴訟戦略に問題がないかといったことを確認すると役に立ちます。

主張を整理する

裁判に勝つためには、主張をまとめて、しっかりとした戦略を立てておく必要があります。裁判で主張したいことをあらかじめ決めておきましょう。また、目撃者の証言や、治療の領収書といった証拠も集めておく必要があります。

提訴する

提訴するためには訴状が必要です。裁判所のホームページに記載例が載っているため、そちらを参考にして書きましょう。また、訴状と一緒にどの様な証拠を提出したのかまとめた「証拠説明書」も提出する必要があります。資料は、裁判所の分と自分の分、被告の分として3部用意して下さい。被告の人数が多い場合は、人数分用意しましょう。

期日前の手続きをする

訴状を提出すると、裁判所から呼出状が届きます。同時に、相手に対しても裁判所から訴状と証拠書類が送られます。相手に反論がある場合、期日前に答弁書が届くため、よく読んでおきましょう。裁判では、相手の答弁に反論して、相手の主張が間違っていると訴える必要があります。ただし、相手がこちらの主張を認めた場合は、答弁書が送られてこないケースもあります。

第一回口頭弁論

第一回口頭弁論の日が来たら、遅れずに裁判所まで向かいましょう。当日は双方が提出した資料を確認しながら裁判を進めていきます。裁判の途中で、裁判官に和解できないか尋ねられるのが一般的です。口頭弁論は月に一回ほどのペースで何回か行われ、和解できない場合は最終的に判決が下ります。

判決

和解できない場合は判決言い渡し日が設定され、その日に判決が下ります。判決が出るまでには、最後の期日から1カ月ほどかかるのが一般的です。判決言い渡し期日には結論が読み上げられるだけであるため、出頭する必要はありません。判決書が自宅に届き、2週間後に判決が確定します。

判決が確定したら相手に支払いを求めることになりますが、払ってくれない場合もあります。その場合は、相手の財産を調べて強制執行しなければなりません。また、判決内容に不服があれば、控訴も可能です。相手が不服を感じた場合、相手側が控訴する場合もあります。控訴審に移行すると、一審判決による支払いを受けられません。

高額請求の裁判では弁護士に依頼を

少額訴訟の場合は本人訴訟にもメリットがあります。しかし、請求額が高額である場合や、相手側に弁護士がついている場合は、弁護士に依頼したほうが無難です。

高額な請求を本人訴訟で行うのはリスクが大きく、弁護士がついている相手に法律知識のない一般の方が対抗するのは難しくなります。また、裁判に勝てたとしても、相手が支払いに応じてくれないケースもあります。その様な場合は強制執行措置を取らなければなりませんが、その際は弁護士がついていたほうがスムーズに対応可能です。高額請求の裁判や、相手側に弁護士がついている裁判では、できるだけ弁護士に依頼する様にしましょう。

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