東京都の受動喫煙防止条例で変わることとは

更新日:2023.03.10スタッフブログ

受動喫煙

2020年4月から改正健康増進法や東京都の受動喫煙防止条例の規定が一部変更され、喫煙に対する規制がいままで以上に厳しくなります。喫煙される方だけでなく企業にも影響があるので、職場でも法令について理解しておいたほうが賢明でしょう。そこで今回は改正健康増進法と東京都の条例について解説し、企業がどういった影響を受けるのか、どういった対策をとるべきかなどをご紹介します

受動喫煙の防止が厳格化

新たに施行される改正健康増進法と東京都の受動喫煙防止条例の特徴は、受動喫煙防止の厳格化です。

改正健康増進法の変化

健康増進法は2018年に一度改正されていますが、今回の改正により禁煙がさらに推進されます。これまでとの大きな違いは、さまざまな施設で屋内の喫煙が原則禁止になる点です。なかでも飲食店は、大きく変化すると考えられています。

これまで喫煙を認めるかどうかは店舗の管理者に委ねられていましたが、新たな改正法では以前なら普通に喫煙できた居酒屋でもタバコを「吸う」あるいは「吸わせる」と違法です。学校、医療施設、児童福祉施設や行政機関は他の施設より条件が厳しく、屋外を含めた施設全体での禁煙が求められています。

ただ喫煙を目的とするシガーバー、タバコ販売所や公衆喫煙室は、例外的にタバコを吸っても許可される施設です。構造設備が規定の基準を満たす場合、喫煙を認められます。飲食店も喫煙室の設置は問題なく、即時の設置が難しい小規模な店舗であれば例外措置の適用対象です。

受動喫煙防止条例の特徴

2018年6月に制定された東京都の受動喫煙防止条例は、改正健康増進法と比べても厳しい規定内容と認識されています。とくに東京都の条例の厳しさが目立つのは、飲食店に対する規制です。改正健康増進法では規制対象全体に占める飲食店の割合は45%にとどまりますが、受動喫煙防止条例の場合には84%です。

小規模な飲食店に対する基準の違いは、東京都の条例と改正法との差異を象徴すると指摘されています。改正法で例外が認められる基準は、2020年4月に営業中、資本金が5000万円以下、客席面積が100㎡以下であることです。東京都の場合、家族が一緒に経営している店舗や子どもが出入りするところでは喫煙が許可されません。条例に違反すると罰金を科される可能性もあるため、東京で飲食店を営業する際には4月以降の店舗経営に一層の注意が不可欠です。

企業では何が変わる?

オフィスは、改正健康増進法や受動喫煙防止条例の適用対象のうち「その他多数の人が利用する施設」に該当します。

施設管理者の義務

一般企業のオフィスも、学校や飲食店と同じく原則禁煙です。施設管理者(オフィスの管理者や総務)は、禁煙場所に喫煙器具や喫煙設備(灰皿など)を置いてはいけません。喫煙室は設置できますが、その場合には未成年を立ち入らせると法令違反です。

職場に喫煙者がいなければ自分たちには関係ないと感じるかもしれませんが、喫煙する方がオフィスを訪れる可能性はあります。愛煙家の訪問があった時、オフィスに喫煙室がなく灰皿を用意すれば違反行為に当たります。喫煙者がオフィスに訪れた時でも慌てないためには、あらかじめ喫煙スペースを整備しておいたほうが無難です。

喫煙場所には、義務規定として喫煙表記を忘れてはいけません。法令を遵守したうえで喫煙場所を用意しおけば、喫煙習慣のある方とも気持ちよく仕事の話を進められるでしょう。

施設利用者の義務

利用者は、従業員か訪問客かを問わず喫煙所以外ではタバコを吸えません。携帯灰皿を常備していても、喫煙許可のない場所でタバコを吸うと法令に違反します。オフィスに喫煙場所が設置されていない場合、喫煙行為を遠慮しなければなりません。

