【ビジネスマナー】11月に使う時候のあいさつ
更新日:2024.11.01ビジネス豆知識手紙やメールに使われる「時候のあいさつ」は、時期によって言葉選びが変わります。また、あいさつには漢語調や口語調の2種類があり、それぞれ読み手に与える印象が異なるのも特徴です。本記事では、11月の歳時や記念日を振り替えつつ、この時期に使う時候のあいさつをいくつかご紹介します。ビジネス文章における例文も用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
11月の歳時や記念日
11月の行事や記念日には、以下のものが挙げられます。
【11月の歳時】
□七五三(11/15)
□ボジョレヌーボー解禁(11月第3木曜日)
□酉の市(11月の酉の日)
□新嘗祭(11/23)
□紅葉狩り(関東地方では毎年11月下旬が見ごろ)
□えびす講(11/20前後)
【11月の記念日・祝日・節気】
□犬の日(11/1)
□文化の日(11/3)
□立冬(11/6頃)
□良い夫婦の日(11/22)
□勤労感謝の日(11/23)
一部を除き、これらの歳時・記念日・祝日をビジネスにおけるあいさつに取り入れるのは難しいかもしれません。ただし、個人宛の手紙やメールであれば、積極的に取り入れたいところです。季節感の漂うあいさつになるため、読み手の心を掴みやすくなるでしょう。
また、以下に11月にまつわる言葉も列挙します。
□霜月:陰暦の11月
□雪待月:11月の異名
□神楽月:11月の異名
□神帰月:11月の異名
「霜月」は11月を代表する季節の言葉であり、時候のあいさつにも用いられます。詳しくは後述しますが、ビジネス文章においても多用されるため覚えておきましょう。
【漢語調】11月に使われる時候のあいさつ
ここでは、11月に使われる漢語調の時候のあいさつをご紹介します。以下はすべて「○○の候」で始まる漢語調のフレーズです。
【11月全般】深秋の候(しんしゅうのこう)
11月全般で使える候のあいさつが「深秋の候」です。これは「秋が深まり、冬が近づく季節となりました」ともいい換えられます。厳密には11月6日の立冬まで使えるあいさつですが、ビジネス文章などにおいては、11月全般~12月初期まで使用しても問題ありません。
【11月上旬】晩秋の候(ばんしゅうのこう)
“秋の終わり”を示すあいさつであり、10月後半から11月上旬にかけて使います。実際の季節が秋の終わりを迎えていなくても、使用して構いません。「立冬」を迎える11月上旬を目安に、「晩秋の候」を使うと良いでしょう。
【11月中旬】立冬の候(りっとうのこう)
「立冬の候」は、二十四節気における立冬の期間に使用するあいさつです。「立冬」は晩秋が過ぎ、気候的にも寒くなる時期の季語となります。毎年11月7日~11月21日頃が「立冬」にあたるため、11月中旬に使う時候のあいさつとして覚えておきましょう。
【11月下旬】向寒の候(こうかんのこう)
「向寒の候」は、11月下旬~12月初期にかけて使われます。「日を追うごとに寒さが厳しくなる季節」ともいい換えられ、冬の到来を感じさせるあいさつです。
【口語調】11月に使われる時候のあいさつ
漢語調の時候のあいさつは、格式や礼儀を示すために使われます。一方、ある程度親しい相手に対しては、堅く苦しさを感じるかもしれません。柔らかい表現を目指すのであれば、口語調の時候のあいさつを使ってみましょう。
【11月全般】紅葉の美しい季節となりました
秋の代名詞である紅葉を取り入れた時候のあいさつです。通年、関東圏では10月中旬~11下旬にかけて、紅葉の見ごろを迎えます。秋の情感が漂うあいさつとして、11月全般で使われるフレーズです。また山間部や地方では、紅葉の見ごろの時期が異なります。場合によっては、このあいさつが適さないこともあるでしょう。漢語調のあいさつは「二十四節気」に従う一方、口語調は実際の季節に合わせて使うのがポイントです。
【11月上旬】菊薫る今日この頃
菊は“三秋”と呼ばれる秋の季語です。ここでいう「菊薫る今日この頃」とは、「菊の花が匂い立つ秋の季節」といい換えられます。また、漢語調のあいさつにも菊を取り入れたものがあり、その場合は「菊花(きっか)薫る候」となります。いずれも同じ意味ですが、読み手に伝わる印象が異なる点を覚えておきましょう。
このほか「過ぎゆく秋に寂しさも感じますが」、「暦の上では冬を迎え、さすがに吹く風の冷たさも鋭さを増しております」なども有効です。
【11月中旬】吐く息も白くなり、冬近しを感じております
冬の到来を示す時候のあいさつです。非常に直接的な表現であり、気温が一気に下がる11月中旬~下旬にかけて使うと良いでしょう。同様に「木枯らしの身にしみる頃となりました」「朝晩の冷え込みが身にしみる季節となりましたが」なども有効です。実際の天候や気温に合わせ、上手く使い分けてみましょう。
【11月下旬】霜枯れの季節となり、冬の到来をいっそう間近に感じております
“霜枯れ”とは、表面に付着した霜によって草木が枯れることをいいます。11月上旬~中旬のあいさつに比べ、さらなる冬の到来を示すフレーズが中心です。「草木の露も霜へと変わり、冬の気配がいよいよ濃くなってまいりました」、「11月も終盤を迎え、冬支度にあわただしくされていることと存じます」などがあります。
ビジネス文章での正しい使い方
これまでご紹介した時候のあいさつを元に、ビジネス文章での使い方をご紹介します。まずは漢語調・口語調問わず、文章の基本構成をおさらいします。
【文章の基本構成】
□頭語(拝啓など)
□前文(時候のあいさつ)
□本文
□結びのあいさつ
□結語(敬具など)
頭語と結語に関しては、拝啓および敬具の組み合わせが一般的です。ただし、目上の方に送る文章ならば謹啓と謹白、返信ならば拝復と敬具など、相手や状況に応じて変更します。前略や草々など、前文を省略する頭語・結語の組み合わせもあります。その場合、前文としてつづる時候のあいさつは不要です。
【漢語調】ビジネス文章での例文
まずは漢語調の例文を見ていきましょう。
【例文】
謹啓 晩秋の候、貴社にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
(本文省略)
謹白
11月上旬に使われる「晩秋の候」を含めた例文です。時候のあいさつで季節感を演出しつつ、丁寧な印象を与えることができます。ポイントは頭語に謹啓を使っていることです。謹啓には「謹んで申し上げる」という意味があり、目上の方に送る文章に適してします。もう少し表現を和らげたい場合は、謹啓と謹白を背景・敬具の組み合わせに変えてみましょう。
【口語調】ビジネス文章での例文
続いて口語調の例文を見ていきます。
【例文】
拝啓 木枯らしの身にしみる頃となりました。近頃諸事ご多忙と承り、ご健康をお案じ申し上げます。日頃は何かとご高庇にあずかり、厚く御礼申し上げます。
(本文省略)
これから寒さに向かいますが、くれぐれもお体をおいとい下さい。
敬具
11月中旬に使われる「木枯らしの身にしみる頃となりました」を含めた例文です。口語調の時候のあいさつはバリエーションが豊富であり、当日の実感に合わせて選びます。例えば、七五三を迎える11月15日前後であれば、「七五三のお祝いで、千歳飴を持った子どもの晴れ着姿が心を和ませてくれます」といったあいさつも有効です。通年よりも寒さが厳しい場合、「襟元にマフラーの恋しくなる季節がやってきました」などもおすすめします。漢語調に比べ、書き手の言葉選びのセンスが求められるでしょう。
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