サプライチェーン・マネジメントの基本やポイント
更新日:2023.05.19スタッフブログサプライチェーン・マネジメントは、商品・サービスを消費者に効率よく届けるため供給の流れを管理する方法です。供給プロセス全体を管理することで、多くのメリットをもたらすと期待されています。商品・サービスの供給に関わる企業・業者が導入すれば、供給プロセスの効率化を進めやすくなるでしょう。そこで今回は、サプライチェーン・マネジメントの概要とともに導入のメリットや手順をご紹介します。
目次
サプライチェーン・マネジメントの概要
サプライチェーン・マネジメントは、商品・サービスの供給に関わる諸活動を管理する仕組みです。以下では、サプライチェーンについて解説し、サプライチェーン・マネジメントの概要をご紹介します。
サプライチェーンとは
サプライチェーンは、商品・サービスが消費者に供給されるプロセス全体を指した表現です。サプライ(supply)は「供給」、チェーン(chain)は「鎖」を意味します。商品・サービスが供給されるプロセスには、原材料の調達・部品の製造・商品やサービスの生産・店舗への運搬・店舗での販売などが含まれます。消費者の手に届くまでの活動すべてが鎖のように連鎖しているため、サプライチェーンと呼ばれます。
サプライチェーンは、各プロセスが連結して消費者に商品・サービスが届くまで滞りなく流れることが大切です。ただし、それぞれのプロセスを担う企業・業者は異なる場合が多く、スムーズに連携できるとは限りません。そのため、商品・サービスを迅速かつ安定的に供給するうえでは、サプライチェーンを管理する仕組みが必要と考えられています。
サプライチェーン・マネジメントの概要
サプライチェーン・マネジメントは、個々の供給活動を担う企業・業者の違いを超えてプロセス全体を管理するシステムです。同システムの主な目的は、さまざまな供給活動の連携を強化し、商品・サービスを消費者に効率よく届けることです。
具体的な事例としては、生産量の調整や適切な在庫管理が挙げられます。生産量を調整した場合、必要以上の製品をつくる時間を省くことができ、いち早く生産物を消費者に供給できます。また、適切に在庫管理すれば、品切れで消費者への供給が止まる事態を防ぐのに効果的です。サプライチェーン・マネジメントでは、生産業や販売業に関わる企業・業者が協力して、供給活動の全体的な効率化を目指しています。
ビジネスシーンで注目される理由
近年、サプライチェーン・マネジメントがビジネスシーンで注目される理由は、ITが著しく進歩したためです。サプライチェーンにおいて多くの企業や業者が連携を強めるには、それぞれの供給活動について情報を共有する必要があります。
ただし、生産品の供給に関わるデータは膨大であり、これまで情報共有は困難でした。最近はITの進歩で通信環境が整備され、異なる企業・業者が幅広い情報をリアルタイムで共有できる状況になっています。以前に比べると、情報が行き渡らず連携を取れなくなる事態は避けやすくなりました。企業・業者間で情報共有する体制が実現したことで、サプライチェーン・マネジメントの注目度は高まっているといえます。
サプライチェーン・マネジメントのメリット
サプライチェーン・マネジメントの主なメリットは、供給活動の効率化でコスト節減や生産性の向上を見込めるところです。以下では、この管理方法がもたらす代表的なメリットをご紹介します。
コスト節減
サプライチェーン・マネジメントは、供給活動のコスト節減に大きな効果を期待できる手法です。たとえば、生産業や販売業の場合、どれだけ消費者に供給すればよいか把握できれば、余計な物品を生産・販売せずに済みます。また、運送業は、生産品の配送先を全店舗でなく品不足になった店舗に限定できれば、作業コストを抑えられるでしょう。
商品・サービスを過不足なく生産する方法の代表例は、消費者から注文を受けた量だけ生産する受注販売のスタイルです。受注販売は品切れや余計な在庫が生まれず、生産品を注文者以外に配送する手間もかかりません。受注販売に限らずサプライチェーン・マネジメントで各業種が消費動向を共有できた場合、供給活動にかかるコストは節減しやすくなると考えられます。
生産性の向上
生産性の向上も、サプライチェーン・マネジメントを通して得られるメリットの代表例です。サプライチェーン・マネジメントで供給活動に関する情報を共有できると、それぞれの企業・業者が個別に情報収集する必要はありません。消費動向について情報を得られた場合、幅広い作業の効率化につながります。
多くの業務で作業負担が減れば、供給活動の生産性は全体的に上がるでしょう。生産業や販売業にとどまらず、商品・サービスが消費者に届くまでのプロセスは流れがスムーズになると期待できます。また、時間的な余裕が生まれた時は、業務の進め方を見直して問題点を改善できる可能性もあります。
収益の拡大
収益の拡大は、サプライチェーン・マネジメントによるコスト節減や生産性向上がもたらすメリットです。サプライチェーン・マネジメントに伴う業務の効率化で出費を抑えられれば、それだけ収益は増えると考えられます。同時に、生産性の向上で商品・サービスの供給量が多くなると、売上は伸びるでしょう。
また、消費動向などの情報共有は、需要の有無を予測する時の精度を高めるといわれています。余計な商品・サービスを供給せずに済んだ場合も、供給プロセスの収益は拡大すると見込めます。サプライチェーン・マネジメントは多くのメリットを期待できるため、供給活動に導入する仕組みとしておすすめです。
サプライチェーン・マネジメントの導入手順
サプライチェーン・マネジメントを導入する基本手順は、課題と範囲の明確化・管理メンバーの選定・ネットワークシステム構築の3段階です。以下では、それぞれの手順の概要をご紹介します。
課題と範囲の明確化
サプライチェーン・マネジメントを導入する時、最初のステップとして現時点での課題および管理する範囲の明確化が必要です。商品・サービスの供給プロセスを管理するうえでは、現状で問題視される課題を明確に把握することが求められます。何がスムーズな供給の流れを妨げているか明らかにすれば、円滑な供給活動につながる方法を検討しやすくなるためです。
また、すべての供給プロセスで問題が起きているとは限らず、どこまで管理するか適用範囲を明示することも不可欠です。明確な課題のないプロセスを適用対象から除外すれば、管理にかかる負担を軽くできます。
管理メンバーの選定
サプライチェーン・マネジメント導入に伴う2番目のステップは、管理業務を担当するメンバーの選定です。商品・サービスの供給プロセス全体を管理する作業は、各プロセスについて詳しく理解していないと難しくなります。そのため、管理メンバーには、サプライチェーンの知識を豊富に有する人材が適任と考えられます。
それぞれの供給プロセスに関わる企業・業者をまとめることも、管理メンバーの重要な役割です。供給活動全体のまとめ役には、関係各所が納得できるマネジメント戦略を示せるとともにリーダーシップを発揮できる人材が適しているでしょう。
ネットワークシステム構築
ネットワークシステムの構築は、サプライチェーン・マネジメントの導入時に欠かせない最後のステップです。供給プロセス全体の流れを円滑化するには、各々の供給活動に関わる企業・業者による情報共有が怠れません。関係各所がリアルタイムで情報を共有する際、さまざまなデータを迅速・正確に伝達できるネットワークシステムの構築は不可欠です。
最近は多種多様なシステムが登場し、システムによって使い勝手は異なります。そのため、システムの構築時には、管理メンバーや関係各所が使いやすい種類を選ぶ必要があります。なお、サプライチェーン・マネジメントを導入した後は、導入効果をチェックしながらシステムを改善していくことも大切です。
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