個人事業主なら加入するべき?保険のいろいろ
更新日:2023.03.31スタッフブログ企業に属さない働き方がクローズアップされている昨今、個人事業主として独立したいと考えている方も多いのではないでしょうか。ただ、個人事業主は利益も責任もすべて自分に降りかかるのが特徴です。病気や失業など、万が一のときも自ら対応しなければなりません。少しでもリスクを減らすために、さまざまな場面を想定して提供されているのが各種保険です。今回は、個人事業主の方におすすめしたい保険の種類についてご紹介します。
目次
社会保険制度について
日本では、病気やけが・障害・失業など、さまざまなリスクに対して国や地方公共団体が公的に補助する「社会保険制度」が整えられています。これは日本国憲法25条に規定されている生存権を具体化した制度です。
社会保険制度には以下の3つの区分があります。
- 医療
- 年金
- 雇用
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
医療に関する社会保険制度
医療に関する社会保険制度には、「国民健康保険」と「健康保険」があります。国民皆保険制度が導入されている日本では、国民はどちらかの医療保険に加入しなければなりません。国民健康保険は、75歳以上を除く健康保険に加入していない国民全員が加入しなければならない医療保険です。個人事業主は、国民健康保険に加入することになります。自治体が運営している医療保険で、国民皆保険制度の根幹をなす仕組みです。
健康保険は、会社経営者や会社員が加入しなければならない医療保険です。保険料の支払いを会社と分担する点が国民健康保険とは大きく異なります。
年金に関する社会保険制度
年金に関する社会保険制度には、「国民年金」と「厚生年金保険」があります。国民皆年金制度が導入されている日本では、国民は何らかの公的年金に加入しなければなりません。国民年金は、すべての国民が加入しなければならない年金制度です。加入者の属性によって第1号被保険者から第3号被保険者に分かれ、自営業者は第1号被保険者に分類されます。
厚生年金保険は、健康保険と同様会社経営者や会社員などが加入しなければならない年金制度です。保険料を会社と折半して負担する点も健康保険と同様です。厚生年金保険加入者は、厚生年金保険料を納めることで国民年金保険料も納めたことになるため、別途国民年金保険料を納める必要はありません。
雇用に関する社会保険制度
雇用に関する社会保険制度には、「雇用保険」と「労災保険」があります。個人事業主は、誰かを雇用している場合のみ対象となります。
生命保険
生命保険は、個人事業主に限らず、多くの方が万が一の時に備えて加入している保険です。私たちの生活にもなじみ深い生命保険ですが、提供している会社も多く、どれを選ぶべきか分からないといった声も耳にします。生命保険には、以下の3つの種類があります。詳しく見ていきましょう。
定期保険
契約期間が定められている生命保険を「定期保険」と呼びます。期間内は保険を納め続ける必要がありますが、万が一の時は保険金の受け取りが可能です。掛け捨て保険のため、満期を迎えた場合でも保険料が返還されることはありません。ただし、その分保険料を安価に抑えられる特徴があります。
終身保険
保障が一生涯続く生命保険を「終身保険」と呼びます。加入しておけば、万が一の時の支えとなるため、残された家族に向けた経済的な備えとしての役割も果たします。満期が存在しないため保険料の返還もありませんが、途中解約によって解約返戻金の受け取りが可能です。保険料を一定の年齢までに支払い終えるタイプと、生涯保険料を払い続けるタイプがあります。
養老保険
保険期間が定められている生命保険のなかで、満期返戻金のあるものを「養老保険」と呼びます。万が一の時に備えるだけでなく、老後の生活資金にもなることから、貯蓄性の高い保険として人気です。その分、毎月の保険料は高くなる傾向にあります。
個人年金保険
個人年金保険は、民間の生命保険会社が取り扱っている年金保険です。契約時に受給年齢を決め、その年齢になると年金の受け取りがスタートします。国民年金のみしか支払っていない個人事業主は、厚生年金も支払っている会社員と比べて将来の年金受給額が低額になる可能性が高くなります。そのため、民間の個人年金保険に加入し、老後の生活に備える方が増えています。
地震保険
地震保険は、地震・噴火・津波などによって建物や家財に損害が出た場合に保険金を受け取れる制度です。特に、地震や津波を原因とした火災は、火災保険では対象とならないため、地震保険で対応する必要があります。基本的には損害保険会社が取り扱っていますが、税金が投入され、政府も共同で運営しています。そのため、住んでいる地域によって支払う保険料の水準は変わるものの、保険会社によって保障内容や保険料が変わることはありません。
小規模企業共済
個人事業主には「退職」という概念がないため、退職金も存在しません。自分の意志で働き続けられるのはメリットでもあります。半面、退職金を受け取れないことから、仕事をしたくなくても続けざるを得ないという側面もあります。
そのデメリットを補完するために生まれたのが「小規模企業共済」です。国が作った法人の役員や個人事業主自身の退職金制度で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が取り扱っています。従業員が20人以下の個人事業主であれば加入できます。
毎月の掛け金は1,000~70,000円の間で自由に設定でき、支払い続けることで事業の廃業時に手当てを受け取れます。納付期間によって、最大120%相当額が返還されるため、加入する場合は早めがおすすめです。掛け金の納付期間が20年(240か月)未満の場合は元本割れとなってしまいます。
掛け金は、すべて確定申告の際に所得控除の対象となるため、節税効果もあります。少額からでも積み立てられるため、創業時のお金がない時期でも無理なく一定額を積み立てられるでしょう。
中小企業退職金共済(中退共)
個人事業主は、自身だけでなく従業員の退職金を準備するのも難しいケースが多く見られます。同じ境遇の事業主同士で掛け金を負担し、従業員の退職時に退職金を支払う制度が「中小企業退職金共済」です。業種によって従業員の数や資本金の額は異なりますが、従業員を雇っている個人事業主の多くが加入できます。
掛け金は、全額事業主負担となり、経費として計上できるため節税効果も見込めます。加入には従業員全員の同意を必要とし、掛け金は従業員ごとに設定可能など、従業員にとって利益になる工夫がなされています。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
取引先が倒産した場合、取引先が持つ財産は、債権額の割合に応じて債権者に分配されます。個人事業主は小規模な取引を行っているケースが多く、取引先が倒産しても十分な債権回収ができない可能性もあります。こういった非常時の資金繰りの悪化を防ぐために作られた制度が、「経営セーフティ共済」です。
毎月一定の掛け金を支払うことで、万が一の時に資金を無利子で借りられます。ただし、あくまで借り入れであり、返済が必要である点を忘れてはいけません。掛け金は全額経費扱いとなるため、非常時に備えつつ節税も可能です。
個人事業主は、給与所得者と異なり自分で事業を行っており、さまざまなリスクにも自ら対応しなければなりません。ただ、個人でできることには限界があるため、上記で紹介した保険を活用するのがおすすめです。保険の掛け金は経費計上できるものも多く、節税効果も見込めます。今回を機に、現在契約している保険を見直してみてはいかがでしょうか。
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