電話リレーサービスとは|対象者やできること
更新日:2023.06.02電話代行電話リレーサービスは、「きこえない人」と「きこえる人」の電話をつながりやすくする新しいサービスです。オペレーターの通訳により、双方の会話を支障なく進められると期待されています。あらかじめ電話番号を登録しておけば、いろいろな場面で活用できるでしょう。そこで今回は、電話リレーサービスの概要や実際に有効活用が見込まれるシーンをご紹介します。
目次
電話リレーサービスとは?
電話リレーサービスは、電話での会話に困難のある方と、他の方をつなぐ公共インフラとしてのサービスです。オペレーターが仲介し、利用者をサポートします。
サービスの目的
電話リレーサービスの目的は、電話利用において聴覚や発話に困難のある「聴覚障害者等」(以下「きこえない人」)と他の方(以下「きこえる人」)との会話をつなぐことです。電話は、明治期に利用が開始されてから現在まで主な連絡手段として幅広く活用されてきました。最近は携帯電話やスマホの普及もあり、連絡手段としての手軽さは増しています。
ただ、聴覚や発話が難しい場合に手話や文字を使ってコミュニケーションを取るのは容易ではありません。きこえない人にとっては、使い勝手の悪いツールともいえるでしょう。そんな問題を解消するために考え出された方法が、電話リレーサービスです。きこえない人の手話や筆談をオペレーターが通訳し、誰もがスムーズに電話でつながるサービスの提供を目指しています。
制度化の背景
電話リレーサービスが公共インフラとして制度化された背景には、きこえない人が電話を利用する際、多くの問題が生じている状況があります。最近の電話機は多彩な機能を備えていますが、それでも意思伝達の中心手段は音声です。顔の表情や身体、文字による意思を伝えるのは、基本的に適していません。
一方、きこえない人が自分の意思を伝える際には、手話や筆談を用いるケースが多く見られます。電話を使う場合も、音声のみを頼りにする通話は困難を伴います。実際、日常的なコミュニケーションから行政手続き、仕事上の連絡、さらに緊急時の救急要請まで、多岐にわたる場面で電話利用に支障があったとの声は少なくありません。
国はきこえない人の訴えに応える必要があると認識し、電話リレーサービスを公共インフラとして制度化するに至ります。
サービスの仕組み
現在の電話リレーサービスは、きこえない人と、きこえる人の通話をオペレーターが仲介するスタイルです。きこえない人は、電話の利用時にも手話や筆談を使えると意思伝達しやすくなります。一方、電話機は必ずしも手話や筆談によるコミュニケーションに対応できるとは限りません。
この問題を取り除く担当者が、通訳オペレーターです。きこえない人とはインターネットなどを経由しながら手話や文字チャットで会話し、きこえる人とは電話回線などで連絡を取りつつ双方をつなぎます。
きこえない人が手話や筆談で伝えた内容は、オペレーターがきこえる人に音声などで連絡します。きこえる人が音声を使って話した時は、オペレーターが手話や文字できこえない人に伝える仕組みです。通訳オペレーターは音声だけでなく手話や筆談でもコミュニケーションを取れるため、双方向からの通話を支障なく進められます。
どんな場面で活用できるか?
電話リレーサービスは、日常生活をはじめ幅広い場面で有効活用できると見込まれています。事前に電話番号を登録しておくと、その番号で通話する時にサービスが利用可能です。
シーン1:家族や知人との会話
日常生活では、家族や知人との通話に活用できます。事前登録した電話番号を共有しておくと、お互いにサービスを利用しながら電話をかけられます。必要があれば、金融機関との連絡や宅配便の再配達など依頼する時も利用可能です。
シーン2:学校や塾への連絡
子どものいる家庭では、学校や塾への連絡が簡単になるでしょう。子どもは、急に体調を崩すことが珍しくありません。そんな時は、できるだけ早く学校や塾に伝える必要があります。あらかじめ登録番号を知らせておけば、こちらのサービスにより手間なく電話連絡を入れられます。
シーン3:店舗の予約など
電話リレーサービスは、店舗の予約などにも便利です。家族の誕生日には、席の予約とともにケーキも注文できます。料理のメニューやケーキの飾りつけに要望があれば、リアルタイムで細かくリクエストしても問題ありません。
シーン4:仕事の関係者との連絡
会社などで働いている方は、仕事の関係者との連絡にも使えます。勤務中は、職場で取引先と連絡を取ることも少なくないと考えられます。その際にこちらのサービスを活用すると、電話の際に生じる問題を解消できるでしょう。
シーン5:緊急時
とくに電話リレーサービスが効果を発揮すると期待されているのが、緊急事態に見舞われた時です。きこえない人も即座に緊急通報できるため、家族の体調が急変した場合や事故・災害の発生時、病院や警察と素早く連絡を取れます。電話リレーサービスは、他にも多くの場面で活用できます。現在、電話に関してさまざまな不便さを感じているなら、登録する価値は高いと考えられます。
サービス提供機関や料金について
電話リレーサービスを提供している機関や通話料の概要についてご紹介します。
サービスの提供機関など
現在、電話リレーサービスは以下に挙げる諸機関により提供および支援されています。
(一財)日本財団電話リレーサービス
電話リレーサービスの提供機関です。総務大臣の指定を受け、毎日24時間にわたり適正かつ確実にサービス提供する役割を担っています。
(一社)電気通信異業者協会
サービスを支援している機関です。こちらも総務大臣からの指定を受けています。公正かつ中立的な立場で、上記の提供機関に交付金を支給する業務などを担当しています。
特定電話提供事業者
身近にある固定電話や携帯電話の事業者は、特定電話提供事業者と呼ばれます。各事業者は、それぞれが利用する電気通信番号の数に応じて上記の支援機関に負担金を納めるのが義務です。特定電話提供事業者が納めた負担金はサービス業務の資金源となり、支援機関から提供機関に交付されると各種サービスが実施されます。
通話料金の設定
通話料は、電話をかけた側が負担するシステムです。きこえない人が発信する場合、月額料の有無により2つのプランが用意されています。
月額料ありの場合
月額料ありのプランは、1番号につき毎月178.2円の月額料が発生する設定です。固定電話にかけると通話料は5.5円、携帯電話であれば33円かかります。
月額料なしの場合
月額料なしのプランでは固定電話にかけた時の通話料が16.5円、携帯電話なら44円です。月額料は発生しませんが、発信時の通話料は月額料ありのプランより高くなります。
いずれも通話料は、1分あたりの税込金額です。ただし、緊急通報時のフリーダイヤルは、すべて無料です。月の途中に利用し始めると月額料は日割りで計算され、プラン変更は翌月の1日から適用されます。なお、きこえる人がきこえない人に発信した場合、特別な利用料は発生しません。
利用料金の支払い方法
利用料金の支払い方法は、クレジットカード、キャリア決済、払込票を使うパターンの3通りです。支払い方法は、利用登録時に自分で指定できます。
月額料は、初期パスワードを入力あるいは最初にログインした日付から発生します。月々の請求金額は、一通りの利用金額に消費税(10%)をかけた合計です。毎月、月末締めで計算され、翌月10日を期日として支払う流れになっています。
まとめ
電話リレーサービスは、きこえない人ときこえる人が、さまざまな場面でつながりやすくなると期待される仕組みです。電話の使い勝手にお悩みを抱えているなら、この機会にぜひ活用してみるとよいでしょう。
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