つみたてNISAとは?メリットや注意点
更新日:2023.07.07スタッフブログつみたてNISAは、少額で始める長期的な投資に向けて設けられた非課税制度です。年齢を問わず、多くの投資初心者が利用しやすい仕組みに特徴があります。適用範囲などを理解しておけば、これから投資を開始する時に有効活用できるでしょう。そこで今回は、つみたてNISAの基本的な仕組みを解説し、この制度のメリット・デメリットや注意点もご紹介します。
目次
つみたてNISAの仕組み・一般NISAとの違い
つみたてNISAは、個人による資産運用を支援するNISA(小額投資非課税制度)の1種です。一般NISAとは、いくつかの違いが見られます。以下では、つみたてNISAの基本的な仕組みや一般NISAとの違いをご紹介します。
基本的な仕組み
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資に対する支援を主目的とした税制優遇制度です。この制度は、日本在住で18歳に達していれば利用できます。適用条件は、次の通りに設定されています。
- 対象商品:公募株式投資信託と上場株式投資信託
- 非課税対象:投資信託への資産投資で得られた分配金や譲渡益
- 非課税投資枠:新規投資額で年間40万円
- 非課税期間:最長20年間
対象商品は、手数料の金額や分配金の支払い回数が少なく、長期・積立・分散投資に適したタイプに限られます。非課税対象は、購入商品を保有している時に得た分配金と売却時に獲得した譲渡益です。非課税投資枠は、各年に新規で投資した40万円が上限であり、前年の未使用分は繰り越せません。
最長で20年間の非課税投資枠が設定されており、最大800万円非課税で投資が可能です。この制度が定められた目的をふまえ、個人の小口投資を税制面でサポートする仕組みが特徴的です。
一般NISAとの違い
つみたてNISAと一般NISAとの主な違いとしては、対象商品・非課税投資枠・非課税期間・投資方法の差が挙げられます。一般NISAの対象商品は、公募・上場以外の株式投資信託や不動産投資信託も含まれ、つみたてNISAに比べると広範囲です。また、非課税投資枠は年間で120万円、非課税期間は5年間に設定されています。
投資方法を比較すると、つみたてNISAは積立に限られますが、一般NISAは積立だけでなく一括も適用範囲です。これらの違いを見た場合、つみたてNISAより一般NISAのほうが比較的に短期の大口・一括投資に適した制度と考えられます。資産投資で利用するNISAの種類、またNISA口座を開設する金融機関は、1年単位で変更できます。
なお、日本在住の18歳以上が利用できるところは、一般NISAも同じです。また、0歳から17歳向けには、ジュニアNISAが用意されています。
つみたてNISAのメリット・デメリット
つみたてNISAは、小口の個人投資家にメリットのある非課税制度です。ただし、適用範囲が狭いなどのデメリットも伴います。以下では、つみたてNISAの主なメリット・デメリットをご紹介します。
利用する時のメリット
少額の積立投資が税制面で優遇されるところは、つみたてNISAを利用する時の大きなメリットです。これまで投資経験がないと、最初から大口で投資するのは難しくなります。資産投資に慣れていない場合、小口投資であれば大きな損失が出るリスクは低く、安心感があります。つみたてNISAは、小口投資を優遇する仕組みに特徴があり、投資の初心者が利用しやすい制度です。
最低投資額が100円ほどに設定されている金融機関もあり、未経験から投資を始める時に有益といわれています。年間40万円までなら、分配金・譲渡益として得られる収入が20年間にわたり課税されないところも、つみたてNISAに特有のメリットです。小口投資は多額の利益を上げにくいため、分配金・譲渡益に対する税金の免除は大きな利点と考えられます。
対象商品は少額の長期・積立・分散投資に適したタイプ限定であり、投資経験が少なくても商品選びで失敗しないか心配せずに済むでしょう。また、いつでも引き出せる仕組みも、つみたてNISAのメリットに挙げられます。
投資に伴うデメリット
つみたてNISAを利用した投資に伴うデメリットは、適用範囲の狭さや損失を相殺できないところです。一般NISAは対象商品が一部の株式投資信託に限られず、投資方法は積立と一括のいずれも認められています。つみたてNISAは一般NISAより商品の選択肢が少なく、一括投資は適用外であり短期で大きな利益を上げにくいといわれています。
また、つみたてNISAは、NISA口座で損失が出た時に別口座の運用益で相殺する損益通算が認められていません。NISA口座は非課税であり、損失分は同一口座のなかで解消する必要があります。さらに、投資はリスクと無縁でなく、つみたてNISAを利用した少額の積立投資も元本割れになる可能性はあると指摘されています。今後、つみたてNISAの利用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けたほうがよいでしょう。
つみたてNISAを利用する時の注意点
つみたてNISAを利用する時は、利用条件などについて注意が必要です。適切な使い方を把握せず資産運用を開始すると、思わぬトラブルに見舞われるかもしれません。以下では、口座開設・金融機関の変更や買付けの方法に関する注意点をご紹介します。
口座開設・金融機関の変更
つみたてNISAと一般NISAともに、NISA口座は1人1口座が原則です。通常、投資信託の特定口座は複数の金融機関で開設できますが、NISA口座は1人につき1金融機関で1口座のみの開設が認められています。複数の金融機関に申込書を提出すると、受理されない場合もあるため気をつける必要があります。
金融機関の変更は、年に1度が基本ルールです。ただし、9月末までに手続きを完了しないと年内には変更できません。また、その年に変更前の金融機関でNISAを利用した場合、新しい金融機関への変更は翌年からになります。変更後は、以前のNISA口座を利用できなくなる点も、理解しておく必要があります。
買付けの方法
つみたてNISAで金融商品を買い付ける方法は、自動で定期購入する方式です。金融機関で積立契約を交わすと、指定した銘柄の金融商品が定期的に自動買付けされます。商品の一括購入、適用外の銘柄指定、不規則なタイミングでの買付けは、望めません。
現在、つみたてNISAで購入した金融商品は、NISA口座でのみ保有可能です。NISA口座にある商品は他の口座に移動できず、逆に別口座で保有している商品もNISA口座に移せません。NISA口座の損失は別口座で相殺できないため、指定銘柄を選ぶ時は慎重に検討する姿勢が求められます。
一般NISAとの併用は不可
つみたてNISAは、同一年における一般NISAとの併用が不可です。NISA口座は1人1口座が原則であり、2つのNISAを併用できません。金融機関で口座を開設する時は、どちらか一方を選ぶ必要があります。複数の金融機関で1つずつ開設する方法も、原則から外れるためNGです。NISAの種類は1年単位で変更可能ですが、変更する時は前年の10月~12月に手続きを終える必要があります。
変更手続きを完了すると、次の1年間は他方のNISAが使えなくなります。選択に迷った場合は、対象商品や買付けの方法がニーズに合うかどうかで決めるとよいでしょう。なお、つみたてNISAは、収益分配金の再投資や特別分配金の扱いについても注意点があります。そのため、金融庁の公式ページなどで詳細をしっかり確認してから始めることをおすすめします。
“つみたてNISAの概要”.金融庁.
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html
(参照2023-06-28).
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