最近は、いろいろな場所に禁煙の標識が掲示されています。標識を汚す、あるいは表記内容を分かりづらくする改変や加工は禁止です。他の掲示を設置して禁煙の標識を見えにくくする行為、また喫煙が認められていると誤解させる標識の掲示も許されません。

愛煙家の方は、オフィスに喫煙場所がないと苦労するかもしれません。それでも、非喫煙者の受動喫煙を防ぐには法令遵守が望まれます。これまで喫煙できたスペースが禁煙場所に変わっても、喫煙場所と表記してタバコを吸うことは控えましょう。

喫煙するには専用スペースを設置

職場で喫煙する場合、屋内だけでなく屋外であっても専用スペースを設置する必要があります。それぞれに求められる設置基準は、大まかに以下の通りです。

1.屋内喫煙室

◇室内から禁煙場所にタバコの煙が流出しない構造
◇室内のタバコの煙が屋外や外部に排気される構造
◇室内の空気がきちんと循環できる構造

禁煙場所に通じる出入り口は、煙の漏出を避けるためスクリーンなどで仕切らなければいけません。排気設備をつける際には、禁煙空間に影響がないか事前確認が必要です。換気については、出入り口で0.2毎秒以上の気流を発生させることが求められます。出入り口のスクリーンは非喫煙者の受動喫煙を防ぎ、排気設備や換気機能の整備により喫煙者同士の受動喫煙も緩和できると期待されます。オフィスに喫煙所を設ける場合には法令で規定された基準にしたがい、設置後もスクリーンや排気設備が正しく機能しているか定期的に点検しましょう。

2.屋外喫煙所

◇タバコの煙が屋内に流れ込まない場所
◇非喫煙者が近くを通らずに済む場所
◇近隣の学校や通学路、公園に煙が流れない場所

タバコの煙の流れは、見た目より複雑です。ドアの開閉時に出入り口から漏れた煙は、風向きにより屋外のいろいろな場所へ広がっていきます。安易に喫煙所をつくると、オフィスのなかだけでなく周りの禁煙場所にも流れる恐れがあります。屋外に喫煙所を設ける際には、オフィス、人通りのある場所、周辺施設からできるだけ離しておく配慮が必要です。

オフィスによっては、喫煙者がいても職場に喫煙所を設置しない可能性があります。従業員が息抜きにタバコを吸いたいと思っても、禁煙場所での喫煙はオフィスや近隣の非喫煙者に迷惑をかけます。喫煙所のないオフィスでは、喫煙習慣のある従業員にマナーを浸透させることも大切です。

個人も喫煙マナーを守りましょう

喫煙者は、オフィス以外でも喫煙マナーを守らなければなりません。どこでタバコを吸えばよいか悩まないためには、喫煙室の場所を把握しておくことが大切です。

喫煙室のパターンは4種類

現在、喫煙室のパターンは喫煙専用室、加熱式タバコ喫煙専用室、喫煙目的室、喫煙可能室の4種類です。いまのところ喫煙専用室がもっとも多く見られ、紙巻きタバコと加熱式タバコのいずれも喫煙できます。この種の施設は喫煙目的の利用のみ認められ、飲食をはじめとする他のサービスは提供不可です。

加熱式タバコ喫煙専用室は加熱式タバコ以外を喫煙できませんが、飲食などの提供は許されています。喫煙目的室と喫煙可能室は加熱式と紙巻きタバコのいずれも喫煙できるうえ、飲食も提供可能です。

喫煙室の案内サービスも登場

最近、喫煙者向けに喫煙室の場所を案内するサービスも登場しました。JTが提供するオンラインサービスであり、各地の喫煙室を位置情報から検索できる喫煙所MAPを公開しています。新しい喫煙室の情報は、いつでもユーザーからの投稿により更新できます。

これから喫煙室が増えていっても、最新情報にアクセスできるので問題ありません。受動喫煙が防げれば、喫煙者と非喫煙者ともに気持ちよく生活できます。オフィスに喫煙できる場所がない時や勤務時間外には喫煙室の情報サービスを上手に活用し、喫煙マナーの向上にお役立て下さい。

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